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アリババ成長の秘密は、創業時から女性が活躍をしたこと。創業メンバーの3人の女性

アリババは女性比率が高い企業ということでも知られる。ほぼ50%に近い。それは、創業時から女性が多く、成長後は女性幹部となり、女性が活躍する場をつくってきたからだと鑑史人が報じた。

 

女性が活躍する企業、アリババ

アリババは、女性社員の比率がほぼ50%に近く、女性が活躍している企業だ。その背景にあるのは、創業時から女性が創業メンバーとして参加し、成長してからは女性が重要な地位についたことがある。男性は部下に男性を選びがちだが、女性は部下に男性も女性も選ぶ。これにより、アリババは女性が活躍できる企業になった。

 

創業メンバー18人の中の女性3人

1999年正月5日(春節の5日目)、杭州市の馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)の自宅である湖畔花園202号室に18人の人物が集まった。そこで、ジャック・マーは、世界で最大で偉大なネット企業を設立すると宣言し、社名をアリババと名づけた。

18人は、合計で50万元(約960万円)の資金を持ち寄り、契約書にサインをした。この創業メンバーの18人は、後に「アリババ十八羅漢」と呼ばれるようになる。10年後にアリババが株式公開をすると、十八羅漢全員が億万長者となった。

この十八羅漢の中に、女性が3人いた。さらに、ジャック・マーの妻である張瑛(ジャン・イン)や女性従業員もいる。創業時の集合写真では、男性16人、女性12人。創業時から女性の多い会社だった。

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▲アリババ創業時の記念写真。創業地は、ジャック・マーの自宅であった杭州市のマンション「湖畔花園」202号室。創業時から女性社員の多い会社だった。

 

彭蕾(ポン・レイ):社員番号7

アリババで最も有名な女性社員。元々は商業系の専門学校の講師だったが、結婚相手の孫彤宇(スン・トンユー)がジャック・マーの人物に惚れ込んでしまい、創業前からジャック・マーの起業に参加をしていた。その関係で、夫といっしょにアリババの創業に参加をすることになった。

起業時のアリババが必要としていた人材は、英語ができるか、ビジネスができるか、開発ができるかのいずれかの人物。しかし、彭蕾にはそのようなスキルはなく、最初は雑用係として、月給500元(約9600円)から始まった。

しかし、HR部門で才能を発揮した。後にアリババCTOとなり、アリクラウドを開発した王堅(ワン・ジエン)をスカウトするなど大きな貢献をするようになった。さらに、成長が遅かったスマホ決済「支付宝」(ジーフーバオ、アリペイ)に激怒をしたジャック・マーは、彭蕾を総裁として指名した。

彭蕾はパスワードだけで決済ができる「快捷支付」を導入するなどの改革を行い、アリペイのキラーサービスとなる投信信託機能「余額宝」(ユーアーバオ)を導入し、アリペイを中国で最も使われる決済手段に成長させた。

金融会社「アントフィナンシャル」が独立をすると、彭蕾はCEOとなり、「金融女皇」と呼ばれるようになる。

アリババ十八羅漢のメンバーの全員がジャック・マーという人物を崇拝していたが、彭蕾はそうではなかった。そのため、ジャック・マーを客観的に見ることができ、しばしばジャック・マーには耳が痛い直言もする。ジャック・マーはそのような彭蕾の直言を歓迎し、信頼をした。

また、彭蕾はこうも語っている。「ジャック・マーがどのような決定をしたとしても、私の任務はその決定をなんとしても実現し、ジャック・マーの決定が正しかったと証明することなのです」。

ジャック・マーを客観視しながらも強い忠誠心を持っている。これが彭蕾を金融女皇に押し上げた。

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▲アリババで最も有名な女性、彭蕾。アリペイを成長させた立役者であり、さらにはシンガポールのEC「Lazada」(ラザダ)を軌道に乗せた。

 

戴珊(ダイ・シャン):社員番号11

アリババ十八羅漢の一人。アリババの女性社員には珍しく、控えめな人として知られる。本人もこう語っている。「会社が営業をすると言われれば営業をしますし、カスタマーサポートをやれと言われればカスタマーサポートをします。私は多くは望んでなく、ただ楽しく仕事がしたいだけなのです」。

この奥ゆかしさは、戴珊が杭州電子学院の学生で、ジャック・マーの最後の教え子であるということが関係をしている。ジャック・マーは杭州師範大学を卒業後、杭州電子学院で英語の教師をしていた。

戴珊はアリババで、カスタマーサポートを担当し、後にカスタマーサポートの責任者になる。現在では「小さな女王」と呼ばれるようになっている。

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▲ジャック・マーの最後の教え子、戴珊。ジャック・マーを尊敬し、ジャック・マーの言うことに忠実に従ってきた。

 

蒋芳(ジャン・ファン):社員番号13

アリババ十八羅漢の一人。蒋芳もジャック・マーの英語教師時代の教え子だった。アリババでは人事を担当した。

蒋芳の名前が注目されたのは、2009年に起きたアリババの腐敗事件の時だ。取引先との不正なお金のやり取りが発覚をし、ジャック・マーは危機感を覚え、廉政部を設立する。不正を調査し、処罰し、予防策を講じる部門だ。ジャック・マーはその責任者に蒋芳を指名した。そして、社員集会でこう宣言をした。「私を含むアリババ社員の全員が、蒋芳の調査の対象となる」。

これは非常に大きな権限が与えられたことになる。なぜなら、蒋芳は、ジャック・マーに対する調査も行えるということだからだ。これにより、蒋芳は「反腐敗の第一人者」と呼ばれるようになる。蒋芳はその期待に応え、次々と腐敗事件を発見し、幹部を刑務所に送ったこともある。社員からは恐れられる嫌な仕事だが、蒋芳は私情を挟まず公正に厳しく調査、処罰を行った。そのことが社員からも信頼されるようになることにつながった。

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▲アリババ十八羅漢の一人、蒋芳。ジャック・マーの英語教師時代の教え子。アリババでは廉政部という嫌な役割を受け持った。公正に職務を遂行することで、周囲からの信頼を得た。

 

女性幹部が活躍することで女性社員の活躍の場が生まれる

このような女性創業メンバーが活躍をしていることで、女性が働きやすい職場環境ができあがった。それがまた優秀な女性が生まれることにつながるという好ましい循環が起きるようになっている。エンジニアですら女性社員は珍しくないし、ビジネス部門では女性が活躍するのが当たり前。これもアリババという企業が成功できた要因のひとつになっている。