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中国を中心にしたアジアのテック最新事情

最大の脆弱性は「人間」。デビットカードを電話手続きで再発行させた詐欺集団の手口とは

広州市公安は、デビットカードを悪用して約2.4億円を騙し取った詐欺集団を摘発した。その手口は、電話手続きの脆弱性を利用して、デビットカードを再発行させてしまうものだったと新華社が報じた。

 

決済手段のセキュリティは成熟をしている

キャッシュレス時代になり、決済手段もクレジットカード、デビットカードスマホ決済などが使われ、いずれもセキュリティには万全の対策が施されている。物理カードの場合、ICチップが搭載され、これをコピーすることはほぼ不可能。研究室内での複製には成功をしているが、その複製には莫大な費用と技術が必要になるため、犯罪に応用してもまったく割に合わない。スマホ決済も、トークン化をするなどのセキュリティ対策が施され、このトークンは、それ単体では利用することができず、コピーをされても悪用のしようがない。セキュリティ技術は、ほぼ完璧に悪意のある不正利用をシャットアウトできるようになっている。

 

唯一の脆弱性は人間

ただし、ひとつだけ脆弱な穴がある。それは人間だ。愚かな人間は、悪人にカード情報だけでなく、セキュリティコードやパスワードまで自ら教えてしまう。その典型例がフィッシングサイトだ。宅配便の不在通知、カード情報の更新通知などを装ったショートメッセージなどを大量に送り、本物そっくりのカード情報入力ページに誘導する。信じ込んだ被害者は、自らの手でカード情報を入力し、親切にも悪人に教えてあげるのだ。

 

デビットカードを使った詐欺集団を摘発

広州市公安は、2024年6月、このような人間の脆弱性をついたデビットカード詐欺集団を摘発したと発表した。この詐欺集団は、7つの銀行で500枚余りのデビットカードを入手し、1100万元(約2.4億円)を手に入れることに成功した。また、海南省福建省江西省などにも協力グループが存在し、全体での事件金額は10億元を超えているという。1万元から10万元までの被害にあった人が多いが、中には銀行口座に付帯するローンを申し込まれ、20万元以上の被害にあっている人もいた。

広州市で再発行されたデビットカードで買い物をする犯人。正規のカードが再発行されたため、安心をして買い物ができた。

 

対面でもリモートでも二要素認証

中国の銀行のキャッシュカードは、そのままデビットカードになっている。クレジットカードと同じように店舗で買い物をすることができ、限度額は銀行口座の残高になる。中国ではクレジットカードが普及をしなかったため、多くの人がこのデビットカードを使っている。海外でも「銀聯カード」として利用できる店舗が多く、海外旅行では必須のアイテムになっている。

銀行口座に関するさまざまな手続きをするには、身分証などを持参して、銀行の窓口に行くのが基本だが、支店数が日本ほど多くない中国では、電話やネットによる手続きが発達をしている。この時必要になるのが、サービス暗証番号だ。通常は6桁の番号で、カードの暗証番号とは別に、手続きをする際に必要となるものだ。

窓口で手続きをするには、身分証を提示してICチップを読み取り、目視で顔写真と本人を比較し本人に間違いがないことを確認する。そして、サービス暗証番号をキーパッドで入力してもらうという三要素認証が行われている。ネットで手続きをする場合も、スマホで身分証をNFCスキャンし、サービス暗証番号を入力するという二要素認証が行われ、銀行によってはショートメッセージでセキュリティコードを送り、それを入力してもらうという三要素認証をしているところもある。

 

電話手続きではキー入力だけで口座を操作できる

ところが、電話手続きの場合、高齢者が使うことも多いことから、身分証番号をキーパッドから入力、そして、サービス暗証番号もキーパッドから入力するだけで手続きができてしまう。2つの番号で認証をしているが、これでは二要素認証になっていない。

二要素認証とは2回認証を行うことではない。性質の異なる2つの要素を組み合わせて認証をすることだ。一般には「記憶」「所有」「生体」の3つの要素のうち、2つを組み合わせる。

窓口の場合、対面をするため、身分証の写真と本人の顔を確認する「生体」、身分証をスキャンする「所有」、サービス暗証番号を入力する「記憶」という三要素が使われている。ネットの場合、身分証をスキャンする「所有」、サービス暗証番号を入力する「記憶」の二要素が使われる。

ところが、電話の場合、身分証の番号を入力すればいいだけなので、ほんとうに身分証を所有しているかどうかまではわからない。つまり「所有」ではなく「記憶」になってしまっている。そして、サービス暗証番号も「記憶」であるため、一要素認証になってしまっている。

これはパスワードを2つ設定するのと同様に愚かなことだ。パスワード「password」を「pass」と「word」の2つにしてもセキュリティ度は向上しない。この電話手続きの抜け穴が犯行集団により悪用された。

 

電話手続きでキャッシュカードの再発行を申請

犯行集団は、ネットの闇サプライチェーンから、61万件の個人情報のリストを入手した。それには名前、住所、身分証番号、銀行口座番号、携帯電話番号そしてサービス暗証番号が含まれていた。このサービス暗証番号が含まれていたことから、今回の電話手続きによる詐欺が実行された。この61万件のリストの価格はわずか5000元(約10.8万円)だったという。

犯行集団は銀行に電話をして、カードの読み取りができなくなったという理由で再発行手続きを申し込んだ。紛失をしたという理由にしなかったのは、紛失の場合、警察への届出が必要になることがあるからだ。また、同時に引っ越しをしたので住所変更をしたいと申し出る。そして、身分証番号とサービス暗証番号をキーパッドから入力をすると、詐欺集団が指定した住所に新しいデビットカードが送られてくるため、これで金のインゴットなどの換金性の高い商品を購入した。

対面またはネットでの手続きでは、身分証の提示またはICチップの読み取りが必要になるため、身分証を持っていない犯行集団は手続きができない。

 

銀行も不審に感じた

ただし、銀行側もまったく無策だったわけではなく、約900枚のデビットカードの再発行が申請されたが、再発行されたのは500枚程度だったという。また、指定した住所での受け取りに本人確認を必要とする方法で送付をする銀行もあり、最終的に買い物に利用できたのは230枚程度だった。

銀行の担当者の中には、再発行と住所変更が同時に行われることを不審に思い、また電話手続きのセキュリティ度が他の方法に比べて低いということから、電話手続きを断り、ネットか窓口で手続きをしてほしいと案内したケースもあった。

また、某銀行では、突然、再発行と住所変更を同時に申し込む例が増えたことに不審を感じ、顧客センター担当者にネットか窓口に誘導するように通達し、また、広州市公安にも情報を提供した。これにより、広州市公安が内偵調査を始め、摘発につながった。

 

フィッシングサイトに引っかかる人間が最大の脆弱性

この事件の問題は、サービス暗証番号まで含めた個人情報が闇サプライチェーンで売買されているということにある。この個人情報の出所は、フィッシング詐欺で収集されたものと見られている。広州市公安局経済捜査隊の李昀璁隊長は、新華社の取材に応え、身分証明書や電話番号、パスワード、暗証番号の入力をネットで求められた場合、その相手が銀行や公的機関であっても、本物であるかどうかを立ち止まって確認してほしいと呼びかけている。

また、暗証番号は、生年月日や電話番号を使う人が多く、犯行集団が容易に推測できてしまうことがある。電話手続きの場合であっても、ショートメッセージでセキュリティコードを送るなど、二要素認証をしっかり確立することが求められるとしている。

セキュリティ技術は高度に進化をしているが、人間の方は進化をしていない。人間が最大のセキュリティホールになってしまっている。

 

水素燃料電池の自転車が発売に。発火事故はほぼ0に。出力の弱さをハイブリッド方式でカバー

電動自転車メーカーの「台鈴」から、水素燃料電池の自転車が発売された。水素ボトルを交換することでどこまでも走ることができる。燃料電池の出力の弱さは、ハイブリッド方式を採用することで解決したと電動車的那些事児が報じた。

 

水素燃料電池の自転車が登場

電動自転車メーカー「台鈴」(タイリン、https://www.tailg.com.cn)から水素燃料電池駆動の電動自転車が発売された。

中国の電動自転車は、ペダルがついていて足で漕ぐこともできるが、通常はバッテリーによる自走をする。時速は25km/hまでに制限されているが、短距離通勤や買い物などに使われ、庶民の足となっている。中国の自動車保有台数は3.3億台だが、電動自転車は3.5億台に達していて、電動自転車の方が多い。

▲台鈴から水素燃料電池による電動自転車が発売された。発火事故0を達成する決め手になると期待されている。

 

発火事故の起こらない安全な水素燃料電池自転車

しかし、問題は発火事故が続くことだ。規定どおりに純正バッテリーを使っていれば問題はないが、航続距離を伸ばしたい、あるいは速度を早くしたい、充電時間を短くしたいなどの理由から、違法に改造されたバッテリーが出回っていて、これが発火事故の原因となっている。政府は取り締まりに躍起になっているが、数が多く、自分でも簡単にバッテリーを交換できることから、不正バッテリーが根絶できずにいる。

そこで、注目をされているのが水素燃料電池による電動自転車だ。水素を燃焼させて発電をし、それで駆動をする。水素ボトルの安全性は確認されていて、水素燃料電池であれば小容量のバッテリーを搭載すれば済むために、発火事故のリスクはほとんどなくなる。航続距離を伸ばしたいのであれば予備の水素ボトルを持っておけばいいし、水素ボトルが空になったら、交換をするだけで長距離を走ることができる。不正バッテリーを使う理由がなくなる。

ここから、水素燃料電池自転車は、電動自転車問題の切り札だと考えられていた。

▲水素燃料電池の他に、小容量のリチウムイオンバッテリーも搭載し、ハイブリッド方式で燃料電池の出力の弱さをカバーする。

 

出力の弱さをハイブリッド方式でカバー

しかし、問題は燃料電池は出力が小さく、自転車ですらじゅうぶんに駆動するための力が出づらいということだ。平地を定速走行するのであれば問題はないが、坂道を登ったり、加速をしたい場合の反応がよくない。このため、水素燃料電池自転車は実用化が難しかった。

そこで台鈴は、ハイブリッド方式を採用することで、この課題を突破した。水素燃料電池の他に、小容量のリチウムイオンバッテリーを搭載している。このリチウムイオンバッテリーは、定速走行をしている時や慣性走行をしている時の水素燃料電池の余剰分や、ブレーキ時の回生エネルギーにより充電をされる。また、バッテリー容量が少ない場合は、停車している最中にも燃料電池により充電をされる。このため、リチウムイオンバッテリーが空になるということはない。

そして、加速や坂道など、パワーが必要な時には、水素燃料電池に加えて、リチウムイオンバッテリーが補助をすることにより、快適な走行を実現している。つまり、電動アシスト水素燃料電池自転車で、自動車のハイブリッド(HEV)がガソリンエンジンで走行し、必要な時にバッテリーがアシストするというのと同じ考え方だ。

▲水素燃料電池自転車で使用される水素ボトル。座席の下に予備を含めて2本まで収納できるようになっている。

 

課題は水素ボトルの供給体制

リチウムイオンバッテリーは駆動に使うわけではなく、あくまでも補助なので、小容量のもので済む。このため、安全性が高く、コストの安いリン酸鉄系のリチウムイオンバッテリーが採用されているため、発火事故のリスクは限りなくゼロに近づいた。

航続距離は1本の水素ボトルで100km。座席の下の部分に1本の水素ボトルと予備の水素ボトルを1本収納できるようになっている。走行コストは、家庭用電源を使った電動自転車とほぼ同じで、公共の充電スポットを使った場合よりも安くなる。

車両価格は未発表であり、これから実勢価格が明らかになるが、通常の電動車よりも高くなることは明らかだ。また、水素ボトルの供給体制もこれから見えてくるため、普及するかどうかは今後の体制しだいだが、電動自転車の発火事故対策の決め手になる可能性があると期待されている。

 

武漢市に数百台のロボタクシーを投入も、市民からは苦情が殺到。ロボタクシーが渋滞を起こしている?

5月から、武漢市に数百台のロボタクシーが投入され、正式な営業運転を始めた。しかし、市民からはロボタクシーが渋滞の原因となっていると苦情が殺到している。その原因は、AIと人間の運転戦略に大きな違いがあることだと央広網が報じた。

 

無人運転のロボタクシーが一気に数百台規模投入される

今年2024年5月、百度は、湖北省武漢市で無人運転のロボタクシー「蘿卜快跑」(ルオボ)の営業運転を始めた。一気に約数百台規模のロボタクシーを投入し、助手席に安全監視と技術検証を兼ねたスタッフが乗務することはあるものの、基本は無人運転になる。無人運転のロボタクシーは、センターによってリアルタイム管理をされ、AIが判断できない状態になると安全停止をし、センターのスタッフがリモート運転で問題を解決する仕組みになっている。

市民からは人気で、乗車賃がタクシーの半分程度に設定されていることもあり、すでに1日6000回以上の乗車がある。特に乗車賃無料+洗濯石鹸プレゼントのキャンペーンを始めてからは利用者が殺到している。いよいよ、ロボタクシーが日常のものとなった。

百度のロボタクシー「蘿卜快跑」は主要12都市で営業運転を始めた。運転手が乗っていない無人運転によるタクシーサービスだ。

武漢市でのロボタクシーの営業範囲。新市街地を中心に中心部をほぼカバーしている。朝のラッシュ時にはロボタクシーが渋滞の原因になっているという苦情が相次いでいる。

 

武漢市にはドライバーから苦情が殺到

ところが、自動車の保有者からの評判は最悪だ。ロボタクシーのせいで武漢市は深刻な渋滞になっているというのだ。ウェイボーなどのSNSでは、武漢市民による訴えが大量にあり、武漢市政府が運営する「武漢城市留言板」(https://liuyan.cjn.cn/)では、市民が政府機関に質問や苦情を投稿し、機関がそれに回答をするということができるが、ここには340件以上、百度ロボタクシーに関する苦情が投稿されている。

武漢市が運営する伝言板に寄せられた苦情。ひとつひとつに対して、市の担当者が対応状況などの返答をしている。このような苦情が340件以上も寄せられている。

 

ロボタクシーが意味なく止まって渋滞原因となっている

典型的なのは、次のような苦情だ。「開発区全力南片区では、毎朝のラッシュ時、ロボタクシーが異常な交通渋滞を引き起こしています。道路の真ん中に意味なく停車をするからです。普通なら5分で行けるはずのところが20分以上かかります。朝のラッシュ時はロボタクシーの運行を禁止すべきだと思います」

これに対して、武漢市交通運輸局は、この状況をプラットフォームに伝えて、改善するように通達した、その結果は経済開発区交通運輸総合法規執行チームから電話にてご連絡をすると回答した。

また、もうひとつの典型例が、交差点の赤信号で先頭にロボタクシーがいるが、信号が青に変わっても発進をしない。クラクションを鳴らしてもまったく動かないというものだ。後ろの車は進めず、渋滞の原因になっているという。

また、ネットでは、バスの運転手が前のロボタクシーが道の真ん中で停止をしてしまったため進めず、バスを降りてロボタクシーの様子を見に行くという動画も拡散している。

▲ロボタクシーが渋滞の原因となる典型例。ロボタクシーは右車線(右折専用車線)に車線変更をしようとしたが、後ろから車が直進をしてきたため譲った。そのため、車線を跨ぐ形で停止をすることになった。道幅の狭いところ、車の数が多いところでは、後ろの車が進めなくなる可能性がある。

▲道の真ん中で停止をしたロボタクシー。後続のバスの運転手が降りてきて中の様子をのぞいたりしているが、手の施しようがなく途方に暮れている。

 

新しい技術に対する拒否感

評判が非常に悪いロボタクシーだが、このような苦情の嵐になった原因は2つあるようだ。ひとつは、ロボタクシーに反感を持っている人が意外に多いということだ。技術に対する生理的な拒否感があり、運転手の仕事を奪うことを心配している人も多い。このような人たちが苦情の声をあげ、それにネットのもめごとを面白がり、ことを大きくしたい水軍と呼ばれる人たちが便乗して、大きな騒ぎになっている。

5月29日、蘿卜快跑はウェイボー公式アカウントでひとつの声明を出した。

「蘿卜快跑に関心を持っていただきありがとうございます。近日、投稿されている悪意のある苦情、虚偽の事故情報などについては、調査検証をした結果、事実とまったく異なる内容のものが含まれていることを確認いたしました。このような事実と異なる情報発信、世論を煽る水軍行為については、すでに公安に通報をいたしました。現在、捜査を行なっています」。

▲市民からの苦情は多いが、SNSでは存在しないトラブル、事故情報なども拡散し、蘿卜快跑では虚偽の情報発信については公安に通報するという声明を出した。

 

人間とAIで異なる運転に対する考え方

もうひとつの理由は、人間とアルゴリズムの協調の問題だ。「交差点で青になっても進まない」「道の真ん中で停車したままになる」状況は、次のようにして生まれることが多い。

中国の交差点は、赤信号であっても、車がこなければ、小回りになる右折をしてかまわない(中国は右側通行)。ただし、左側から直進車がくることがあるので、その場合は直進車を優先しなければならない。しかし、現実は、直進車の間隔が空いていれば、多少強引であっても右折をしてしまう。この辺りは、人間同士、譲り合っているわけだ。もちろん、強引すぎてトラブルになるケースもある。

しかし、ロボタクシーのアルゴリズムは、交通ルールを厳格に守り、なおかつ安全を考えて保守的な運転戦略をとる。そのため、信号が青になっても、交差する道から右折車がいると、ロボタクシーは右折車に譲ってしまう。本来はゆっくりと直進をすれば、右折車が譲ってくれるのでそのまま進めるはずなのだ。

また、道の真ん中で止まってしまうのも、Uターンをしようとしているケースだ。Uターンをする場合、反対車線の車が途切れないとすることはできないが、現実には車が途切れることはない。そこで人間は、多少強引でも鼻先を反対車線に突っ込んでしまう。すると、反対車線の車が譲ってくれるのでUターンができる。しかし、ロボタクシーは反対車線の車が途切れるまで辛抱強く待ってしまう。

つまり、人間は、厳格に交通ルールを守るよりも、多少軽微な違反になっても、周囲に意思表示をし、周囲もそれを理解して、譲り合って円滑な交通を実現している。しかし、ロボタクシーのアルゴリズム道路交通法を厳格に遵守し、なおかつ安全を考えて保守的な運転戦略を取るため、後続の車から不満が出ることになる。

 

AIと人間はどう強調すべきなのか?

近年、EVに搭載されているNOA(Navigation on Autopilot)=自動運転でも同じことが起きている。たとえば、ファスナー合流では1台ずつ交互にというのがルールであり、運転手の間に共有されているマナーになっているが、自動運転の場合、相手が強引に割り込んできた場合、譲ってしまう。すると、それを見て、次々と割り込みをする人が続き、自動運転車は前に進めない状況になる。

また、信号のない横断歩道ではより深刻な問題が起きる可能性がある。信号のない横断歩道では、歩行者優先がルールになっているが、それを守っている人はほとんどいない。止まったところで、反対車線の車も止まらなければ、かえって歩行者を危険にさらすことになる。ところが、自動運転車は、ルールどおり停止をして歩行者を優先する。すると、後続の車が止まっている自動運転車を追い越して、横断歩道を突っ切ろうとする。ここで歩行者をはねてしまう可能性がある。

理屈を言えば、間違っているのは人間側で、交通法規を厳守すべきなのだが、交通法規は交通法規で、現実を顧みない机上の空論的な内容も多い。

武漢市は、ロボタクシーの導入により混乱が起きているが、人間とAIの協調をどうすべきかという議論が始まっている。

 

 

コーヒー9.9元値下げ時代はあと3年は続く。スターバックスも参戦し、やめたら脱落のチキンレース

庫迪(クーディー、COTTI COFFEE)が9.9元割引キャンペーンを2026年いっぱいまで続けると宣言をした。これにより、カフェチェーンは値引きキャンペーンをやめるわけにはいかなくなり、スターバックスもついに参戦をすることになったと紅星新聞が報じた。

 

コーヒー9.9元時代はいつまで続く?

コーヒー9.9元戦争が始まって1年が経った。多くの人が注目していたのは、このチキンレースがいつ終わるかということだった。コーヒーを9.9元で販売するのは、赤字であり、チェーンはフランチャイズ店舗に補助金を出し続けている。いつか、その資金が続かなくなることは明らかだ。

このコーヒー戦争のきっかけをつくったのは、瑞幸珈琲(ルイシン、Luckin Coffee)と庫迪(クーディー、COTTI COFFEE)の同門対決だ。ラッキンは、2018年に、モバイルオーダー+完全キャッシュレスという新しいスタイルで急速に成長し、わずか2年半で米ナスダック市場に上場をするという成果を挙げた。しかし、その後、売上を水増しする不正会計問題が発覚をし、創業者の陸正耀氏と銭治亜氏の二人はラッキンを離れることになった。二人は、ラッキンの創業チームを集めて、2022年10月にクーディーを創業。徹底して、ラッキンをライバル視し、9.9元戦争を仕掛けていった。

▲ラッキンの創業者がCOTTIを始めた同門対決が、9.9元割引キャンペーンを盛り上げた。COTTIはラッキンの店舗の近くをねらって出店し、「ラッキンの創業者が8.8元でコーヒーをご馳走します」という横断幕を掲げて対決を煽った。

 

スターバックスまで値引きキャンペーンに参戦

このほぼ半額近い割引キャンペーンにより、他のブランドも追従せざるを得なくなっていった。ケンタッキーフライドチキンが運営するKCOFFEEも、オープン時からの9.9元を続けざるを得なくなった。

さらに、値下げ競争に距離を置いていたスターバックスも、表向きは価格改定できないものの、ミニプログラムを通じて、16時以降に使用できる「39.9元2杯」「49.9元3杯」のクーポンの販売を始めている。さらにライブコマースでは「108元5杯」「249元10杯(グランデ)」などのクーポンも販売をし、客単価は30元台半ばであったものが、このようなクーポンを利用すると20元前後で飲めるようになっている。

スターバックスとラッキンの売上高の推移。2023年Q3にラッキンは売上高でスターバックを抜き、中国で最大規模のカフェチェーンとなった。その後、スターバックスの売上高が落ち、差は広がる状況になっている。

 

やめどきが見えないチキンレース

このすべてのカフェが、レミングスのように崖に向かって走る中、どのチェーンもやめ時を模索していた。最初に割引をやめたところは脱落をすることになるので、他がやめたのを見てからでないとやめることができない。状況は完全にチキンレースになっていた。

ところが、5月24日、クーディーの首席戦略官の李穎波氏が驚きの発表をする。それは、クーディーはこの9.9元戦略を2026年いっぱいまで続け、その資金の手当ても済んでいると発表したのだ。このチキンレースはあと3年続くことが確定的となった。

 

9.9元時代の勝者はラッキン

餐宝典研究院の汪洪棟院長は、この1年で最も得をしたのはラッキンであると見ている。ラッキンは2023年Q2にスターバックスの売上を始めて抜いたが、その後、9.9元戦争によりスターバックスが売上を落とし、中国No.1カフェチェーンの座を不動のものとした。ブランドイメージを重視するスターバックスにとって、値下げ競争は最もやって欲しくない戦い方だ。

また、クーディーが台風の目となっているが、クーディーはまだまだラッキンに対抗するには力不足で、無数の、値下げが難しい小規模チェーンや独立カフェを倒しながら成長をしている。

中国のカフェ業界は、ラッキン、スターバックス、クーディーの3強を中心に、周囲をコンビニコーヒー、ファストフードコーヒーが取り巻く状況に落ち着きそうだ。汪洪棟院長には、夏のアイス飲料シーズンが終わる頃には、その体制が見えてくることになると見ている。

中国の消費者は、あと3年、コーヒーを低価格で飲めることになる。カフェチェーンから見れば、その間に、コーヒーを飲むし習慣を定着させることができるかどうかが鍵になる。

 

 

用を足すついでに健康診断。ショッピングモールのトイレに設置された自動尿検査機はどれほどの精度なのか

上海市などの施設の男子トイレに、自動尿検査機が登場した。19.9元を支払うと、14項目の尿検査をしてくれるというものだ。しかし、検査精度について疑問の声もある。新民晩報では、精度に関して専門家を取材した。

 

用を足すついでに健康診断

上海市広州市のショッピングモール、駅、空港などの男子トイレに、一風変わった小便器が現れている。上部にはディスプレイがあり、その前に立って用を足そうとすると「どのくらい健康診断を受けていませんか?」という広告が表示される。この小便器は、尿をサンプルにして14の値を測定してくれるという簡易健康診断機なのだ。

利用をする場合は、表示されるQRコードをスキャンして19.9元(約440円)を支払う必要がある。結果は、自動的に解析され、専用のミニプログラムに2分ほどで測定結果が表示される。

上海市広州市に現れた尿検査ができる男性用便器。2分で結果がスマホに送られてくることから話題になっている。

▲用を足すと、真ん中の装置で自動的に尿サンプルが採取され、14項目の検査が行なわれる。

▲ディスプレイがあり、「どのくらい健康診断を受けていませんか?」という広告コピーが表示される。19.9元を支払うと、自動的に尿検査が行なわれる。

 

診断精度に対する疑問も

しかし、この診断機について、診断結果がどこまで信頼できるのかという疑問も寄せられている。ディスプレイには「北京の有名な三甲病院との共同プロジェクト」と表示される。三甲とは病院のランクづけのことで最上級を表す。しかし、「有名な三甲病院」と書かれているだけで、具体的な病院名が表示されていない。また、ネット民からは、前の人の尿で汚染をされて、正確な診断はできないのではないかという疑問もあげられた。

新民晩報では、この疑問を設置運営をしている北京少多科技に取材をした。

上海市広州市に現れた尿検査ができる男性用便器。2分で結果がスマホに送られてくることから話題になっている。

 

診断精度は90%以上と主張するメーカー

この診断機は、遇測(https://yucemec.com/html/product.html)が開発をしたもので、現在、上海市の10のショッピングモールを中心に設置を進めているものだという。40以上もの特許を取得した診断機であり、その正確さは90%以上だという。

また、測定が終わった後は、蒸留水で3回洗浄することになっていて、他人の尿による汚染は起きないという。

 

専門家は医療機器としては疑問が残るという見方

新民晩報は、専門家にも取材をした。同済病院検査科の田佳楽主任助手は、「娯楽要素の強い診断機として楽しむ分にはいいのではないでしょうか。ただし、病院などの正確な検査と比べると、あまり意味があるとは思えません」と言う。

「病院では、顕微鏡を使って尿の沈殿物を目視検査します。また、アルブミンなどの生化学検査も測定器を使い、数値で結果が出ます。この診断機が医療機器として利用できるかどうかについては検証をしておりません」。また、病院ではサンプル採取に使った器具は、使い捨てか大量の専用洗浄液で洗浄をする。蒸留水で3回洗浄というのは、正確な検査をするのは不十分だとも指摘をした。

▲病院で尿検査を受けた場合は、顕微鏡で残留物を観察するなど、精度の高い検査が行なわれる。

 

スマートウォッチと同じ、あくまでも参考にすべきもの

また、新民晩報が国家薬品監督管理局に問い合わせをしたところ、この診断機が医療機器として申請、登録された事実はないことも判明をした。つまり、普通の便器と同じように商標登録をし、営業許可を取得すれば、自由に設置をして、サービスを提供することができる。当然ながら、この診断機による検査結果は、病院では問診の参考にすることはあっても、正式な診断結果として採用されることはない。

結局は、スマートウォッチのバイタル測定と同じで、誤差があることを承知の上、自身の参考にするものだ。多くの人が健康診断にはなかなか行きたがらないため、自分の健康を考えるきっかけにはなるかもしれない。

なお、新民晩報は、この診断機の利用料は19.9元だが、病院で尿検査を行なってもらうと、多くの病院で10元前後であると指摘している。

 

 

中国チェーンはなぜ原宿に出店をしたがるのか。原宿に出店する4社で異なる海外戦略

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今回は、東京・原宿に進出をする中国企業の戦略についてご紹介します。

 

関東圏にお住まいの方は、原宿という街がどういう場所であるかはよくご存知だと思います。一言で言えば、日本のポップカルチャーの発信地です。メインの通りである竹下通りはもはや観光地化をしていますが、一歩裏通りに入れば無数のアパレル店があり、表参道の方に歩いていけば、ハイブランドのブティックが並ぶという、サブカルチャーからメインカルチャーまでがグラデーションのように楽しめる街です。

この街に中国企業が注目をしています。現在、主だったところだけでも、激安ドリンク「蜜雪氷城」(ミーシュエ)、激安アパレル「SHEIN」(シーイン)、フィギュア玩具「ポップマート」、電子機器「Anker」(アンカー)が出店をしています。面白いのは、それぞれに誰をターゲットにするかという戦略がそれぞれに異なっていることです。

このような企業は、誰をターゲットに原宿に出店しているのでしょうか。また、何をねらって、地価の決して安くない原宿に出店しているのでしょうか。

 

このことを考えるのに、参考になるのが「ガチ中華」飲食店です。ガチ中華とは、中国人の中国人による中国人のための飲食店で、東京圏では池袋、大久保、西川口など大きな中国人コミュニティーがある場所に多く存在します。その地域に住む中国人のための飲食店であるため、日本人向けに味をアレンジはせず、本場の中国の味がそのまま楽しめるということから日本人もいくようになっています。注文も中国語しか通じないという店が少なくありません。

個人経営の飲食店の場合、顧客数がさほど大きくなくても営業をしていけるため、中国人コミュニティーがある場所にはこのようなガチ中華飲食店がたくさんあります。このような“ガチ中華”飲食店は、在留中国人に提供することが主体で、最近、日本人が行くようになってきているという状況です。

一方、ガチ中華でありながら、日本人の取り込みにも積極的なチェーンもあります。ひとつは2000年代に日本に進出したモンゴル火鍋の「小肥羊」(シャオフェイヤン、https://xfy.co.jp/)です。渋谷、六本木、新宿、池袋、銀座という主要な繁華街に出店し、在留中国人だけでなく、日本人も多く訪れます。また、四川火鍋「海底撈」(ハイディーラオ、https://jp.haidilao-inc.com/)も池袋、新宿など主要繁華街に出店し、中国人だけでなく日本人も多く訪れています。

また、日本のガチ中華ブームを見たからなのか、蘭州ラーメンマーラータンのチェーンも各地に進出し、こちらは中国人よりもむしろ日本人の方が多いぐらいでないかと思います。

このようにガチ中華と言っても、中国人をねらうか日本人をねらうか、そのバランスをどうするかで各社いろいろ戦略があるようです。その中で、原宿というのはどういう位置づけになるのでしょうか。

 

原宿という街は、いろいろな側面を持っています。表参道側に少し歩けば、ハイブランドのブティックが並ぶ高級商店街であるため、高級感のある地域でもあります。一方、竹下通りは中学生、高校生が食べ歩きをするダウンタウンという言葉がぴったりの場所です。高級感があるのに、若い世代が多く訪れ、大きな流量があるという街は多くありません。普通は高級であれば流量は少なく世代は高く、逆に流量が多くて世代が若ければ高級感がなくなるかのいずれかなのです。ここが原宿の面白いところです。

そこに最初に目をつけたのは台湾台中市の春水堂(チュンスイタン、https://www.chunshuitang.jp/)でした。春水堂はタピオカミルクティーを考案した中国茶カフェであることから、世界的に知られるようになりました。ヒントになったのは、経営者が大阪のバーで飲んだカクテルだとも言われます。春水堂は日本でのブランドイメージを高めるために高級感のある地域に出店をしていきました。2014年に原宿に出店すると、銀座、六本木、代官山に出店をして行きます。東京の中ではいずれも高級感のある地域です。春水堂はこのような地域を選んで出店することで、高級感のあるブランドイメージをつくることに成功しています。

同じ時期に、台湾高雄市を拠点とする貢茶(ゴンチャ、https://www.gongcha.co.jp/)が原宿に出店しました。貢茶はターミナル駅駅ナカ、駅チカに戦略的に出店していき、流量を取る戦略で展開をしていきます。また、遅れて原宿に出店した「Coco都可」(ココトカ、https://cocofreshtokyo.amebaownd.com/)は、下北沢、秋葉原といった若者が集まる街を中心に出店をしていきます。

つまり、高級感、流量、若者という三者三様の戦略で店舗展開をしていきます。この3つの戦略の重なる場所が原宿であったわけです。各チェーンともに、日本人をターゲットにして、出店場所でブランドイメージをつくっていきました。

▲原宿に出店している台湾・中国のチェーン。各チェーンとも同じ原宿に出店しながら戦略が異なっている。

 

では、中国チェーンの「蜜雪氷城」、「SHEIN」、「ポップマート」、「アンカー」はどのようなねらいで原宿に出店をしているのでしょうか。それぞれの企業については、以前のメルマガでご紹介をしていますので、そちらも併せてご参照ください。

・蜜雪氷城

vol.087:洗脳神曲「密雪氷城」の背後に隠されたプロモーションロジック

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・海底撈

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今回は、中国企業が原宿に出店をする理由とその戦略についてご紹介します。

 

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予約不要。スマホを改札でかざすだけ。地下鉄感覚で乗れる新幹線

国鉄路南昌局は、管轄域内のすべての駅でチケットレス乗車に対応したことを発表した。高鉄も予約することなく、いきなり改札でスマートフォンをかざして乗ることができるようになる。高鉄が地下鉄感覚で乗れるようになったと澎湃新聞が報じた。

 

地下鉄感覚で乗れる新幹線

2024年5月16日、中国鉄路南昌局は、管轄域内のすべての高鉄(中国版新幹線)駅で、チケットレス乗車の「鉄路eカード」への対応が完了したと発表した。高鉄のチケットレス乗車への対応は2018年から始まっているが、これで都市間高鉄のすべての路線でチケットレス乗車が可能になった。

鉄路eカードを使うと、新幹線に乗るのに事前予約は必要なくなる。直接高鉄駅に行き、改札で鉄路eカードのQRコードをかざすと、自動的に電子乗車券が発券され乗車をすることができる。また、下車駅でもQRコードをかざして下車をすることができる。つまり、地下鉄感覚で新幹線に乗れることになる。

チケットレス乗車では、事前の座席予約は不要。いきなりスマホを改札にかざして、高鉄に乗車することができる。地下鉄感覚になった。

 

チケットレス専用の座席を確保

このチケットレス乗車を利用するには、中国鉄路の予約アプリ「12306」から、鉄路eカードの申請を行なっておく必要がある。顔認証用(改札で自動的に顔認証も行なわれる)の顔写真と身分証データをアップロードし、銀行口座やApplePay、スマホ決済などの決済手段との紐付けをしておく必要はあるが、それができてしまえば、地下鉄やバスに交通カードで乗るのと同じ感覚で高鉄が利用できるようになる。

問題は、高鉄は全席指定席であるということだ。各列車にはこのチケットレス乗車用の座席があらかじめ確保されている。もし、確保されている座席がすべて埋まってしまった場合は、自動的に次の列車の座席が割り当てられることになる。そのため、中国鉄路では、連休時や週末などの混雑時には、チケットレス乗車ではなく、通常どおり、座席予約をすることを勧めている。この座席予約も、予約アプリ「12306」でスマホからできるようになっている。

チケットレス乗車をするには、「鉄路eカード」アプリに登録をしておくことが必要になる。QRコードをかざすだけで高鉄に乗車できるようになる。

 

チケットレスで多彩なチケットの販売が可能に

このチケットレス乗車により、中国鉄路は多彩なチケット商品を販売できるようになる。いわゆる定期券や回数券だ。従来のオンライン予約方式でも定期券や回数券は販売できるものの、毎回予約をしなければならず、そのたびに決済方法として定期券や回数券を指定しなければならないという面倒があった。しかし、チケットレス乗車であれば、定期券や回数券のクーポンを自動参照して、請求額を調整すればいいだけになる。例えば、5回分の回数券を事前に購入しておいたら、5回までのチケットレス乗車は請求をしないというだけでいい。また、区間内であれば乗り降り自由などという周遊型チケットの販売も可能になる。

これにより、通勤や旅行などを目的とした多彩な定期券、回数券を発売できるようになる。高鉄がより身近な存在になるとが期待されている。

▲下車駅でも改札でQRコードをかざせば駅の外に出ることができる。料金は紐付けをしたスマホ決済から自動的に引き落とされる。