中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

コロナ禍で苦境に立たされる飲食店。回復の鍵は「効率化」「地元密着」「デリバリー対応」

2022年に新型コロナの感染が再拡大し、飲食店は客流不足に悩まされている。その中で売上を落とさずに済んでいるのが地元密着店だ。また、ファストフードは効率をさらにあげるため小型店舗の出店を試みていると餐飲老板内参が報じた。

 

ショッピングモールは小売店から飲食店へ

飲食店が危機に瀕している。大きな要因になっているのがショッピングモールの不調だ。中国のショッピングモールは都市型が多く、小売店が入居していたが、ECの浸透により小売店が撤退をし始め、空き店舗が目立つようになった。そこで、ショッピングモール運営は飲食店を誘致し、ショッピングモールからグルメモールへの転換を図ってきた。

従来のショッピングモールは小売店が9割で、飲食はバフェテリア方式で提供するのみというところも多かったが、小売店の撤退により、飲食店が増え、さらにゲームコーナーや脱出ゲームなどの体験店舗も増え、小売:飲食:娯楽の比率は、最近では5:4:1が黄金比率だと言われるようになっている。

 

頼みの飲食店もモールからの撤退が始まっている

しかし、その飲食店もショッピングモールからの撤退が始まっている。贏商網の統計によると、今年2022年1月から4月の成都、上海の主要ショッピングモールの空き店舗率はそれぞれ8.7%、9.8%となり、また、広州市の主要ショッピングモールの空き店舗率は14.1%まで上昇をした。5%か6%前後が、モール運営の危険ラインと言われていて、それを割り込んでしまっている。

 

2022年の感染再拡大により客流が減少

その原因は客流の現象だ。今年2022年1月から4月のショッピングモールの来場数は、昨年同時期から19%も減少した。2021年は、コロナ禍が終息をした兆しがあり、経済が回復基調に乗ったが、2022年に入り、再び感染拡大が始まり、人流が大きく減った。小規模のロックダウンが続くためだ。多くのロックダウンは、社区(町内会)、施設単位で行われ、予告なく突然閉鎖をされる。たまたまそこに居合わせただけで1週間以上、外に出られるなく。このような面倒を避けるため、外出することを避ける空気感が生まれている。

▲店内モバイルオーダーとデリバリーの売上比。コロナ禍以降、店内モバイルオーダーによる注文は伸び悩み、デリバリーが大きく伸びている。単位:億元。「中国生活サービス業デジタル化報告」(中国チェーンストア協会)より作成。

 

地元密着でコロナ禍を乗り切った紫光園

その中で、比較的安定した経営をしているのが地元密着店だ。近所の客流を見込んでいるため、売上としては大きくなく、成長の余地も少ないとコロナ禍以前は、取り残された飲食ビジネスだったが、中国のコロナ禍が「感染の不安」よりも「ロックダウンの不安」が大きくなるとともに、近所の客流が再び回復をしている。

地元密着をコンセプトに50店舗を展開する「紫光園」(http://www.ziguangyuanqzc.com/)は、このコロナ禍を乗り切っている。本格レストラン25店舗あるが、周辺1kmから3kmのホワイトカラーを対象にしたスタンド形式(テイクアウト専門)の店舗70店舗、若者を対象にしたファストフード店舗40店舗も展開している。このようなファストフード、スタンド形式の店舗が好調だった。朝食や昼食をさっと食べて帰ることができる、あるいはテイクアウトをすることで店舗での滞留時間が短くて済むからだ。また、本格レストランも地元密着であるために、感染が落ち着くと客流の戻りが早い。

老舗の「東来順」や火鍋の「海底撈」も、同様の地元密着店の展開を始めている。

▲紫光園のスタンド形式の店舗。テイクアウト専門で、自宅やオフィスなどで食べることができるため、コロナ禍でも売上がほとんど落ちなかった。

 

飲食店に求められる「効率」「地元密着」「デリバリー対応」

コロナ禍後の飲食店に起こるのは次の3つの変化だと言われる。

1:効率の競争になる

人手不足、コストの上昇により経営が圧迫をされている。人件費などのコストを圧縮し、効率の高い経営が求められるようになっている。特に坪効果(単位面積あたりの売上)が重視されるようになっている。

2:地元密着

ショッピングモールや繁華街など客流の多い場所ではなく、リピーターが育成できる地元密着店に注目が集まっている。ただし、市場が大きくないため、現在はブルーオーシャンに見えているが、あっという間にレッドオーシャンになる可能性がある。

3:デリバリーとの連携が必須

ファストフードなどはデリバリー対応が進んでいたが、いよいよ伝統的な中華料理飲食店でもデリバリー対応店舗が50%を超えた。もはやどの飲食店でもデリバリー対応が必須となる。

▲店内モバイルオーダーとデリバリーの売上比。コロナ禍以降、店内モバイルオーダーによる注文は伸び悩み、デリバリーが大きく伸びている。単位:億元。「中国生活サービス業デジタル化報告」(中国チェーンストア協会)より作成。

 

小型店舗の出店を試みるディコス

この状況下で、小型店舗の出店を進めているのがハンバーガーなどのファストフード「徳克士」(ディコス) だ。現在2600店舗を展開し、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンを追いかけているが、小型店舗の出店を急いでいる。

杭州市で複数店舗のディコスのオーナーである朱暁俊氏は、餐飲老板内参の取材に応えた。「以前は200平米以上の店舗に300万元の初期投資が必要でした。スタッフも15人から17人は必要になります。しかし、今出店しているのは130平米です。家賃も半分程度になり、スタッフも9名で間に合います。常時、4名から5名が出勤していれば、高い水準の品質を保つことができます」。

しかし、朱暁俊氏も130平米はじゅうぶん小さいとは言えないという。そこで、店舗に倉庫、冷凍庫などを入れ、配送回数を減らし、配送コストを下げ、いわゆる店舗面積を70平米程度に抑えた「精巧店」に改装をした。

メニューも80%程度に削減し、効率化を図っている。

▲ディコス精巧店。精巧店とは小型店舗の名称。テーブル席を減らしてカウンター席を増やした。また、デリバリー専用ロッカーも用意をした。

 

若い世代はテーブルよりもカウンター席を好むようになっている

小型店舗に転換をしていくと、客席が削られることになり、居心地は悪くなる。しかし、ファストフードの主要客である若者層にとって、テーブル席よりもカウンター席の方が居心地がいいと感じる人も多いという。

業界人の感触では、いわゆるテーブル席中心のレストランの回復率は昨年の3割程度で多くの店舗が厳しい経営状況にある。カジュアルレストランは50%-60%程度、ファストフードは70-80%の回復率という感覚だという。一人で行けて、短時間で食事が済むファストフードに人気が集まり、家族や友人と大人数で食事を楽しむときはレストランではなくデリバリーをし自宅で楽しむという傾向が出てきている。

しばらくの間は、ファストフードの小型店舗が増えていくことになりそうだ。

 

SHEINは、なぜ中国市場ではなく、米国市場で成功したのか。持続的イノベーションのお手本にすべき企業

 

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今回は、日本にも上陸して話題のブランドSHEINについてご紹介します。

 

早速、知財のパクリ問題、プロの目から見た場合の低品質問題などが話題となり、いかにも中国ブランドというイメージになりつつありますが、そのようなネガティブな部分が中国らしくもあれば、優れたポジティブな部分も中国らしい企業です。

SHEINのポイントは次の5つになります。

1)広州市番禺区の服飾生産地帯=下町工場を基地にしていること

2)AIアシストによる効率的なデザイン作業

3)小ロット生産から始める独特の発注システム

4)可処分所得の少ない女子大学生をターゲットにしたこと

5)KOCを活用し、消費体験を変えたこと

 

このうち、重要なのは3の小ロット生産と5のKOCの活用です。

SHEIN(希音、シーイン)の創業は2011年と古く、本格的な成長が始まるのは2017年からです。意外と雌伏の期間が長くあります。1から4のポイントは、この雌伏期間に試行錯誤をしながら獲得していったもので、イノベーションというより徹底した改善に近いものです。あるいは持続的イノベーションと言ってもいいかもしれません。既存の枠組みをどう改良すれば、より優れた結果が導けるか。SHEINはここに関しては徹底をしています。

これにより、SHEINが常にライバルとして目標にしていたZARA(ザラ)が企画から製造、出荷までが30日から60日というアパレル業界では脅威のスピードを誇っていましたが、SEHINはわずか2週間ほどで可能にしてしまいました。小さな改善を積み重ねて整理をしていくと、別次元の効果を生むということの好例になっています。

 

創業者の許仰天(シュー・ヤンティエン)はエンジニア出身です。青島科技大学でコンピューター科学を専攻していました。2007年に卒業した許仰天は、越境ECのシステム開発に興味を持っていました。タオバオのように、販売業者と購入者をマッチングしたら、後は宅配便企業にお任せというのではなく、輸出や税関、国際物流、法令までシステムで管理をしなければならい複雑さに挑戦しがいを感じていたのかもしれません。

そこで、越境ECのシステム開発をしていた南京市の奥道情報技術に就職をして、エンジニアとなりましたが、仕事は検索エンジン最適化のSEO対策エンジニアリングでした。ウェブの構造を工夫して、検索エンジンの上位に表示されるようにする業務です。

社会に出ると、許仰天は業界情報に耳を立てるようになりました。すると、ウェディングドレスがものすごく儲かるという話を耳にします。

 

中国ではウェディングドレスが大量に生産されています。中国では日本のような結婚式を開く人はあまり多くありません。友人を招いて会食やパーティーをすることはあっても、みな普段着で参加するような感覚です。むしろ、農村の方が派手な結婚披露宴をするほどです。

ただし、結婚式という改まったことをしなくても、必ずするのが「婚照」です。婚とはウェディングドレスのことで、照とは写真のことです。ウェディングドレスを着て写真館で1枚だけ撮るなどという地味なものではなく、景色の素晴らしい場所に行って何枚も撮影します。専門の演出家がついたり、後で特殊効果を加えたりすることも珍しくありません。場合によっては海外にまで撮影に行ったりします。大量の写真を撮り、アルバムを作成し、夫婦の部屋に飾っておくというのが一般的です。

結婚式が地味である分、この婚照にはお金をかけます。ウェディングドレスもレンタルでいいような気がしますが、何着も購入する人もいるようです。中国独特の習慣です。

これにより、どこの都市にもウェディングドレス専門店街というのがあります。結婚する人誰もがウェディングドレスを買うという大きな需要があるため、大きな産業になっているのです。

 

許仰天が耳にしたのは、中国で生産されたウェディングドレスを米国に持っていき、売ることができれば10倍の価格でも売れて、大儲けできるという話でした。調べてみると、確かにその話に間違いありません。しかし、輸出の手続きや米国での販売拠点の構築が難しく、誰も手をつけていないビジネスでした。

当然、これは最初に手をつければ大儲けができると許仰天は考えました。自分がやりたかった越境ECのシステム開発にも取り組めます。

許仰天は、2人の友人と一緒に、2008年10月に南京点唯情報技術を設立して、中国で生産されたウェディングドレスを米国でオンライン販売するビジネスを始めます。これが大成功でした。面白いように儲かったのです。

しかし、すぐに問題が生じます。

ひとつは儲かるということがわかると、続々とライバルが出現したことでした。2010年9月にはJJ’s Houseというブランドが、まったく同じ、中国生産のウェディングドレスを米国でオンライン販売するというビジネスを始めました。このJJ’S Houseの運営企業「蘇州楽貝科技」は、ソーシャルEC「ピンドードー」系の会社です。当時はピンドードーはまだ創業されていませんが、蘇州楽貝科技の大株主は、現在のピンドードーの会長CEOとCOOです。

つまり、SHEINの前身企業とピンドードーの前身企業が、米国でウェディングドレスをめぐって競争をしていたのです。現在、米国でSHEINとピンドードーの米国版「Temu」が競争をしているのは因縁を感じざるを得ません。

もうひとつの問題は、ウェディングドレスのビジネスは、リピーターが養成できないということです。現実にはそうでなくても、結婚式は一生に一回のことであり、また同じところでウェディングドレスを買うと考える人はいません。そのため、常に新規の顧客を集客しなければならず、新規顧客の獲得に大きな労力が必要になるビジネスであるということがわかりました。

 

許仰天は転換をするなら今しかないと思いました。ウェディングドレスのビジネスはいずれ行き詰まる。今なら稼いだお金がある。今のうちに別のビジネスに転換すべきだと考え、女性アパレル全般を扱うことにして、2011年にSheInsideというブランドを立ち上げました。これが2015年にリブランドしてSHEINとなります。そのため、SHEINをシャインと読む人もいますが、成り立ちからシーインと読むのが正しいように思います。中国名も「希音」で読み方はシーインです。

SHEINが、ウェディングドレスを縮小していったため、ライバルのJJ’s Houseは2016年に世界最大のウェディングドレス専門越境ECとなりましたが、やはりビジネスは先細りとなり、SHEINを見て、女性アパレル全般のFlorydayを立ち上げ、ここでもSHEINと激しく競い合います。

しかし、当時は両方のブランドともに、中国で生産された衣類を米国で売るだけという工夫のないものであったために、安売りブランドとしてあまり注目はされていなかったようです。

それが変わったのは、2015年頃からSHEINが積極投資をして、体制を整え始めてからです。SHEINはZARAをモデルに体制構築を学び、さらにZARAを超えるにはどうすればいいのかを考えるようになります。ここからSHEINの本格的な成長が始まります。

ここからSHEINはアパレル業界の常識を塗り替えていくことになります。今回はSHEINが米国で成功した理由についてご紹介します。

 

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vol.150:勢いのある種草ECに対抗するタオバオ。電子透かしを活用したユニークな独自手法を確立

vol.151:原神の売上は東京ディズニーランドとほぼ同じ。90后企業miHoYoの新しいビジネスのつくり方

vol.152:アリババがいち早く脱GMV化。GMVではなく、CLVにもとづくEC運営へ

 

 

抖音とウーラマが提携。ショートムービーで見た食べ物がその場で注文、宅配。デリバリーの新しい注文スタイル

抖音とウーラマが提携し、ショートムービーから直接フードデリバリーを注文できるようになった。ウーラマにとっては中高年の利用者にアプローチをするチャンスにもなる。しかし、最も大きいのはショートムービーで潜在的な欲求を喚起して利用に結びつけることができることだと電商在線が報じた。

 

抖音とウーラマが提携

今年2022年8月19日、ショートムービーの「抖音」(ドウイン)とフードデリバリーの「餓了么」(ウーラマ)が業務提携することを発表した。食事などのショートムービーを見ていて、お腹が空いたら、そのムービーの商品タグをタップすることで、食事が注文できる仕組みが実現されると見られている。

同様の提携は、2021年末に、ショートムービーの「快手」(クワイショウ)とフードデリバリー「美団」(メイトワン)が行っている。しかし、快手の中に美団ミニプログラムが実装されるだけという浅い提携になっている。快手の中から美団ミニプログラムを使ってフードデリバリーを注文できるというだけのことで、ショートムービーで需要を喚起して、そのままそこから飲食店の食事や飲料を注文できるというわけではない。消費者にとっては、わざわざ快手の中の美団ミニプログラムを使わなくても、美団アプリや頻繁に使う「微信」(ウェイシン、WeChat)の美団ミニプログラムを使えばいいのだ。

▲美団と快手も提携をしているが、提携があまり生かされていない。快手の中に「美団」ミニプログラムが実装され、起動すると、通常の美団アプリと同じように注文ができるというだけ。アプリを使った方が手順が少なく便利などほどだ。

 

近所の人に優先的に配信される抖音の独特なアルゴリズム

抖音は、ショートムービーの配信をAIで行なっている。ユーザーの視聴傾向などを見てマッチングを行い、ユーザーが好みそうなショートムービーを優先的に配信している。これにより、抖音は「見たい映像が次から次へと配信されてくる」状態をつくりだしている。

抖音はもうひとつの配信アルゴリズムを併用して適用している。それは、発信者の近くにいるユーザーに優先的に配信するというものだ。例えば、カフェがショートムービーを投稿すると、そのカフェの近くにいる人に配信されるため、その人たちがカフェにやってくることが期待できる。このようなショートムービーには、位置情報タグが表示されるため、その位置情報タグをタップするとカフェの位置や口コミなどが表示される。そこから、事前にモバイルオーダーをしておくことも可能になっている。

▲抖音ではショートムービーに位置タグを入れることができ、これをタップするだけでウーラマによるデリバリー注文ができるようになる。ショートムービーで需要を喚起して、そのまま直接購入に結びつけることができるようになる。

 

独自デリバリーを断念して、ウーラマと提携

しかし、店舗にきてもらうだけではなかなか成果があがらない。そこで、抖音は昨年2021年7月に「心動外売」というデリバリーサービスのテスト運営を始めた。近くにいる人に店舗にきてもらうだけではなく、デリバリーを注文してもらうことで飲食店の販売量を増やしてもらおうというものだ。

しかし、5ヶ月後に心動外売のテスト運営は終わり、正式運用も始まっていない。配送網の構築に課題があり、乗り越えるのが難しいと判断されたようだ。そこにウーラマとの提携であり、すでに配送網がしっかりしているウーラマのデリバリーを活用することにしたのだと見られている。

 

ウーラマにメリットの多い抖音との提携

この提携は、ウーラマにとっても大きなメリットがある。ウーラマとライバルの美団は、市場シェアがダブルスコアまで開き、差をつけられていた。しかし、2019年ごろから、じわじわとウーラマがシェアを拡大し、現在は美団の7割程度まで迫っている。業界トップの座が見えてきているのだ。

一方で、ウーラマの課題は、利用者が若年層が厚く、中年層にうまく浸透をできていないことがある。中年は、従来通り、店に行って食事をしたり、自分で買ってきて自宅で食べるのを好み、デリバリーをあまり利用しない。

一方、抖音は以前は若者中心だったが、現在では広い年齢層に広がり、ウーラマが弱い36歳以上も30%いる。この層に、食事や飲料のショートムービーからデリバリーを注文してもらうということが期待できる。

▲抖音の利用者は意外に中高年も多い。40歳以上が19%にもなる。若い利用者中心だったウーラマはこのような中年にもユーザーを広げるチャンスになっている。

 

DAUが伸び悩む抖音にもメリットは大きい

抖音も日間アクティブユーザー数(DAU)が6億人を超えたところで足踏みが始まり、7億人の壁を破ることができず苦しんでいる。このため、ECなどの物販を組み込んでいくことにより、収益化を図るようになっている。抖音にとっても、ウーラマとの提携は、DAUの上昇と収益増大を同時にねらえる好機になっている。

なにより大きいのが、飲食注文に至るプロセスが変わることだ。従来は「お腹が空く」→「グルメアプリで検索」→「来店またはデリバリー」という欲求が起点になったプロセスだった。

しかし、抖音とウーラマが提携をすると、「ショートムービー」→「お腹が空く」→「デリバリー注文」というプロセスができることになる。欲求がないところ、あるいは欲求が潜在化しているところを掘り起こし、購入に結びつけることが可能になる。

 

 

中国の半導体が、西部内陸部で製造される理由。その中心にあるのは甘粛省

中国の半導体工場は、甘粛省西安成都など西部内陸部に集中をしている。土地や電気のコストが安いということもあるが、西部に集中するのには歴史的な理由もあったと華商韜略が報じた。

 

1人GDPが全国最低の甘粛省

中国というと、東部の沿岸部の大都市が思い浮かび、なかなか西部の方にまでは意識がいかない。甘粛省は中国西部の省で、シルクロードが栄えていた時代は、交通の要所として栄えた場所だ。河西回廊が交通の要所となっていて、チベット高原ゴビ砂漠を抜けて、西域に至る重要拠点だった。しかし、近代になってシルクロードの重要度が失われるとともに甘粛省は寂れ、莫高窟の観光資源ぐらいしかない地域になっていた。2021年、甘粛省GDPは1兆元を突破したが、それでも中国第29位、1人あたりのGPDでは、全国最低となっている。

甘粛省は中国西部の産業が未発達な省。1人あたりのGDPでは中国でいちばん低い。しかし、半導体産業の規模は中国で2位となっている。

 

半導体生産が盛んな甘粛省

しかし、この甘粛省が中国の半導体生産を支えている。甘粛省半導体生産量は2021年で643億個となり、中国では江蘇省に続いて、第2の省となっている。なぜ、1人あたりのGDPが中国で最低の取り残された地域である甘粛省半導体が生産されているのか。これには長い歴史があった。

1969年、米国がアポロ11号で、人類が初めて月面に降り立つという快挙を成し遂げた。アポロ計画の技術上の大きなポイントは、LSI(大規模集積回路)を多用し、デジタル計算により、宇宙船などを制御したことだ。と言っても、今日のコンピューターから見れば初歩的なもので、現在の科学計算電卓よりも計算能力は低かったとも言われる。この頃、米国と中国のデジタル技術に大きな差はなかった。中国としてはロケットやミサイルという軍事技術もデジタル制御されることは必須であるとみて、LSI技術の確立に積極的に動いていた。

その使命を担った第4機械工業部は、各地に半導体工場を設立していったが、そのうちのいくつかを甘粛省に移設することになった。なぜなら、甘粛省には酒泉衛星発射センターがあり、当時は東風センターと呼ばれ、弾道ミサイルの発射実験が行われていた。そのため、LSIを供給する工場がそばに必要だったからだ。

こうして、甘粛省秦安に749工場(後に永紅器材)、871工場(後に天光集成電路)が設立された。

米国のシリコンバレーも、サニーベール市にあるモフェット海軍飛行場で、秘密プロジェクト「ポラリス」(潜水艦から短距離核弾頭ミサイルを発射する)を担当したロッキード社が開発チームを移転させ、それにともないさまざまな工学系企業が集まってきたのが、その始まりとなっている。米国も中国も軍事がテクノロジー産業のメッカを生んでいる。

▲中国の半導体生産は、上海市に近い江蘇省がトップだが、2位は西部のあまり開けていない甘粛省だ。

甘粛省には酒泉衛星発射センターがあった。このため、半導体企業が周辺に集まることになった。

 

IC封入に生き残りをかけた国営工場

この2つは国営企業であったため、生産性は悪く、改革開放の時代になると、国営企業の多くが破産をした。しかし、永紅器材は生き残りを図った。自分たちの技術を生かして、IC封入と検査の事業に特化をした。半導体は円形のシリコンウェハー上に写真印刷の技術を用いて回路を印刷し、1つのウェハーに大量の半導体をつくる。このウェハーを切り出し、半導体を1つ1つに分け、金属線を取り付けて、樹脂カバーを取り付け、最終検査を行うのがIC封入工程だ。つまり、半導体の後工程、仕上げ工程を担当する。

これにより、永紅器材は秦安から天水に移転をし、組織改変を行い、華天科技と改称した。2007年には深圳証券取引所に上場をし、中国でも第2位、世界でも第7位のIC封入業者となっている。華天科技は、現在、甘粛省のGPDの1/6を生み出している。

▲華天科技の工場内。自動化が進んでいるため、人の姿は少ない。

半導体産業では台湾に遅れをとった中国だが、猛烈に追い上げている。IC封入ではJCET、華天科技が世界のトップ10に食い込んできた。

 

サムスン西安半導体工場を建設

甘粛省だけでなく、陝西省西安市にもサムスン半導体工場がある。世界で生産されるフラッシュメモリーの15%以上を生産し、世界で最大のフラッシュメモリー生産工場となっている。

サムスンは中国に半導体工場を建設する上で、さまざま地域を調査し、最終候補に残ったのが、西安重慶だった。サムスンの内部では候補地をスコア化し、重慶が95.5点、西安が75.0点だったという。ほぼ重慶に決まりかけていたが、四川大地震の被害を重慶も受けたことから、最終的に西安が選ばれたという。当時、サムスンの海外投資案件としては最大のものになった。

サムスンは、世界最大のフラッシュメモリー工場を西安市で稼働させている。


インテル成都市でIC封入工場を稼働

中国西部には西安半導体工場があり、甘粛省にIC封入工場がある。あとは単結晶シリコンの生産工場があれば、中国西部に半導体生産の上流から下流までがそろうことになる。隆基緑能(ロンジーグリーンエナジー)は、単結晶シリコンの生産工場を寧夏回族自治区の銀川市に建設した。

四川省成都市には、インテルインテルとしては最大のIC封入工場を建設した。これにより、半導体関連の国内企業、海外企業が成都市に拠点を置くようになり、成都市政府もシリコンウェハー生産とICの設計の2つの領域で企業を育てる政策を進めている。

インテルインテル最大のIC封入工場を成都市に建設した。

 

土地と電気が安い中国西部が半導体生産のメッカに

これにより、中国西部の半導体生産体制が整っていった。中国西部は高原と砂漠ばかりだが、高速道路と中国版新幹線「高鉄」が整備をされたため、交通の便の悪さは大きな問題ではなくなっている。一方で、土地の使用料は安く、水力、太陽光、風力などのエネルギー資源が豊富にあるため、電気代が非常に安い。このようなことから、中国西部が半導体生産のメッカになろうとしている。地方政府も、産業の少ない中国西部の経済を活性化する決め手として半導体関連企業を積極的に誘致をしている。

半導体の最先端技術を追求する点では、中国は台湾や韓国に大きく遅れをとっている。しかし、米中貿易摩擦に端を発したデカップリング政策で、ファーウェイの最先端SoCのKirinが製造できなくなるど、中国は半導体最先端技術のキャッチアップにも本腰を入れ始めている。この数年で、中国の半導体産業が飛躍的に成長するのはほぼ確実だが、その中心地は上海や北京という東部沿岸部ではなく、西部内陸部になりそうだ。

 

 

22日間、新疆ウイグルへのEV旅。燃料費はガソリン車の1/3。かかった費用をすべて公開した旅行インフルエンサー

旅行に関する配信を続けている驢姐姐。念願だったEVを自分で運転して新疆ウイグルに行くという旅を、SNSで毎日配信した。燃料費はガソリン車の1/3程度で済んだということが話題になっている。かかった費用は、すべて驢姐姐旅行記で公開された。

 

EVを運転する3900kmの旅

驢姐姐(リュー姐さん)は旅行関連の配信者。以前から中国各地に旅行に行き、ライブ配信やムービーを配信し、人気となっていた。その驢姐姐が念願だった新疆ウイグル自治区に自分でEV車を運転していくという旅を実現した。

新疆ウイグル自治区は、中国の最も西の端にあり、北京標準時では生活実態に合わないため、2時間の時差がある新疆時間が使われているほど離れている。驢姐姐が住んでいる浙江省杭州市からウルムチ市までは約3900km。高速道路がつながっているが、それでも休みなく走っても39時間はかかる。

▲NIOのEVを購入し、22日間かけて新疆ウイグルを往復した。毎日、SNSで配信をし、この旅行が話題になっている。

 

EVでウイグルに行く思い切った旅

その長い距離を車を運転して旅をするだけでもたいへんなことだが、さらに、驢姐姐は運転する車に「蔚来」(ウェイライ、NIO)のes6を選んだ。今年で新エネルギー車に対する政府補助金がほとんど打ち切られるため、驢姐姐としてはEVを購入して、ウイグルに行く夢を実現するのは今しかないと思い切ったという。

その旅行記はもちろん各種SNSや動画共有プラットフォームを通じて配信されたが、驢姐姐はこの旅行にかかった費用をすべて公開している。果たして、EV旅行は燃料車に比べて安上がりなのか、それとも高くつくのか。その点で、驢姐姐の旅行記が話題になっている。

 

充電代は従来の燃料代の1/3以下

旅行の行程は、往復で22日間。走行距離は9800kmにも及んだ。この行程で、充電は合計46回。1日2回は充電をすることになる。

充電量は合計で2969kWh。充電費用は3985.42元となった。ただし、NIOが提供する無料充電が11回使えたため、実際に支払ったのは3389.71元(約7万円)となり、1kmあたりの費用は0.35元(約7.3円)となった。驢姐姐が以前に乗っていたジーラングラーでは1km当たりのガソリン代が1.2元であったので、1/3以下、一般的な燃料乗用車と比べても半分程度になった。

往復ともに高速道路を利用し、40ヶ所の料金所を通過し、35のETCゲートを通過した。合計で高速代は2934.91元となった。また、下道でも有料道路が五ヶ所あり、175元を支払ったため、通行量は合計で3109.91元となった。

▲驢姐姐はどこで充電したかもすべてSNSで配信した。ウイグルでも充電ステーションはじゅうぶんにあり、事前に場所と空き状況を確かめておくことで問題を感じたことはなかったという。

▲充電場所、充電量、料金などもすべて公開をした。燃料車の1/3のコストで済んだという。

 

キャンプに適した場所はなかなか見つからない

驢姐姐はキャンプの配信もしている。そのため、今回の旅行でもテントを携行し、可能な限りキャンプをしようとしたが、実際には適した場所はほとんどなかったという。結局バルクルで一晩テント泊ができただけで、3日は車中泊、その他はすべてホテルに泊まることになった。

驢姐姐が使うテントは、EVの後部に接続できるタイプもので、これであると、気候が厳しければ車のエアコンや暖房を使うことができる。ただし、気候はよく使う必要はなかったという。

キャンプをする機会が少なかったために、カナス湖では昼間にテントを張って、キャンプを楽しんだ。

▲バルクルではテント泊ができた。車の後部に接続し、エアコンをオンにすることで暖をとることができる。今回は気候がよかったためエアコンは必要なかった。

▲テントの横で、お茶を入れる驢姐姐。

▲カナス湖の風景があまりに素晴らしかったため、テントを張って、大自然を楽しんだ。

 

ペット可のホテルはまだまだ少ない

驢姐姐の今回の旅行は、愛犬を連れていた。このため宿泊に問題が生じた。グレードの高いホテルのほとんどはペット不可だからだ。そのため、スマートフォンでホテルにペット可であるかどうかを問い合わせ、予約を入れたが、実際にチェックインをしてみるとその場で断られたりと、ペットへの対応がまだまだ遅れていると感じたという。

あるホテルでは、ペット可ということでチェックインをした後、部屋に向かおうとすると警備員がペットを連れていることを咎め、支配人が出てきて、結局、1階の端の最も条件の悪い部屋に強制的に替えられるなどのトラブルもあった。

それ以来、理解のある民宿や小さな家族的なホテルを中心に泊まったため、宿泊費は安くあがった。合計で3495元となった。

▲カナス湖では、愛犬と一緒に大自然を楽しんだ。

▲宿泊をした場所と、その価格。高速道路では車中泊もした。ペット可の宿泊施設が少ないことが不満に感じたという。

 

ウイグルでは果物が安くとびきり美味しい

驢姐姐の計画では、毎日テント泊をし、朝はお粥をつくって食べ、昼と夜はその土地のものを食べるという計画だった。そのため、朝食用に300元ほどの食料を買って車に積み込んでいた。

食事にかかる費用は安く、昼食、夕食、その他のおやつとしての果物などを食べても1日100元にもならない。購入した食材と合わせてだいたい2500元ほどで済んだ。

驢姐姐はウイグルはスイカやハミウリ、葡萄といたた果物が安く、甘みがあって美味しいという。驢姐姐は普段は果物を食べすぎると、お腹が下ることが多かったが、ウイグルではどれだけ食べてもお腹が下るようなことはなかったという。

観光地はどこも入場料が必要になり、駐車場代が必要なところもある。ウイグルの観光地の入場料は決して安くない。8つの観光地を参観し、2つが無料で、6つが入場料が必要だった。合計で2210元となった。

▲朝は携行したお粥を食べ、昼と夜は土地のものを楽しむ。ウイグルの羊肉は安く、そして美味しい。

 

ウイグルでも充電ステーションは問題なし

この22日間の旅行費用は合計で1万4704.62元(約30.5万円)となった。新車であるので、車の保守費用などが不要ということもあるが、ガソリン代は大きく節約ができる。また、充電ステーションも数はまだまだ決して多くないとはいうものの、事前にスマホで検索をしておき、計画的に利用すれば不自由は感じなかったという。昼食の時や観光地を見学している間に充電をしておけば問題を感じない。

EVの充電が問題になるのは、時間に追われて移動をしようと考えるからだ。充電時間の30分から1時間が、大きな損失をしているかのように感じてしまう。目当ての充電ステーションがいっぱいだと、計画通り行程が進まなくなることに腹を立ててしまう。

しかし、そもそも自動車はEVであろうが、燃料車であろうが、渋滞に巻き込まれるリスクが常にある。時間通りに移動をしたいのなら、自動車で移動するより飛行機や高鉄を使った方がよっぽど早く、計画通りに移動ができる。自動車はそもそも時間に余裕がある移動の仕方であり、そのような使い方ではEVにも何ら問題は感じない。むしろ、お金が節約でき、環境負荷を減らすことができる素晴らしい移動ツールになる。

▲素晴らしい風景のカナス湖。

 

 

いよいよロボタクシーの時代が始まる。交通部が自動運転ガイドラインを公開。法整備が加速

交通部が自動運転車のガイドライン試行版を公開し、広く意見を求めている。すでにロボタクシー、ロボトラックは技術的には一定環境での走行が可能なところまで成熟しており、後は法整備を待つだけになっていた。その法整備がいよいよ始まる。北京交通ラジオ「1039調査団」では、ロボタクシー、ロボトラックの現状を取材した。

 

自動運転、実証実験から商用化への動き

中国の自動運転の焦点になっているロボタクシー、ロボトラックの商用化が近づいている。特に大きかったのが、科技部、交通部が自動運転商用化を促す政策を発表したことだ。

交通部は「自動運転自動車の運輸安全サービスガイドライン(試行)」(http://www.gov.cn/xinwen/2022-08/14/content_5705346.htm)を公開し、広く意見を求めた。

また、科技部は「次世代人工知能モデル応用シーンの建設を支持する通知」(https://www.most.gov.cn/xxgk/xinxifenlei/fdzdgknr/qtwj/qtwj2022/202208/t20220815_181874.html)を公開し、人工知能の応用が考えられる場面で、科技部が促進政策を実行する10のシーンを公開した。この中に自動運転が含まれている。

従来の自動運転に対する政府の対応は、公道試験の場所を設定することや試験のガイドラインを定めるなど、民間企業の要望に応える形のものが多かったが、この2つの通知は、政府が主体的に自動運転の商用化に向けてガイドラインの策定や促進政策を実行する領域を指定したもので、自動運転商用化がさらに加速をすると見られている。

北京市では200台のロボタクシーが走行中。そのうち30台は運転手がいない無人ロボタクシーだ。乗客はパネルから操作をして、ロボタクシーを走らせる。

 

無人運転ロボタクシーが走る北京市

北京交通ラジオの番組「1039調査団」では、現在のロボタクシーの状況を取材した。ロボタクシーは武漢市、重慶市ではすでに営業免許の認可が行われ、乗客を乗せた試験営業が始まっている。北京でも乗客を乗せた試験営業が始まっている。その中心になっているのは、北京市南東の亦庄にある北京経済技術開発区だ。ここではすでに200台のロボタクシーが乗客を乗せて走っている。現在、そのうちの30台は運転席に監視員がいない。助手席に検証エンジニアや監視員が同乗することはあるが、運転席には誰も座っていない無人運転が行われている。

無人運転のロボタクシー。助手席には検証エンジニアなどが同乗することもあるが、いない場合も多い。写真は取材のため広報担当者が助手席に同乗した。

 

200m先にいる猫を判別できる

百度バイドゥ)のスマート運転グループの王総経理は、番組に出演して、センサーの精度について解説した。

:第5世代のロボタクシーにはルーフ上に2つのレーザーレーダー、5つのミリ波レーダー、13のカメラが搭載され、リアルタイムで360度死角なしの感知能力があります。内部では、200m先にいる猫が猫だと判別できるレベルだという話をよくしています。

▲車両の屋根に設置されたセンサーユニット。200m先にいる猫を猫だと判別できるレベルの情報収集が可能になっている。

 

運転技能は国賓車のベテラン運転手並みに

記者が体験試乗し、永昌南路に差し掛かった時、右前方を走っていた車両が突然車線変更をし、さらに左の車線まで、連続して車線変更をした。連続して車線変更をするのは交通違反になる。

:今、車両は緊急判断をしてブレーキをかけました。でも、急ブレーキにはなっていないと思います。

記者:いわゆる軽くブレーキをかけた状態ですね。これはどういうことですか?

:どのくらいのブレーキをかければ安全が確保できるかを判断しています。また、乗客に過度のショックを与えないことも考慮に入れます。私たちは、運転では最もレベルの高い国賓車の運転手の技術を調査しました。現在のAIは、国賓車を20年運転しているベテラン運転手のレベルに達しています。

北京市を走るロボタクシー。一般車に混ざって走行をしている。

 

必要な時のみリモート運転手が介入をする

百度の自動運転は、すでに全国で3200万kmの公道走行を行い、100万人以上の乗客を乗せた走行を行なっている。自動運転車に責任がある事故は1件も起きていない。さらに、百度社内には5Gクラウド運転に対応した運転席に数十人の運転手が座り、リアルタイムで自動運転車の行動をモニターし、突発的事態が生じた時は運転手が自動運転に介入し、リモート運転に切り替える。

:5G通信を活用することで、リモート運転席と車両はリアルタイムでつながり、反応速度は20ミリ秒以下になっています。必要な時は、人間の運転手が介入をして手動運転を行います。

記者:どのような状況で、リモートの手動運転になるのですか?

:ロボタクシーは些細な交通違反もすることができません。例えば、道路が工事で不通になっていて、その情報が地図上に反映されていない場合、Uターンをして戻らなければなりませんが、そこがUターン禁止個所である場合、ロボタクシーは立ち往生をしてしまいます。このような時、リモートで人が介入をして、Uターンをして、ロボタクシーが直面している問題を回避させます。

無人運転のリモート運転手。通常は監視をしているだけだが、AIが安全停止をするような状況が発生した場合に運転介入を行う。

 

武漢重慶でも無人運転ロボタクシー

武漢市と重慶市では、すでに無人運転商業化政策を打ち出していて、公道試験が可能なエリアでは、市民が運転手も安全監視員もいない完全無人運転のロボタクシーに乗車することができる。国家スマートコネクト武漢試験モデル地区の陳力主任は、現在、百度と東風の2社が合計10台のロボタクシーを投入していると紹介する。

陳力:軍山新城地区の28kmの範囲内に10ヶ所のステーションを設置し、市民は予約の上、ステーション間を乗車することができます。毎日30人以上が乗車をしています。合計走行距離は1000kmを突破しました。5Gによるリモート管理機能もあり、公道に設置されたセンサーデバイスも活用されています。

武漢市を走るアポロ・ゴーのロボタクシー。無人運転の乗客を乗せた試験走行が行われている。

 

高速道路ではロボトラックの試験走行が進む

北京市の高速道路では、ロボトラックの試験走行が常態化をしている。小馬ロボトラックのエンジニア、肖平氏によると、トラックの自動運転は難易度が高いという。

肖平:運輸に使われるトラックは49トンほどあり、一般の乗用車の2トンから比べると25倍の重量があります。時速90kmからブレーキをかけると、乗用車は60mで停止することができますが、トラックは250mも必要になります。つまり、ロボトラックは状況を早く察知し、早く操作を決定する必要があります。私たちのセンサーは500mから1000mまで感知できるものですが、AIはこの膨大な情報を100ミリ秒以内に演算をして、操作を決定する必要があります。

▲ロボトラックは試験走行中であるため、運転手(安全監視員)が乗車しているが、一定条件下ではハンドルを離した自動運転を行う。

 

難易度の高い高速道路の料金所付近

ロボトラックは、京台高速の料金所に差し掛かった。ロボトラックはETCゲートを難なく通過したが、これは非常に難易度の高い運転だという。

肖平:料金所の問題は、前後300mほどの間、車線がなくなるということです。私たちは高精度地図上にバーチャルな車線を設定し、料金所ゲートに誘導をしますが、料金所付近では他の車両が予測の難しい運転をするため、これにも対応する必要があります。

▲ロボトラックにとって、料金所付近は車線がなく、他社の挙動も不確定になるため、難易度の高い走行になる。

 

意外に特殊状況の多い高速道路

高速道路の自動運転は、一般高度に比べて難易度が低いと言われる。整備された道を走行するからだ。しかし、肖平氏は、高速道路でも難易度の高い特殊状況は多く存在するという。

肖平:前の車に追従をして走行する、遅い車を追い越す、インターチェンジを走行する、料金所を通過するというのが高速走行の基本ですが、それ以外にも特殊な状況が存在します。工事や事故などで車線が規制されている場合、コーンや三角表示板を認識して状況を理解する必要がありますし、故障車や事故車を判別して正しい対応をする必要があります。

 

技術は成熟、法整備を待つだけの状態

すでにロボタクシー、ロボトラックは、道路環境が整備された限定地区での自動運転技術は成熟をし、商業化が可能になる時期を待っている状態だ。そこに、交通部などの政府の動きが出てきて、関係者は商業化に向けて大きく前進をしたと評価をしている。北京市武漢市、重慶市でロボタクシーの商業化が近々行われると期待をされている。