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来年1月から、上海市で自動運転の道路清掃車がお目見え

上海市で開催されていた世界人工知能大会と第20回工業博覧会の席上で、上海市科学委員会が支援をし、同済大学新エネルギー車センタースマートカー研究所、同済汽車設計研究院が共同で、自動運転の道路清掃車を4輌開発し、来年の1月から上海市の街頭で実際の清掃を始めると南翔生活網が報じた。

 

街のお掃除ロボットが来年にも上海に登場

この道路清掃車は、見た目は普通の道路清掃車と同じで、運転手も座っている。しかし、運転手は手を膝の上に置いていて、操作をしない。あくまでも安全確保のために同乗しているだけで、将来的には完全無人になる予定だ。

この自動運転道路清掃車は、前方100mの障害物を発見し、迂回をして前方に進むことができる。また前方8mの人を発見することができ、警告を発し、どかない場合は停止をする。清掃中の速度は時速3kmから5km程度。

ルートは事前に地図上で設定ができ、清掃が終了すると、出発地点に自動的に戻ってくる。いわば、街のお掃除ロボットだ。

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上海市で開催された世界人工知能大会で披露された自動操縦の道路清掃車。運転席は用意されているが、自動運転が基本。

 

能力は有人清掃車と同じ

開発グループによると、この清掃車は幅1.9mを清掃し、1時間で約1万3000平米を清掃することができ、従来の有人清掃車と同等の清掃能力があるという。また、フル充電で連続6時間の清掃ができる。

開発中、問題になったのは、場所によってGPS信号が捕捉しづらい箇所があることだったが、携帯電話信号による位置測定など補助手段を搭載することで、問題は解決されている。実際の街中での試運転を通じて、さらに位置測定の精度を上げていくとしている。

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▲駐車車両などの障害物は前方100mまで感知でき、自動で迂回をして避けて前に進む。

 

スマホアプリから遠隔監視、遠隔操作

さらに専用のモバイルアプリも開発。車両の状態を把握できる他、緊急事態の場合は、車載カメラの映像を表示し、車両の操作ができるようになっている。また、ハンドルやペダルなどの有人操作系統も装備され、当面は同乗員が目視で危険を察知した場合は有人操作に切り替えるという方式を採用し、その結果を見ながら、無人運転を遠隔監視する方式に切り替えていく。

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▲操作はスマホアプリで。ルート設定や、遠隔カメラ映像を見ながらのマニュアル操作もできるようになっている。

 

まずは公道上で30輌の試験導入

上海市科学委員会の計画では、来年1月に、上海市嘉定区の路上に30輌を投入し、試験運転に入る。試験運転といっても、閉鎖区間ではなく、実際の路上で、清掃ももちろん行う。

すでに北京市のオリンピック公園などでは、自動運転の清掃車が稼働をしている。ただし、夜間閉園後の人や車両がいない時間帯に清掃をしている。この上海市の例では、夜間が中心になるとはいえ、実際に人や車両が通行する中での自動運転となる。実際に街で運用をしてみて、どのような課題が発見できるのか注目されている。