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Temu欧州の従業員はたったの8人。無駄を省くことにより安さを実現しているTemu

Temu欧州オフィスの従業員はたったの8人であることが明らかになった。これで欧州1.15億人の利用者を管理している。Temuは徹底した仕組みの簡素化で安さを実現しており、各国小売業者の警戒感が強まっているとThe Guardianが報じた。

 

同じ商品でもアマゾンより安いTemu

中国の激安越境EC「Temu」(テム)。あまりの安さに、各国のSNSなどでは「粗悪品」「情報を抜かれる」という不安の声が広がっている。しかし、Temuの安さの秘密は徹底的にシンプルな流通という、小売業としては基本中の基本を突き詰めただけにすぎない。

実際、アマゾンなどの大手ECと同じものが、Temuでは半額以下で販売されているのだ。中国は世界の工場となり、多くの製品の大半を製造している。玩具などでは、世界で流通している商品の80%程度は中国で製造されている。このような中国メーカーが、アマゾンにもTemuにも出品をしている。そして、大きな価格差が生まれる。

▲関税や少額免税制度の廃止により、以前と比べると価格が高くなったTemu。それでも通常のECと比べると半額近い相場感になっている。中にはまったく同じものが販売されている例もある。

 

中間業者のいないTemu

Temuの流通構造は工場とTemuという2つしかない。途中に中間業者は入らない。工場は中国国内のTemuの倉庫に発送をするだけで、後はすべてTemuが国際発送などをやってくれる。

しかも、出品手数料を取るモデルではなく、Temuが買取仕入れをし、Temuが販売するというモデルであるため、国内倉庫に納品した時点で売上が確定する。もちろん、競争は厳しく、同類の製品での最安値をつけた入札で勝ち抜く必要はあるが、工場にとっては手間がかからず、売上がすぐに確定するため、価格を下げることができる。

 

納品代行業者が一般的なアマゾン

一方、アマゾンなどの大手ECの場合、まずはEC側が要求する梱包、ラベル貼りなどをしなければならない。さらに、指定された倉庫に指定された時間に納品しなければならない。このような作業は大きな負担となるため、納品代行業者を使うのが一般的だ。

しかも、これで出品できるのは「アマゾンが出荷します」ではなく「マーケットプレイス」にすぎない。マーケットプレイスの利用には慎重な消費者も多く、多くが「アマゾン出荷」を選ぶ。そのため、マーケットプレイスで売るためには広告を打つ必要がある。それでいて、代金は売れた商品数分しか入ってこず、8%から15%の販売手数料が徴収される。

「アマゾン出荷」に格上げしてもらうためには、アマゾンの厳しい審査に通る必要があり、時間もかかる。一般的には申請する方法は用意されてなく、アマゾン側から招待を受けてアマゾン出荷商品になるため、中国の地方工場ではまず無理な話になる。

中国の地方メーカーがTemuとアマゾンの両方にブランド名を変えて同じ商品を出品している例は多いが、Temuは納品した時点で売上が立ち、アマゾンは売れないと売上にならず、販売手数料や広告費、倉庫保管料などもかかることから、価格は高く設定せざるを得ない。

▲アマゾンもTemuに対抗するためhaulを始めた。考えられないほどの安さになっている。日本でも利用可能。

 

仕組みで安くできているTemu

この対比は、Temuとアマゾンだけでなく、Temuと現地国の輸入販売業者にも言える。一般的な輸入販売業者の場合、アマゾン以上に卸や代理店などの中間業者がいるために、さらにコストがかかり、価格は高くなる。

つまり、輸入販売業者にとって、消費者に「ここの商品はTemuでも買えて、Temuの方が圧倒的に安い」と気づかれてしまうと、自社のビジネスが終わってしまう。そのため、世界中からTemuは猛反発を受けている。

 

欧州でのTemu運営会社の従業員はたったの8人

英国の経済紙ガーディアンが報じた記事が、英国や欧州の関係者を驚かせている。その記事によると、Temuの欧州での運営をするアイルランドにある子会社Whaleco Technologyは、従業員がたったの8人しかいないという。

それでいて、2024年の売上は17億ドル(約2600億円)で、前年の7.58億ドルから171%増となった。純利益は1.2億ドル程度だが、法人税は1800万ドルしか収めていない。利益に対する割合は15%だ。

8人でこれだけの売上をあげ、欧州の顧客1.15億人を管理している。管理のほとんどは中国の本部で行なっているため、欧州子会社の業務というのはほとんどないのだ。

 

Temuへの警戒感を強める各国小売業者

アイルランドは欧州の中でも法人税が安い国として知られ、欧州事業を行うグローバル企業の多くがアイルランドに欧州本部を置いている。Temuの納税額の少なさは批判の対象となっているが、他のグローバル企業と同じことをしているだけで、Temuだけを批判するわけにもいかない。

米国は少額商品の小包の関税を免除するデ・ミニミス・プロビジョンの廃止を決定した。欧州各国も同様の少額小包の免税措置を廃止しようと動き出している。これはTemuにとって痛手ではあるが、販売価格の値上げにつながり、現地国の消費者にとっても痛手となる。

米国がトランプ関税により、Temuにとって難しい市場になると、Temuは広告出稿を落とし、その分を欧州や中東に振り向け、現在、欧州でTemuが成長するようになっている。その分、欧州の既存業者の反発は強くなり、各国政府はその声を受けてTemuに対して何らかの抑制策を取らざるを得なくなっている。

 

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