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インドネシアでiPhone販売禁止に。Temu、SHEIN、TikTok Shopも排除。東南アジアに広がる保護主義政策

米国のドナルド・トランプ大統領が関税を中心とした保護主義的な政策を採るようになり、その影響は他国にも波及をしている。インドネシアは東南アジア最大の消費市場だが、TikTok Shop、SHEIN(シーイン)、Appleなどに対して排除する政策を打ち出し、各社はその対応に追われていると鳳凰秀が報じた。

 

Temu、TikTok Shopを禁止したインドネシア

2024年10月、インドネシア情報通信部のブディ・アリ・スティアディ部長は、中国拼多多(ピンドードー)傘下の越境EC「Temu」(テム)の国内でのアプリ配信を停止したと発表した。Temuはインドネシア国内でのビジネス活動ができなくなった。

その理由は、インドネシア国内の小売業を守るためだった。スティアディ部長はこう述べている。「Temuのビジネスモデル、つまり、海外メーカーがインドネシアの消費者に製品を販売する仕組みは、国内の中小零細小売業を破壊する。インドネシア政府は国内の中小零細企業を守らなくてはならない。海外で生産された商品がインドネシア流入するだけでなく、非常に安価な価格設定で販売をされている。これは不健康な競争だと言える」。

インドネシアは、2023年にはTikTop Shopを禁止している。その理由も国内小売企業の保護だった。

インドネシアでも、TikTokが流行の発信源となっている。しかし、そこにEC機能を持たせることは、国内小売業の観点から、インドネシア政府は制限をかけている。

 

ビジネスをするのに必要なPSE認証

インドネシアでオンラインビジネスを行うには、インドネシア情報通信省からPSE認証を受ける必要がある。これは、業務の中で消費者の情報を収集する業者は必ず取得しなければならない。消費者の情報とはメールアドレスや携帯電話番号、名前なども含むため、PSE認証がなければオンラインでのSNS、ECなどの活動を行うことはできない。TemuはPSE認証の取得を過去に3回申請しているが、いずれも却下されている。

 

SNS、100ドル未満のオンライン販売を禁止する「貿易部条例31号」

また、2023年には「貿易部条例31号」を施行した。これは、SNSでの商品販売を禁止し、また100ドル未満の輸入品をオンラインで販売することを禁止するものだった。TikTok ShpoはSNS販売にあたるため活動ができなくなり、SHEINは100ドル未満の輸入品が主力製品であるために活動ができなくなった。

また、インドネシア政府は、衣類、化粧品などの海外製品に100%から200%の関税をかける方針であることも明らかにしている。

 

TikTokは国内企業と提携することで回避

このような保護主義政策に各社はどのように対応しているのだろうか。

TikTok Shopは、インドネシアGoTo傘下のEC「Tokopedia」(トコペディア)の株式を取得し、Tokopedia内にTikTok Tokopedia Mallを立ち上げ、ここで販売を行っている。また、中国企業だけでなく、インドネシア企業がモールに参加することを促し、厚い支援をしている。

TikTok Shopは、国内企業と連携することで、インドネシアでのビジネスを可能にした。

インドネシアTikTokアワードの告知。TikTokそのものはインドネシアでも人気で、若い世代が最も利用するSNSとして定着をしている。

 

SHEINは撤退を選ぶ

SHEINは、インドネシアから撤退する道を選んだ。しかし、シンガポールに東南アジア拠点を設置し、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアなどでビジネスを展開している。周辺国でビジネスをすることにより、インドネシアの消費者たちから、インドネシアにもSHEINを受け入れてほしいという世論が生まれるのを待っている。

 

iPhoneも排除の対象に

このような保護主義による排除に遭っているのは中国企業だけではない。2024年10月、インドネシア政府は、アップルのiPhone 16シリーズの販売を禁止すると発表した。

インドネシアで工業製品を販売するには、TKDN認証を取得しなければならない。これは国産化率評価認証で、40%以上の部品をインドネシア国内から調達しなければ取得することができず、取得できなければインドネシア国内での販売ができない。

このTKDN認証は、40%以上の国産化に相当する投資を行うことでも取得ができる。アップルは投資をする道を選んだ。アップルは1兆4800億ルピア(1億ドル)を投資して、開発者拠点を設立することにしたが、インドネシア政府はこれが基準値である1兆7100億ルピアに達していないとして、TKDN認証を行わなかった。

アップルはさらに10億ドルを投資し、バタム島とバンドンに工場を設立し、世界需要の20%のAirTagを生産することにした。1000人以上の雇用を創出することになる。

しかし、これもインドネシア政府から「AirTagとiPhoneは直接関係をしていない」としてTKDN認証の更新が行われなかった。

また、中国のOPPOも首都ジャカルタ近くのタングランに工場を設立し、中国から輸入した部品を現地組立することでTKDN認証を取得している。これも2000人規模の雇用を生んでいる。

 

有望消費市場のインドネシアの戦略

インドネシアは2.73億人の人口があり、平均年齢は29.9歳と若い。GDPも5%前後の成長をしている。この東南アジア最大であり、将来有望な消費市場であることを武器に、海外企業を現地化して、インドネシア経済の成長に寄与させるというのがインドネシアの戦略になっている。東南アジアの他国も、グローバル企業にとって魅力的な市場になれば、同様の保護主義的な政策を、経済成長戦略として位置づけてくることが予想される。東南アジアは、成長とともに閉じた市場になっていく可能性が出てきている。