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トランプ関税で落ち込んだ中国越境ECは回復傾向に。消費者は結局、安さを選ぶ

中国越境EC「Temu」と「SHEIN」の米国での利用が急速に回復をしていると、omnisendが調査データを公表した。

 

米国での利用が回復してきた中国越境EC

中国越境EC「Temu」(テム)と「SHEIN」(シーイン)は、トランプ関税と少額小包免税制度(デ・ミニミス・プロビジョン)の廃止により、米国での売上が大きく落ち込むことを予想し、米国での広告活動を大幅に縮小した。商品価格も値上げをせざるを得ず、今年の春は米国での利用が大きく落ち込んだ。

しかし、米マーケティング調査企業「omnisend」の調査データによると、今年2025年4月以降、急速に利用が回復している。

▲SHEINの利用頻度を尋ねたアンケート結果。最も落ち込んだ2025年4月時点から急速に回復をしている。

 

価格はあがっても利用されるTemuとSHEIN

Temuで買い物をする米国人を「毎日」「週一回以上」「月一回以上」「年一回以上」で行ったアンケート調査の結果を2024年4月、2025年4月、2025年8月で比較した。すると、いずれも、トランプ関税以前の状況には戻っていないものの、回復をしていることが明らかとなった。

Temuの販売価格はトランプ関税の影響で大幅に上昇している。それにもかかわらず、利用が進んでいることになる。

SHEINも価格が上昇したが、2025年4月と比べて利用が進んでいる。

米国の日用品の多くは中国製になっており、ウォルマートやターゲットで販売されている商品の多くは中国から輸入されている。トランプ関税はTemuやSHEINの売上を落とす効果はあったが、国内小売も値上げをせざるを得ず、打撃を受けている。

 

結局、相対的な安さで利用されるTemu

omnisendのeコマースエキスパートのマーティー・バウアー氏は、こう述べている。「関税の問題とTemuの広告投資の減少は、一時的な落ち込みを起こしましたが、依然としてTemuには価格優位性があります。消費者は値上げに敏感ですが、クーポンなどで消費者を惹きつけています」。

ただし、同調査で「Temuから他のECに乗り換えるとするとどのような理由が考えられるか」という質問に対しては、34%が「再度の値上げ」、24%が「配達の遅れ」をあげており、Temuは今後も価格を抑え、配送速度を早める努力をする必要がある。

▲Temuの利用頻度を尋ねたアンケート結果。最も落ち込んだ2025年4月時点よりも回復をしている傾向が見られる。

 

Temuの広告投資は米国から欧州にシフト

Temuは、米国市場の重要度を下げ、現在は広告投資を欧州に集中させている。その成果はすでに現れ、MAU(月間アクティブユーザー数)は、前年からドイツで13.5%、フランスで19.4%、ルーマニアで20.5%伸ばし、欧州全体で1.157億人のMAUを獲得するに至っている。

これで米国市場が回復すれば、中国越境ECの成長が再び始まる可能性もある。トランプ関税は結局米国市民を苦しめるだけに終わり、中国依存の状況を変えることはできていないようだ。

 

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