米国の少額免税制度が廃止となり、TemuやSHEINなどの中国越境ECは大きな打撃を受けている。しかし、その一方で、在米の華僑たちは倉庫業を始め、思わぬビジネスチャンスになっていると騎鯨出海が報じた。
廃止された米国の少額免税制度
米国のデ・ミニミス・プロビジョン(少額免税制度)が廃止され、Temu(テム)やSHEIN(シーイン)などの中国越境ECが大きな打撃を受けている。
デ・ミニミス・プロビジョンは、消費者が個人輸入をしやすくするために、商品価値800ドル(約11.8万円)以下の個人宛小包には一括して関税を免除する制度。TemuやSHEINはこれを利用した。
米国人がTemuやSHEINで注文をすると、その商品は中国内から個人宛小包として米国に送られる。そのため、関税を逃れることができるのだ。米国政府は、TemuとSHEINが米国内の小売業者にとって大きな脅威になっていることから、デ・ミニミス・プロビジョンの廃止に踏み切った。
越境ECはセミホスティングモデルで対応
しかし、越境ECは対抗策をとっている。それはセミホスティングモデルの採用だ。以前は、フルホスティングモデルが採用されていた。これは、販売業者は中国内のTemuなどが指定された倉庫に納品をすれば、あとは通関手続きや発送手続きはすべてTemuがやってくれるというもの。販売業者にとっては、国内のECに納品するのと変わらない。
ただし、価格面は厳しい。Temuは毎週、商品の入札を行い、最も低価格の商品を採用する。そのため、数は売れるが利益が薄いというのが悩みだった。これが、デ・ミニミス・プロビジョンの廃止により、関税分を吸収しなければならなくなり、非常に厳しくなっている。
一方、セミホスティングモデルは、販売業者が販売現地国の倉庫に納め、そこから出荷をするというもの。米国向けに販売するのであれば、自分で通関手続きを行い、関税を支払い、米国の倉庫に納めなければならない。その代わり、価格は自由に設定することができる。
そのため、現在のTemuは同じ商品であってもセミホスティングによる価格の高いものと、フルホスティングによる価格の安いものが混在している状態になっている。
米国の華僑たちに思わぬビジネスチャンス
販売業者にとっては、どっちの方式を使っても、価格競争力は以前ほどの破壊力がなくなり、販売数は落ち、大きな打撃を受けている。しかし、この中で意外にも利益をあげているのが現地国の華僑たちだ。
販売業者は、セミホスティングモデルの場合、海外倉庫を探して管理料を支払わなければならないが、その管理料も負担になる。すると、海外に住んでいる華僑たちは、自宅のガレージから物置、倉庫などを活用して、小規模のセミホスティング用倉庫ビジネスを始めたのだ。小規模で個人運営であるために、大手の倉庫と比べて管理料は非常に安いため、小規模な販売業者たちは、このような華僑の倉庫を利用するようになっている。

自宅のガレージから起業へ
Luluさんは、米国東部に住む華僑で、今年2025年1月から、自宅の2つのガレージを倉庫にして、このビジネスを始めた。中国から大量の荷物が送られてくるので、これを整理して保存し、Temuから注文の連絡が入ると、その荷物を近くの郵便局から発送をする。仕事は簡単だが、これで生活をしていけるだけの収入が得られる。顧客は、SNS「WeChat」でメッセージを出すだけで、中国の販売業者がどんどん申し込んでくる。特に、デ・ミニミス・プロビジョンが停止されて以降は、倉庫は満杯状態で、新規の契約は断らなければならないほどになっている。
Luluさんは、この状況を見て、近所に185平米の小型倉庫を借り、会社として登記をして、本格的に倉庫業を始めている。

どう転んでもチャンスを逃さない華僑たち
このような家庭倉庫業が、米国のあちこちで生まれている。一方、業務の質は低く、誤配送、保管品質の低下などが起きているため、Temuでは認証倉庫制度の導入を始めている。多くの見方では、約30%の家庭倉庫がこの基準に合わず、淘汰されるのではないかと言われている。
しかし、Luluさんのように本格的に倉庫業を始めたケースでは、次々と倉庫を拡大し、配送品質、保管品質をあげ、大きな利益をあげ始めている。
何かが変われば、必ず、それに対応するための新ビジネスが生まれてくる。それが中国の強さになっている。
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