天水市のマーラータンが、SNS発信で人気となり、多くの人が天水市に押し寄せるようになった。もはや、人気の観光先はSNSから生まれる。しかし、ブームが終わると旅行客はさってしまう。リピートしてもらうには何が必要なのか、各網紅都市は工夫を始めていると深圳客が報じた。
SNSから生まれる網紅都市
中国の国内旅行はすっかり回復をし、コロナ前の水準を超えてきている。その国内の回復に大きく貢献をしているのが網紅都市だ。網紅とは「ネットで人気」という意味でインフルエンサーのこと。ネットで話題となった都市に多くの人が集まるという現象が起きている。
2023年の5月の連休から夏は圧倒的に山東省淄博市と湖南省長沙市が人気になった。淄博市はある大学生が投稿したメッセージがきっかけになっている。コロナ禍の間、大学の寮がしまってしまうため、多くの学生が帰郷をせざるを得なかった。近くの都市に疎開をしようとした学生も多かったが、その多くが地元の人から嫌がられた。ウイルスを持ち込まれてしまうのではないかと思われたからだ。しかし、淄博市は学生を支援して歓迎した。コロナ禍が終わると、学生たちは淄博の人々の優しさに感謝をするメッセージを送り、淄博の焼肉が美味しいという投稿をした。これがきっかけになって、多くの人が淄博市に行って焼肉を食べに行き、淄博市は突然、観光都市になることになった。
淄博市の対応も見事だった。大規模な焼肉会場を設置し、高鉄駅と結ぶ無料の巡回バスを用意した。SNSを使って、大勢で楽しく焼肉を食べている姿を発信した。これで、コロナ禍から解放された人々が押し寄せることになった。
また、長沙市も物価が安くて、夜遅くまで遊べる街としてSNSに露出をし、人々が押し寄せるようになった。さらに冬になると、今度はハルビン市が人気の旅行地となった。ハルビン市で毎年開催される氷雪節の幻想的な美しさと-20度を下回る極感体験がSNSで拡散をしたからだ。
人気の旅行地は、SNSで拡散することから生まれるということが定番化している。


新たに人気となった天水市
現在人気となっているのは、甘粛省天水市だ。天水市の麻辣燙(マーラータン)が人気となっている。この人気のきっかけとなったのは、抖音(ドウイン、中国版TikTok)に一杯涼開水という投稿主が投稿したわずか7秒の動画だった。マーラータンを映し、「甘粛マーラータンを全国に広めよう」というテロップが入るだけのもの。これが「おいしそう」ということでバズりにバズった。インフルエンサーたちが、本場の天水市に行き、マーラータンのおいしい店を紹介し始めると、あっという間に旅行者が増え出した。


「お姫様、ご乗車ください」タクシーが人気に
天水市政府の対応は、素早く見事なものだった。淄博市の事例は中国では有名で、各地域の政府職員の視察も殺到した。天水市は、その事例から、人気になったら何をすべきかを考えていたようだ。
公共施設を開放し、無料駐車場やトイレを自由に使えるようにし、無料のお茶まで用意した。さらに、マーラータンの店が集まる地域を結ぶ臨時バス路線を設置し、各ポイントには臨時の公衆トイレを用意した。タクシーは接客方法の再研修をし、女性が乗車する時は「お姫様、ご乗車ください」と言うようになっている。これもSNSで、冗談半分で高級なハイヤーやタクシーではこういう言い方をするという話がバズったため、そこに学んだ。ホテルでは、お客を「王子様、お姫様」と呼ぶようになっている。駅前広場では随時、漢服を着た人たちの舞踊イベントが開催され、観光客を出迎える。
人気の店は、4時間待ち、5時間街という状態になっていたが、それでも人は並ぶ。記者が並んでいる人に取材をしてみると、前回の旅行はハルビンで、名物の冷凍梨を食べたという人が多い。さらには、SNSから生まれた網紅都市である重慶、淄博、長沙を訪れた経験がある人も多かった。かなりの人が、旅行先をSNSに頼って決めているようだ。



路上の屋台がそろってマーラータン屋台に商売替え
天水市は、地方都市であるため、繁華街の路上では屋台で服や靴下を売っていることも多いが、それがすべて消えた。屋台がそろいもそろってマーラータンの屋台に変わってしまった。それでも、多くの屋台で行列ができるほどの人気になっている。
マーラータンを食べている人に取材をすると、2泊3日で遊びにきたが、朝昼晩ともマーラータンを食べて、食べ比べをしているという。SNSで話題の店に行き、マーラータンの写真を撮り、自分もSNSにあげる。それが旅行の楽しみ方になっている。

課題はブームの後の持続性
しかし、このような網紅都市の最大の悩みは、人が去るのも早いということだ。残念ながら淄博市は以前の賑わいはもはやない。屋外で焼肉を食べるというのが楽しみであったために、冬の間に人が減り、そのまま多くの人が次の網紅都市に行き始めてしまったからだ。
一方、ハルビンは、以前ほどの旅行客はいないものの、夏になってもある程度の旅行客を獲得している。ハルビンに広大な大自然があり、冬の間にきた人に「夏にもう一度きてみたい」と思わせることに成功をしたからだ。
SNSでバズって多くの観光客が押し寄せた時に何をすればいいかは淄博市が教えてくれた。きてくれたたくさんの人にまたこようと思わせるには何が必要なのかはハルビン市が教えてくれた。各地方都市では、いつ網紅都市になってもいいように、観光資源の準備を始めている。


