杭州市で聴覚障害のあるフードデリバリー配達スタッフが話題になっている。この女性は経済的自立を目指してデリバリーの仕事を選んだ。デリバリーは多くの人に仕事を与えていると銭江晩報小時新聞が報じた。
フードデリバリーが多くの人に職を提供している
美団(メイトワン)、ウーラマのフードデリバリーは、多くの人に仕事を与えている。賃金は決して高いとは言えないものの、生活をしていくことは可能で、職を失った時や、よりよい仕事を求めて職業訓練を受けている期間の生活を支える時に、デリバリー騎手(配達員)は、すぐに始められ、生活を支えることができる仕事になっている。
その中で、ウーラマで騎手を務める、24歳の女性が話題になっている。彼女は河南省出身で、7月に杭州大学を卒業した後、自活をするために騎手となった。彼女は聴覚に障害を抱えている。
1日30件の配達をすると生活をしていける
聴覚に障害があると、生活上、さまざまな不便がある。同じように聴覚に障害がある友人が美団の騎手となったため、彼女も騎手になろうと考えた。2人で一緒に暮らしていけば、お互いに助け合えるからだ。
彼女は8月からウーラマの騎手となり、毎日8時間働いている。午前10時半から1時半までのお昼、午後1時半から3時半までのお茶の時間、午後5時から8時までの夕食の時間に働き、自分の昼食は3時半から5時の間にとる。休日は週1日だ。
毎日30件の配達をすると、生活がしていける。忙しい日には昼食を取る時間もなくなる。
仕事に不便はあるものの、理解をしてくれる人も
聴覚に障害があると、困るのは届け先との連絡だ。配達場所が住所表記だけではよくわからない時、届け先の顧客に電話をして尋ねるというのが基本だ。しかし、彼女は電話を使うことができない。そこで、メッセージを送って尋ねることになるが、メッセージが来ていることに気がつかない顧客も多い。配達が遅いと、顧客の方から騎手に電話をしてくることもあるが、彼女はその声を聞くことができない。メッセージで事情を説明するが、見てもらえない。そのようなやり取りの末、苦情を言われたこともあった。
届け先の家付近の路地などが複雑な場合でも、周囲の人に尋ねることもできない。普段は、SNS「WeChat」のメッセージで周囲の人とコミュニケーションをとっているが、そのためにはまず聴覚障害があるということを相手に理解してもらう必要がある。仕事にまつわる不便さはたくさんある。
しかし、理解をしてくれる人もいることを彼女は知った。「あるお客さんに食事を届けた時、そのお客さんは私に聴覚障害があることを知り、驚いていました。でも、親指を立てて、私にエールを送ってくれたのです。とてもうれしくなって、自分が肯定された気持ちになりました」。
また、彼女が仕事用のスマートフォンを失くしたことがある。急いで本部に連絡をする必要があるが、同僚たちが代わりに電話連絡をしてくれた。まるで自分のことのように心配をしてくれ、そして失くしたと思ったスマホが見つかった。聴覚に障害があっても、同僚たちと気持ちをつなげることはできるということを知った。
目標は経済的自立をすること
彼女は、杭州大学で学ぶ他、浙江特殊教育職業学院で、ECの運営も学んだ。動画ストリーミングサービス「優酷」(ヨークー)が制作した「ストリートダンスオブチャイナ」のファンで、ヒップホップダンスの練習もしている。しかし、サークルに加入したいと思っても、聴覚障害があることを理由に断られることが続いた。
「仕事はものすごく疲れます。でも、報酬はかなり稼げます。自分の生活費を抑えて、両親に服や電化製品を買ってあげるのが私の楽しみになっています。両親はいつも早く恋人をつくって、結婚しなさいと言ってくれます」。
彼女の今の目標は、結婚する前に、一人でも生きていける経済的自立をすることだという。
フードデリバリーというサービスは、多くの人に居場所を与えている。