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倒産寸前のトイレットペーパー工場が、ライブコマースで一発逆転。工場風景と実験動画が人気の鍵となる

トイレットペーパー製造業者「小葉子」は、工場倒産に直面して、ショートムービー「快手」で商品を紹介することを思いつき、それが成功して、現在では月の売上が500万元になっていると銭江晩報小時新聞が報じた。

 

倒産寸前の工場がライブコマースで月商1億円

トイレットペーパーは、ECのセールなどでタダ同然の価格で大量に販売されることが多く、儲からない商売の典型のように思われている。しかし、小葉子は快手でショートムービーを公開することで、月商500万元(約9800万円)を達成している。

河北省保定市満城は、紙製品の製造工場が集まっている地域として有名で、代々紙製品工場を営んでいる家が多い。小葉子も、紙工場の息子としてこの町で育ち、ごくあたりまえのように親の紙工場を継いだ。

しかし、想像以上に、この仕事が厳しいことに気がついた。競争が激しく、毎日、スーパーや店舗を回って、商品を置いてもらわなければならない。多くの店が、よく知られた大工場のブランド品を置こうとする。小葉子のような小さな工場は、“入場料”を支払わなければ店の中にも入れてもらえず、商談すらできない。

小葉子は思い切って、ECでの販売を試みたが、うまくいかず、貯蓄を吐き出すだけに終わった。

▲小葉子の快手のメインページ。250万人のファンがつき、月商は1億円になっている。動画をほぼ毎日発信していることが大きい。

 

遊びで投稿したムービーに購入の問い合わせが

2019年初め、小葉子に転機が訪れた。快手が流行をして、誰もが暇つぶしにショートムービーを見ている。小葉子も流行しているからという理由で、工場で働いている時に、トイレットペーパーを製造しているところをスマートフォンで撮影して、その映像を快手に投稿をしてみた。

すると、ダイレクトメッセージで、「このトイレットペーパーはどこで買えるのか。いくらなのか」という問い合わせがあった。小葉子はこれは商機があるのではないかと考えた。

▲最も受けたムービーは、トイレットペーパーをびしょびしょに濡らしても破れないという実験映像。これが拡散をして、注文が相次ぐようになった。

 

ムービーが急速拡散したことからライブコマースへ

小葉子は工場の中で、さまざまな状況を撮影して快手に投稿することを始めた。その中で、爆発的に再生数が伸びたのが、ある実験だった。トイレットペーパーにポットの水をかけて濡らしても、水に強く、揉んでも引っ張っても破れないという内容だった。

その日の深夜、小葉子のスマートフォンは鳴りっぱなしだった。ショートムービーを見た人が、いいねをつけたり、ダイレクトメッセージを送ったことの通知がひっきりなしに送られてきたのだ。

これはきっとビジネスになると考え、小葉子は快手の中に店舗を出店し、トイレットペーパーを販売することにした。

▲製造工程を見せることは、多くの消費者にとって新鮮な風景であり、ムービーが拡散しやすくなる。

 

工場風景と実験動画が人気に

お金がない小葉子は、親戚からお金を借りて、快手での販売に賭けた。しかし、いきなり販売に力を入れるのではなく、まずはさまざまなショートムービーを投稿して、どのような内容のものが受けるのかを確かめるところから始めた。

すると、工場の製造過程を見せるショートムービー、トイレットペーパーの強度などを見せる実験をするショートムービーの人気が高いことがわかった。

工場の風景は、多くの消費者にとって見たことがないもので新鮮さがある。衛生的な工場の中で生産されていることを見せると安心感も感じてもらえる。実験も商品に対する安心感を与えてくれる。「水に強い、破れない」といくら口で言ってもなかなか信用はしてもらえない。しかし、映像で実験して見せると、わずか数秒で信用をしてもらえる。

▲ライブコマースを頻繁に行い、自社製造の紙製品を販売している。月商は1億円近くなる。しかも、ファンがつき、購入者の50%はリピーターであるという。

 

発信をし続けることでリピーターも生まれる

このような地道な努力を積み重ね、ファン数は250万人を突破し、ライブコマースを行うと25万元から35万元が売れるようになり、月間のGMVは500万元に達している。快手からも2022年の100大ブランドに選ばれた。

リピート率は50%を超えている。ティッシュ、トイレットペーパーという商品は、多くの人がブランドにはこだわらず、その場その場で、価格や品質がよさそうなものを買い求める。そのような商品で、半分の顧客がリピーターというのは驚異的なことだ。ショートムービーで工場と品質を見せ続けているということが、顧客の信頼感を得ることにつながっている。

小葉子は、河北省のローカルブランドから、全国のナショナルブランドに育てようと、日々、努力を続けている。