北京交通ラジオの番組に、BOEテクノロジーが提供した北京五輪のフィールドLEDについて、BOE担当者が出演して内訳話を語った。担当者が最も恐れていたのは、耐圧、耐寒、耐水性能で、開幕式の進行中に故障が発生することだったと光明網が報じた。
フィールドLEDという新しいスタイルを確立した北京五輪開幕式
2022年2月4日で開催された北京冬季五輪開幕式。多くの人が目を見張ったのが、フィールド上に敷き詰められたLEDパネルだ。開幕式のパフォーマンスとともに、地面に映像が表示され、さらにテレビ中継ではARによる効果も付け加えられ、どこまでが現実で、どこからがバーチャルなのかわからないほどだ。今後、大規模イベントのパフォーマンスでは、フィールドにLEDパネルを敷き詰め、パフォーマンスの効果を高めるというのがひとつの基本形になりそうだ。
LEDを製作したBOE担当者がラジオ出演
この巨大LEDパネルを制作したのは、北京のディスプレイ製造企業「京東方」(ジンドンファン、BOEテクノロジー)。そのBOEの荊林峰高級副総裁、冷長林五輪技術副総指揮の2人がラジオ番組に出演して、巨大LEDの話を語った。出演したのは、北京交通ラジオの「聯e会」という生活に関わるデジタル技術を紹介する番組。
解像度よりも耐圧、耐寒、耐水などの性能が要求された
BOEは北京冬季五輪に対し、雪の結晶の形をした聖火台とLED舞台を納入している。
このLEDは面積10393平米、コントラスト比10万:1、リフレッシュレート3840Hzで、解像度は29900×15096ピクセルで、8K+相当となる。
これだけのLEDを敷き詰めることは可能であるにしても、問題はその上で人がパフォーマンスをするということだ。踏まれても故障が起きないようにしなければならない。さらに、冬季五輪開幕式は、場合によってはー30℃の気温になること、降雪があることなども予想され、耐圧、耐寒、耐水に対する高い性能が要求される。
インテルの3DATテクノロジーを採用
また、LEDパネルに静止画を表示するのでは意味がない。リアルタイムで画像を生成し、動的な映像を表示する必要がある。開幕式の雪花という演目では、平和の象徴の鳩のぼんぼりを持った500人の子どもたちがフィールドをいっぱいに使ってパフォーマンスをした。この時、子どもが走ると、子どもを追いかけるように雪花の映像が表示される。
これはインテルの3DAT(3Dアスリートトラッキング)システムを使って、リアルタイムで500人の子どもの位置を測定し、その情報に合わせて雪花の映像を生成して、表示をしている。このリアルタイム映像表示で遅延が起こるわけにはいかない。
BOEでは光ファイバーを使い、さらに信号を圧縮して遅延なく送信するアルゴリズムを開発し、信号遅延を最大で32msまで圧縮をした。
4系統の多重バックアップシステム
このLED舞台は42000枚以上のLEDパネルが敷き詰められている。BOEが恐れたのは、開幕式に問題が発生して、そのパネルが消灯してしまうことだ。まるで穴が空いたようになってしまう。
これを防ぐために、制御、信号、電力などのシステムを4系統用意したのだという。万が一、システムに問題が発生した場合は、自動的に別のバックアップシステムに切り替わるようになっている。
こうして、問題が起きることなく、開幕式を乗り切った。このLEDパネル技術は、今後、他の屋外イベントやコンサート会場、劇場などでも採用されていると見られている。