中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

店舗、ECに続く第3の販売チャンネル「ライブEC」

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明日、vol. 029が発行になります。

 

今回は、ライブECについてご紹介したいと思います。ライブECについては、このメルマガでも何回か取り上げています。たった1日で、ショッピングモール1年分の商品を売ってしまう網紅による網紅経済についてや、新型コロナ感染拡大期に商店主や農家を救うために始められたライブECについて、過去、ご紹介しました。

なぜ、またライブECを取り上げるかというと、新型コロナが終息してみると、コロナ禍の緊急避難として始められたライブECが定着をして、新たな潮流となっているからです。


中国では、宅配物流が発達をしたために、生産者と消費者をダイレクトに結びつける手法に勢いがあります。勢いのあるソーシャルEC「ピンドードー」も、SNSを使って、生産者と消費者をダイレクトに結ぶことで、低価格、大量販売を実現しています。ライブECもこのような直販手法のひとつとして注目され、利用が進んでいます。
生産者から見れば、市場や問屋に出荷するよりも高く売れる。特に、市場で決められた価格に従うのではなく、能動的に価格を決定できる点が評価されています。消費者から見れば、小売店で買うよりも安く買える。生産者と直接つながることができるので、疑問点を聞くこともでき、商品に対する安心感が得られる。何より、ライブECは一種のバラエティ通販番組のようで、見ていて楽しいのです。
これは、日本でも近年注目されているD2C(Direct to Consumer)そのものです。一般的なD2Cでは、ブログやSNSを使って、販売よりも自社の思想やビジョンを理解してもらい、ファンを育てることに比重が置かれていますが、中国の場合は販売に比重が置かれているという違いがあるだけです。

 

また、飲食店や小売店では、ライブECに大きなメリットがあることがわかってきました。飲食店では、店舗、外売(フードデリバリー)に続く販売チャンネルとなり、半調理品を販売することで、外食だけでなく、家庭での内食に食い込むことができるようになります。
また、小売店では、店舗の販売スタッフがライブECに出演することで、顧客に顔を覚えてもらうことで、店舗にきたときに気軽に商品の相談をしてもらえるようになり、顧客との結びつきを強化することに役立っています。
このようなメリットがあるため、新型コロナウイルスの感染拡大期に、窮余の一策としてライブECに挑戦した飲食店、小売店が、終息後も定期的にライブECを配信するようになっています。
後に雲南料理の飲食チェーン「雲海肴」、百貨店「銀泰百貨」の事例をご紹介します。

 

このライブECの世界は、今まで混沌としたところがあって、さまざまな人たちがライブ主としてライブ放送、ライブECを行ってきました。また、ライブ放送プラットフォームもさまざまなものが存在していました。
しかし、コロナ禍により、ライブ主としては「網紅」「明星」「店主」の3種類が主力になりました。また、有力なライブ放送プラットフォームも「タオバオ」「快手」「Tik Tok」の3種類に絞られました。さらに、商品を提供するECも「タオバオ」「京東」「ピンドードー」の3つが主体となり、この3×3×3の組み合わせ間での利益配分も確立しています。
つまり、業界構造ができあがったということで、今後はこの構造を基礎として、ライブECが進展をしていくことになります。そこで、今後のライブEC関連の動向を見る時に、頭に入れておきたい基礎知識として、このライブECの構造をまとめておきます。
今回は、ライブECの構造についてご紹介します。


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