中国の路上にはiPhoneの転売屋がいる。香港や他国で入手したiPhoneを高値で転売する業者だ。これまで正規のiPhoneは入荷待ちであることが多く、多少高くても購入する人がいた。しかし、今回のiPhone XSでは転売屋は大赤字になっていると吱咕黑科技星人が報じた。
3万円高くても売れる路上のiPhone
中国には転売を職業にしている人がたくさんいる。当然、iPhoneの転売屋もいる。すでにサプライチェーンが確立していて、香港や他国のアップルストアで購入する者、中国国内で売りさばく者、街頭などで売る者という分業ができているという。
iPhone4からiPhoneXまでは、転売屋たちはホクホクだった。なぜなら、販売価格よりも高く売れるからだ。
中国にもアップルストアは42店あり、米国に次いでアップルストアの店舗数が多い国だ。しかし、新しいiPhoneは在庫数に比べて、購入希望者が多すぎるため、在庫なしの状態が長期間続くのが恒例になっている。そのため、お金に余裕がある人は、いつ入手できるかわからないアップルストアではなく、多少高くても、すぐに手に入る転売屋を使ってしまうのだ。
場合によっては、販売価格の5倍、10倍で売れることもあり、そこまでいかなくても、平均するとアップルの販売価格よりは2000元(約3万2000円)ほどは高く売れるのだという。
▲無許可の路上販売は、もちろん違法。城管と呼ばれる監視員に見つかると逮捕される。そのため、トランクに入れて路上販売をし、城管がきたら、トランクを閉めて走って逃げる。
ファーウェイのMate20Proに食われたiPhone
ところが、今年のiPhone XS、XRでは勝手が違った。発売前の人気は高く、予約数が200万台を突破するという報道もあり、転売屋たちは在庫の手配に必死になった。しかも、iPhone XS MAX 512GBは、発売時にすぐに売り切れ、かつてないほどの在庫薄になると見られた。
ところが発売数日で、突然iPhone人気が急落した。ファーウェイのMate20Proが発売になり、iPhoneの在庫薄を見て、ファーウェイを購入する人が続出したからだ。相変わらず、iPhoneファンは多いが、それは大都市の経済的に余裕がある一部の人。普通の人にしてみれば、iPhoneというブランドにはさほどこだわらない。
あっという間にiPhoneの人気が下がり、アップルストアには在庫がある状態になった。アップルがアップルストアを中国各都市に開店し、販売網を強化したことも転売屋には向かい風になった。iPhoneファンは、路上で販売しているような怪しげな転売屋から2000元も高いiPhoneを買うよりも、正規のアップルストアに買いに行く。転売屋は必死になっていつもの年よりも多めに揃えたiPhoneが、まったく売れない状態になってしまった。
▲iPhoneは例年、在庫がなくて入手困難になるため、他国で購入したiPhoneが路上で販売される。
iPhoneの優位性は背面のロゴだけになった
路上の転売屋たちは右往左往することになった。アップルの販売価格もよりも安くして投げ売りをする者、iPhoneをやめて、ファーウェイのMate20Proが在庫薄になると見て、こちらの転売に鞍替えをする者などもいる。転売屋が口にするのは、「毎年儲けが出たiPhoneの転売だけど、今年は大損だよ!」というものだ。
iPhoneは、中国でも最も高級なスマートフォンだというイメージが定着しているが、今年は違った。大きな進化がない上に、ファーウェイのMate20Proも遜色ないスペックで、さらにシャオミーのMi MIX3では、iPhoneもできていないノッチなしのフルベゼルレスを実現している。iPhoneの優位性は、背面のアップルロゴ以外なくなったと吱咕黒科星人は結んでいる。
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