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アップルと小米はどこに差があるのか。ハイエンド市場に進出するのに足らない点とは何か

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今回は、小米(シャオミ)のスマートフォンについてご紹介します。

 

調査会社Canalysの発表によると、スマートフォンの世界に面白い現象が起きています。全体のスマホ出荷数が減少傾向であることは、みなさんご存知だと思います。買い替え期間が過去例を見ないほど長くなっているため、機種変更をする人が少なくなり、売れなくなっています。2023年Q1のグローバル出荷数は前年比で13.3%も減少しました。

しかし、500ドル以上の機種=ハイエンドだけに限ると、前年比で4.7%も増えました。これにより、ハイエンド機種の割合が初めて3割を超えました。

スマートフォン全体の出荷台数は減少したものの、ハイエンド機種だけに限ると増加をしている。

 

これは考えてみればあたり前のことかも知れません。買い替え期間を延ばすのは、「スマホは電話とメールと決済ができればそれでいい」と考えているライトユーザーが中心で、こういう人はあまりハイエンド機種は買いません。ミドルレンジかエントリー機種を購入します。

一方、ゲームをやりたい、ヘビーに使いたい、そのブランドのファンであるという人は、新しい機種が出ると購入したくなります。スマホの価格帯別の買い替え期間の推移の統計は見つけることができませんでしたが、ハイエンドでは買い替え期間はさほど伸びていないのではないかと思えます。

もうひとつはコストパフォーマンスに優れたミッドレンジスマホも価格が上昇していて、ミッドレンジながらハイエンドの価格帯(ここでは500ドル以上)になってしまったということもあります。また、どうせミッドレンジスマホを買うなら、もう少しお金を出してハイエンドを買いたいと考える人もいたでしょう。

 

では、具体的にどんなスマホが売れたのでしょうか。これも想像通り、iPhoneと韓国サムスンのGalaxyによって占められています。以前は、この2ブランドに華為(ファーウェイ)が加わり、三つ巴の競争をしていましたが、米国のデカップリング政策により、ファーウェイは肝心のチップ「Kirin」が製造できなくなってしまいました。スマホチップの世界でも、アップルのAシリーズ、サムスンのExynos、ファーウェイのKirin、クアルコムのスナップドラゴンの4種が性能を競い合っていましたが、その一角のKirinが消え、ファーウェイは5Gスマホの製造もできなくなり、ハイエンドの世界から消えてしまいました。

現状では、アップルとサムスンの2社が競い合っている状態です。

▲ハイエンド機種の販売台数ラインキングはiPhoneとGalaxyが2強だが、そこにXiaomi 13がランクインした。

 

ところが、13位には小米のXiaomi 13、14位にはファーウェイのMate 50がランクインしました。Kirinが利用できなくなり、クアルコムのスナップドラゴンを使ったMate 50は、5Gに対応できず4G対応です。それでもある程度売れているのは、ファーウェイの根強いファンがいるからです。なお、ファーウェイは独自技術によりKirinの製造を再開しています。世代的には2世代ほど遅れたものとなり、すぐにハイエンドの世界で存在感を出すというわけにはいかないと思いますが、巻き返しが始まっています。

ファーウェイがハイエンドの世界から消えた時、その穴を誰が埋めるのか。3年前、小米は高々とハイエンド進出宣言をしました。今回、ハイエンドランキングの13位に入ったというのは、その成果がようやく実り始めているということです。

 

しかし、残念ながら、iPhoneとXiaomi 13を比べると、まだまだ大きな差があります。iPhone 14の中国価格は5999元から、Xiaomi 13は3999元からと価格に大きな差があるため、同列に比較するのはフェアではないかもしれませんが、プロダクトとしてはまだまだ小米は追いつけていません。

そこで、今回は、アップルと小米のどのあたりにどの程度の差があるのかをご紹介したいと思います。なお、ひとつお断りがあります。紹介する内容上、どうしても「小米のここがだめ、あそこがだめ」と言い方をすることが多くなり、実際に小米製品を使っている方から見ると、不愉快に感じる表現もあるかもしれません。しかし、小米製品の悪口や不満を紹介するのが目的ではありません。私自身、小米の創業者の雷軍(レイ・ジュン)という人は、世界の歴史に残すべきハッカーであると尊敬していますし、小米製品を使いたくて、必要もないのにサブ機としてRedmi Noteを買ってしまったほどです。びっくりするほど安い価格だったのに、非常に高い性能であることに驚き、ますます小米のファンになりました。

 

小米は、素晴らしい電子機器メーカーですが、目標としているアップルがすごすぎるのです。アップルに戦いを挑んでいる雷軍は、どうやって、気持ちを切らさずにモチベーションを維持し続けているのか不思議になるほどです。

今回のメルマガの目的は、小米が行ってきた数々の素晴らしい工夫をご紹介すると同時に、アップルのすごさも紹介したいと思っています。その差を感じていただくことで、スマホ業界の競争の構図が見えてくるのではないかと思うからです。そのため、小米の製品について、偉そうにダメ出しをするような表現もあるかと思いますが、ご容赦ください。

さらに、小米はハイエンドに進出をしようとしていますが、ローエンドロック(Low End Lock)に苦しんでいます。コスパ企業がハイエンドに転換をするには、製品だけでなく、企業体質もハイエンドにならなければならず、それが簡単ではないのです。小米だけでなく、中国のスマホメーカーの多くが、このローエンドロックに苦しんでいます。

今回は、「小米はアップルにどこまで迫れているのか」についてご紹介し、中国のスマホメーカーが直面するハイエンドの壁についてご紹介いたします。

 

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今月、発行したのは、以下のメルマガです。

vol.179:もうこれ以上の地下鉄はつくれない。限界に達した中国各都市が注目をする香港地下鉄のTOD

vol.180:5種類のECの「人貨場」。消費者、商品、場を一致させることで商品は売れる