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アリババが杭州市に開業した未来ホテルは、新小売戦略の一環

アリババが杭州市に未来ホテルを開業した。チェックインは顔認証、ロボットが案内、部屋の操作は音声というものだ。ルームサービスは外売(出前)を利用するなど、アリババが進める新小売戦略の一環だと財経網が報じた。

 

顔認証でチェックイン、自分の顔がカギになる

アリババが開業したのは、杭州市のFlyZooホテル。通称は「アリババ未来ホテル」だ。このホテルの特徴は、チェックインから宿泊、チェックアウトまでのほとんどがIT化されていることだ。

未来ホテルに入ると、ロビーがあるだけでフロントのようなものはなく、代わりに身長1mのロボットが登場する。このロボットは、顔認識機能を持っていて、来客が予約済みであるかどうかを判別する。

予約済みの宿泊客であれば、このロボットが部屋まで案内をする。客室、エレベーター、レストラン、ジムなどはすべて顔認証でドアが開く。

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杭州市に開業したアリババ未来ホテル。290の客室がある。現在、一般のホテル予約サイトからはまだ予約できず、専用アプリでの予約が必要なようだ。

 

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▲チェックインはフロントのモニターを使い、顔認証で行う。支払いはもちろんアリペイだ。

 

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▲ロビーで待ち構えているロボットが客室に案内してくれる。ロボット内部には収納スペースがあり、ルームサービスの食事や飲み物も部屋に運んでくれる。

 

照明、エアコン、ルームサービスなどはすべてAIアシスタント

部屋に入ると、照明が自動的につき、テレビ、エアコンがオンになる。テレビ、照明、カーテン、またルームサービスなどは、すべてアリババのAIアシスタント「天猫精霊」に音声で操作することができる。音声なので、ベッドに横たわったまま操作可能だ。

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▲客室にはAIスピーカーが設置され、すべての操作が音声で可能になっている。

 

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▲アリババもAIスピーカーを発売している。マイクの形がアリババTmallのキャラクターである猫の形になっている。

 

新小売をパッケージ化して販売する

アリババは、ホテル運営をするつもりはない。これは一種のモデルルームで、未来ホテルのシステムを販売しようとしている。中国には30万軒以上のホテルがあるので、市場は広大だ。

アリババ傘下のオンライン旅行社「飛猪」がホテルのユーザー体験をデザインし、Tmallが家具などを提供し、アリババと資本提携している外売サービス「餓了么」がルームサービスを担当する。ホテルシステムを販売することで、このようなアリババ系列のサービスもパッケージにして販売することができる。アリババの狙いは、新小売戦略を普及させることにある。