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ひと味違うアリペイのタッチ決済。決済時間の短縮よりも、マーケティングツールとしての活用に注目が集まる

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今回は、アリペイタッチのマーケティングツールとしての側面についてご紹介します。

 

経済産業省の「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250331005/20250331005.html)によると、日本のキャッシュレス決済比率は42.8%となり、非常に順調に増加をしています。

▲日本のキャッシュレス比率は順調に成長し、42.8%となり、政府目標の40%を達成した。経済産業省のデータ。

 

一方で、ここまで増えてくるとさまざまな問題が出てきています。特にセルフレジはさまざまな問題が起きていて、一度導入しておきながら撤去するという店舗もあると報道されています。

最大の問題は操作ミスをした時にスタッフに対応をしてもらうしかなくなるため、そのような例が多発をすると、有人レジよりも時間がかかってしまうことです。日本は、キャッシュレス決済が多岐に渡るため、操作が複雑になり、ミスをしやすい環境になっています。

また、監視カメラが設置されているとは言え、人目が届かないということから、万引きもかなりの率にのぼっているようです。抑止をするには、通報をするという厳格な対応を取らざるを得ませんが「レジを通すのを忘れただけだ」と言い張られるとそれ以上の追求も難しいことから頭の痛い問題になっています。

 

キャッシュレス決済で多くの人が期待をしているのが、レジオペレーション時間が短縮をされ、商店側はレジ業務の効率化が期待でき、消費者側は行列に並ぶ必要がなくなることが期待されることです。

これについては、JCBの調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000312.000011361.html)があります。

JCBの調査によると、電子マネーによる決済時間が最も短くなる。

 

この調査結果は、あちこちで引用され「キャッシュレスはレジオペレーション時間が短くなる」の根拠となっています。報告書は、これにより1店舗あたりの労働時間は1日4時間減少し、消費者の自由な時間が年間3時間増え、1人あたり年間1万2000円に相当する価値が生み出されるとしています。

 

しかし、このデータを利用する時は注意深さが求められます。JCBが何かおかしな方向に誘導していると言いたいわけではありません。クレジットカードはサインレスの時間が検証されていますが、現実にはまだまだサインあり決済がけっこうな割合で存在するということです。

コンビニのような低額消費の場合はほぼサインレスでいけますが、スーパーなどでは数千円から1万円程度を購入することもあり、サイン(PINコード入力)が必要なことがけっこうあります。

クレジットカードで決済をする時は、通信をしてオーソリ(与信)確認を必ずします。そのカードが有効なものであるかどうかを確かめているのです。万が一、盗難などでカードが無効になっている場合や利用限度額を超えている場合は、この段階で「利用できません」という答えが返ってくることになります。

サインありの従来の決済では、このオーソリに5秒から7秒かかっていました。これは結構長い時間です。スーパーのレジで、レジ担当者もお客も何もすることなくオーソリ待ちをするという光景を見たり、体験したことがある人は少なくないと思います。

クレジットカード会社もこの仕組みが時代に合っていないことはわかっていて、そこで開発されたのがサインレス決済やタッチ決済(コンタクトレス決済)です。このような決済ではオーソリは簡略化され、場合によってはカードの有効性確認も省略することがあります。そのため、オーソリにかかる時間は2秒程度と半分以下から1/4程度に短縮されました。カードを差し込んで、あるいはタッチをして、そのまま決済が終わるという非常にスピーディーな決済方法です。

しかし、毎回簡易オーソリというのは不正利用される要因になるため、節目節目で本格的なオーソリを行います。どのような時にそうなるかは安全を確保するため、カード会社は公開していませんが、一般的には決済金額が大きくなる場合や連続して使用した場合、しばらくぶりに使った場合などです。

 

つまり、クレジットカードのサインレス決済は、交通カードや電子マネーのようにタッチだけで決済が終わるというわけにはいかないのです。

これはクレジットカードの中には残高という概念がなく、決済に必要なお金はいったんカード会社が建て替えて支払うために、どうしてもオーソリが必要になるからです。一方、交通カードや電子マネーには残高というお金が入っていますから、残高が足りているのであれば、オーソリなどをせずに決済をすることが可能です。

 

もうひとつ、レジオペレーションの障害になっているのがポイント制度です。どこの小売チェーンでも「◯◯ポイント」というのがあり、ほぼアプリ化をされています。つまり、レジを通る時は、金額が提示されたらまずポイントアプリを開いてバーコードなどを読み取ってもらい、次に決済アプリを開いて決済をしなければなりません。2度アプリを使わなければならず、ユーザー体験は非常に悪く、操作ミスも起こりやすくなります。

東京と神奈川に43店舗を展開するスーパーオオゼキhttp://ozeki-net.co.jp/)では、非常にうまい工夫をしています。オオゼキのポイント制度「OZポイント」はアプリ化をされていますが、このアプリのバーコードを読み取ってもらうのは決済時ではなく、その前段階の商品読み取りをしている間のいつでもいいのです。来店客は商品読み取りが始まってからアプリを開いて、スキャンをしてもらいます。さらに、商品読み取りは有人ですが、支払いはセルフ機というハイブリッドレジであるため、支払い機の前に行ってから決済アプリを開けばよくなります。

レジ担当者の動き、消費者がやらなければならないことをうまく組み合わせて、双方に負担にならないようにしています。結果として、レジオペレーションの効率は非常によくなり、長い行列ができることはほとんどありません。

ポイント制度は、マーケティング上重要な仕組みですが、それにより、業務効率とユーザー体験が悪化をしないように設計しなければなりません。セルフレジに時間がかかったり、操作ミスが起きるのは、だいたいこのポイントの選択肢が多すぎて、迷ったり間違ってボタンを押してしまうことから起こります。

 

2024年6月、中国スマホ決済「支付宝」(ジーフーバオ、アリペイ)は、新機能「碰一下」(ポンイーシャー)を発表しました。アリペイはこれまでQRコード決済が中心でしたが、NFCによるタッチ決済を発表したのです。スマホをかざすだけで決済が完了します。

仕組みはNFCタッチ決済で、クレジットカードのNFCタッチ決済、コンタクトレス決済と同じものです。タッチ決済への移行は、国際カードブランドから比べるとかなり遅れをとることになりました。

それには訳があります。アリペイは2011年にQRコード決済をスタートさせ、2017年には次世代決済方式として顔認証決済をスタートさせました。これは画期的でした。なぜなら、顔があればスマホがなくても決済ができるからです。実際、あちこちのスーパーなどに導入をされ、新時代を感じさせるものでした。

ところが、爆発普及期に入る2020年、新型コロナの感染拡大が起こり、多くの人がマスクを着用するようになりました。多くの顔認識系のソフトウェアをつくっている企業ではマスク対応を始め、95%とか98%の認識率を確保しましたが、出退勤管理であればこの認識率でも運用できますが、決済では精度不足です。誤認識率が100万分の1とか1000万分の1にならないと使い物になりません。結局、顔認証決済は一部で使われるだけにとどまっています。

 

この回り道をしたために、タッチ決済への対応が遅れました。しかし、アリペイのタッチ決済には、クレジットカードのタッチ決済にはない、さまざまな工夫がされています。特にマーケティングツールとして使う工夫がされていて、すでにさまざまな企業が活用を始めています。ここが、クレジットカードのタッチ決済とは大きく異なる点になっています。

どのような工夫があるのか、事例を通じてご紹介するというのが今回のテーマです。

また、実は、決済額シェアで言うと、2025年Q1では、WeChatペイ59.7%対アリペイ36.2%にまで差がついています。以前は1:1で拮抗していたのですが、アリペイは昨年から急速にシェアを落としています。これはなぜなのかについてもご紹介します。アリペイタッチは、アリペイの巻き返し策でもあるのです。

今回は、アリペイタッチについて、実例を取り上げながらご紹介します。

 

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