有料自習室が人気になり、利用者が急増している。しかし、現実逃避をし、やっているふりをするだけの演技性学習も増えており、長期的には悪い影響が出ることも懸念されるようになっていると極目新聞が報じた。
増え続ける有料自習室
カフェや図書館、ファストフードなどで勉強をする学生は珍しくない。しかし、席を占有するという問題があり、長時間利用を禁止する場所も増え、学生たちは行き場を失っている。大型図書館では自習専用席を設けているところが増えたが、そこに座るためには朝早くから行列をしなければならないほど競争が激しくなっている。
そこで、人気になっているのが、有料自習室だ。隣が気にならないようにパーティションが設けられたデスクで、私語は厳禁。勉強に集中ができるとして人気になっている。
すでに自習室は7万カ所を突破し、特に2023年には運営企業が前年比523.7%増と急増し、2.25万社になった。

有料だから勉強に身が入る
利用方法はさまざまだが、人気になっているのは月額レンタルだ。1月ごとに使用料を支払えば、その席はいつでも自由に使える。他人が使うことはないので、荷物も置いておくことができる。
しかし、この料金は月額500元(約1万円)程度となっており、お金のない学生にとってはかなり痛い出費だ。しかし、だからいいと考える人もいる。せっかくお金を払っているのだから使わなければもったいないと考え、自習室に足が向く。自習室に行けば、ときおりスマートフォンで動画を見る以外は勉強せざるを得ない。結果として、勉強をする時間が増える。ここが利用する理由になっている。

現実逃避をするために利用する若者も
その一方で、極目新聞の記者が利用者に取材をしてみると、全員が前向きな理由で利用しているわけでもないことが見えてきた。
山西省大同市の自習室では、2022年に大学を卒業し、それ以来2年間、大学院の受験勉強をしている学生と出会った。自宅には自室があり、そこでも勉強ができるのだが、親がいるために、「今後どうするのだ」と話しかけられる。それは、勉強の妨げになるだけでなく、不安な気持ちにもさせられる。自分の今後について、親は心配をしているとは思うが、いちばん不安になっているのは自分なのだ。
それが嫌で自習室に逃げてきているのだという。自習室で勉強に集中している時間だけが、心の平穏が保たれる。

4割は勉強せずに暇つぶしをしている
また、現在の勉強が教科書ではなく、オンラインに移っていることも大きく影響している。教科書を開くより、スマートフォンやタブレット、PCで動画教材を見てノートを取るというのが基本的なスタイルになっている。
当然ながら、学習教材ではなく、まったく関係のない動画を見てしまい、1日自習室にいてもまったく勉強をしていないという人も増えているのだという。
中国青年報の社会調査センターが有料自習室を利用する1000人に対して行ったアンケート調査では、4割の人が「お金を払っているから義務的に出勤をしている」と回答している。このような人たちは、自習室にきても、勉強よりもスマホで暇つぶしをしている時間が多い可能性がある。

勉強しているふりをする演技性学習
勉強しないのであれば、自習室にくることも、お金を払うことも無駄で、自宅や公園でスマホで暇つぶしをしていればいいことだ。それなのに、なぜ自習室を利用するのか。
専門家は、この問題を「演技性学習」という言葉で説明をする。自習室を利用するのは学校や資格試験の受験勉強をする人が中心になる。そのような受験生は、社会の中で自分の居場所が確保できていないという不安の中にある。そういう人たちが「勉強しているフリ」をするために行うのが「演技性学習」だ。
勉強しているふりをして、周囲を騙そうとしているわけではない。自分が不安なので、勉強的な何かをしていることで、その時間だけは不安から逃れることができる。短期的に心の平穏を得ることはできるが、長期的にはメンタルヘルス、社会適応能力、キャリアデザインなどに悪影響があることを考えるべきだとしている。iiMediaの調査レポートによると、2022年の段階で有料自習室の利用者は755万人となり、2025年には1千万人を超えると予測されている。
