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プリペイドカードの残高が0にできない!スターバックスを訴えた4人の大学生

4人の大学生がスターバックスを相手取り、訴訟を起こした。それはプリペイドカードの残高がどうやっても0にできない問題だ。スターバックスはすぐに規約を改定するという誠実な対応をしたと東方網が報じた。

 

どうやっても残高を0にできないプリペイドカード

4人の北京大学生がスターバックスを訴えたのは、プリペイドカードで残高を0元にできない問題だ。

スターバックスでは、プリペイドカード「星礼カード」を運用している。あらかじめチャージをしておけば、それでスターバックスの支払いができ、さまざまな特典があるというものだ。ところが、このカードのチャージは100元単位でしかできない。

法学部の学生の董さんは、このカードを使い、残高が19元になった。しかし、19元ではどの飲料も買うことができない。仕方なく100元をチャージして使ったが、今度は残高が10元になった。やはり何も買うことができず、チャージをしなければならない。

しかし、董さんは「どうやっても、よほど運がよくなければ、使えない額の残高が残ってしまう」と感じた。

スターバックスプリペイドカード。ギフトなどに利用されている。しかし、チャージが100元単位であるため、どうやっても残高を0にできない。

 

払い戻しには最低20元の手数料が必要

そこで、董さんはスターバックスカスタマーサービスに払い戻しの問い合わせをした。すると、カード残高の現金化は可能だが、手数料として残高の2%が必要で、残高が小さくても最低20元は必要になるという返答だった。もちろん、その旨はカードを購入する時の約款に書かれているのだが、多くの人がそこまで見ない。あるいは気をつけて見ても、見逃してしまうほど小さく記述されている。

 

ネットでは同様の不満を持っている人が多かった

董さんがネットを調べてみると、同様の不満を持っている人が多いことを発見した。他のカフェでは、プリペイドカードの払い戻しをする時に、手数料を取らずに残高をそのまま返金しているところもある。

また、中には、消費者と企業の関係が公平ではないという問題意識から、スターバックスに苦情を入れたり、訴訟を考えたりする人もいるが、現実には訴訟費用がかかり、また仲裁をするには弁護士の助けが必要であることなどから断念をしていることも発見した。

そこで、董さんは、友人の3人とチームをつくり、訴訟を起こすことに挑戦した。消費者の意識を高めることにもつながり、自分たちにも実践的な学びを得ることができるからだ。

 

4人の大学生はスターバックスを訴えた

こうして、4人の学生は2023年6月19日に、スターバックス中国の所在地である上海市第一中級人民法院に、スターバックスを相手取って訴訟を起こした。要求は2つある。1つは返金手数料の条項を消費者にとっての重要事項として太字にするなど、消費者が認識しやすい表現に改めること。もうひとつは、チャージの額を100元単位ではなく、消費者の任意の金額に改めることだ。チャージ額が自由になれば、使えない残高が残っていても、それに商品価格との差額分をチャージすることで、残高を使い切ることができる。

 

スターバックス側の誠実な対応

スターバックス側の対応は誠実なものだった。訴訟にすぐに反応し、カードの規約改定を行なった。すぐに返金や紛争解決に関する条項を太字にし、目立つようにする改善を行なった。この改善は7月15日から実施をされた。

さらに、チャージ金額などの仕組みについても改善をすることを約束し、11月6日から、チャージ金額は任意の額で行なえるようになり、返金の場合の手数料も「最低20元」の条項を削除し、一律2%から1.5%に下げるようになった。訴訟は取り下げられ、和解をすることになった。

▲訴訟大会の予選は、オンラインで行われた。審査員が、各チームの概要を聞き、審査を行なう。

 

公益訴訟コンテストで二等賞を受賞

この4人は、この経験を活かして、第9回「小城杯」公益の星イノベーション訴訟大会に出場し、二等賞を受賞した。この小城杯は、上海小城法律事務所が主催をし、蘇州大学や上海市松江区、蘇州市などの司法局が協賛をする公益活動で、大学生が公益のために起こした訴訟の内容で競い合うコンテンストだ。有名なのは第5回で、大学生がディズニーランドに対して「飲食品の持ち込み禁止は消費者の権利を制限している」と訴えた内容で、最終的にディズニーランド側は飲食品の持ち込みを禁止しない規則改定を行なった。

このような公益訴訟の経験をし、小城杯で受賞をし、弁護士として活躍している人も多い。董さんたち4人も、弁護士資格を取得し、消費者の権利を守る活動をしていきたいという。

▲第9回「小城杯」公益の星イノベーション訴訟大会の決勝で発表をする大学生。消費者を保護する公益活動として評価され、二等賞を受賞した。