衰退が進む深圳市の華強北が、スマホケースで再び賑わいを取り戻そうとしている。気分を変えるためにスマホケースを複数持つ人は多く、華強北ではユニークなスマホケースが続々と登場していると深圳特区報が報じた。
今の華強北はスマホケースの街になっている
電子機器や中古スマホなどの販売で有名な深圳市の華強北(ホワチャンベイ)も以前の活気が失われている。華強北で売られているものはECでも販売されているため、遠方から華強北にくる人が減ってしまったためだ。しかし、最近はスマホケースで再び賑わいが戻ってきているという。
スマホケースは単価が安いために小さなビジネスだと思われがちだが、スマホメーカーより儲かるとまで言われる。年間の販売数が300万個程度の典型的なスマホケースメーカーでは、利益率が20%から30%にもなる。さらに近年ではDIYキットにして消費者がオリジナルのスマホケースをつくれるようにしているものも多く、これになると利益率は70%から80%にもなる。
華強北にきて手ぶらで帰ることができる人はいない
ヒットするスマホケースをつくることができれば、その原価率は低いために大きな利益が得られるのだ。さらに、中国人、特に若い女性はスマホケースをいくつも買う。気分に合わせて変えるのがあたりまえのことになっている。
さらに、華強北では他にないユニークなケースが続々と誕生している。「華強北にきて手ぶらで帰ることができる人はいない」とまで言われるほど人気になっている。ECでは20元、30元で販売されているケースが、華強北では大量展示されて10元以下で販売されている。これにより、華強北に人が戻り始めている。
オフラインならでは買い物体験ができる
SNS「小紅書」(シャオホンシュー)では、スマホケースの購入攻略の記事が大量に投稿されている。どこにどのような品揃えの店舗があり、どの地下鉄でどの出口から出ると近いかなどが詳細にまとめられている。また、店舗では大量展示をしているために、見ているだけでも楽しい。多くの人が、華強北にくると10個程度のケースを買ってしまう。ECでは体験できない、オフライン店舗ならではの購入体験が実現できていることが人気の秘密だ。
スマホケースに復活をかける華強北
メーカー側も工夫をしている。スマホケースの背面を開くと鏡になっているものであったり、キットになっていて、自分でキャラクターをケースに盛り付けていくことができるものもある。
また、消費者がSNSで発信をするだけでなく、多くのメーカー、店舗がSNSで発信をし、ライブコマースを行っている。これを見て、ライブコマースで買う人もいれば、「華強北に行って思いっきり買い物を楽しんでみたい」と考える人も増えていく。
企業調査サービス「天眼査」によると、2023年5月の段階で、深圳にはスマホケース関連の企業が1万1381社ある。これは全国の関連企業のほぼ5割にあたる。衰退が進むと言われている華強北は、スマホケースで復活をしようとしている。