湖南省婁底市新化県の白渓鎮がライブコマースで大きく変わった。出身者の曽慶歓さんが名産品の豆腐乳のライブコマースで成功すると、村の経済が回り出し、貧困問題が一瞬で解決をした。ライブコマースが農村の経済を変えていると瀟湘晨報が報じた。
工員から農産品販売に転身
ショートムービーとライブコマースはさまざまな人に生きる道を切り開く機会を与えている。ある農村の女性が豆腐乳を販売して企業化をし、村の経済を大きく変えた。
彼女の名前は曽慶歓（ザン・チンホアン）さん。90年代生まれだが、家庭の経済には余裕がなく、かつては深圳の工場で働いていた。ある時、EC関連のビジネスに長年携わっている従姉妹と食事をした時に、ショートムービーを使って農村の特産品を売ってみたら儲かるのではないかという話になった。
これがきっかけで、曽慶歓さんは2018年からショートムービー「快手」「抖音」などで農産品を販売し、4年をかけて、今では年に500万元（約9800万円）の売り上げをあげるようになっている。
地元の豆腐乳がライブコマースでバカ売れ
曽慶歓さんは、「湘妹心宝」という名前でライブコマースを行なっている。「今ではスマートフォンと自撮り棒が私の農具で、ライブコマースが私の農作業です」と言う。
最初に販売をしたのは豆腐乳だった。湖南省婁底市新化県白渓鎮の名産品で、質が高いことはよく知られているが、残念ながら販売量は多くなかった。伝統的な小売ルートでしか販売をしていなかったため、地方の隠れた名産品の地位に甘んじていた。
湘妹心宝はパッケージを考え、ライブコマースでその品質の高さを伝え販売をすると、人気となって大量に売れるようになった。最高で1回のライブコマースで6000件以上の注文が入り、1年で500万元以上の売り上げとなった。
村の貧困問題が一瞬で解決された
この1回のライブコマースで6000件の注文ということに村の人々は驚いた。なぜなら、従来の3ヶ月分の販売量だっただからだ。それがわずか1日で売れてしまった。加工会社の社長は驚き、社員はみな残業をして出荷作業に追われた。
加工会社は工場を新設することになり、村の中の68名の貧困家庭の人を優先して採用した。その後も豆腐乳は売れており、村の貧困問題が一気に解決をした。
豆腐乳のヒットで、変わる村の人々の見方
湘妹心宝がライブコマースを始めた頃は、村の人たちも懐疑的だった。畑仕事もせずに、田んぼの中に入ってきてスマホで遊んでいるとしか見られず、批判的なことを言う人もいた。しかし、豆腐乳が売れてみると、村の人たちの見方も変わった。今では、「村の守護」「豆腐の西施」（西施は歴史上の美女の名前）と呼ばれるようになっている。
最も変わったのは、村の有力者が尋ねてきて、村の若者たちにライブコマースのやり方を教えてくれないかと頼みにきたことだ。喜んだ湘妹心宝は、無料のライブコマース教室を開設した。
さらに、300ムー（20ha）の畑を提供してもらい、「ライブコマース研究室」も設立した。そこで、村の若者たちにライブコマースのノウハウを教え、実際にライブコマースを行い、明日の湘妹心宝を育てようとしている。このプロジェクトに、湘妹心宝自身も40万元以上を投資している。
ライブコマースで村おこしが可能に
この研究室の成果も生まれている。「養鴨人奉棟材」という中年男性が鴨のライブコマース販売を軌道に乗せた。彼は村の外れで鴨を飼育している農民だったが、年に500羽ほどしか売れず、家庭は困窮していた。
しかし、ライブコマース販売をしてみると最初の年に2100羽が売れた。今年は3000羽を売ることを目標にしている。1羽120元で販売をし、最初の年の収入は25万元（約490万円）ほどになり、生活が成り立つようになった。今年は土地を借りて養殖場を広げ、35万元の収入を目指している。
白渓鎮の若者たちは、農作業をするかたわら、湘妹心宝のライブコマース教室に通い、生産した農産品をライブコマースで販売することを夢見ている。ライブコマースが村の経済を変えようとしている。
