中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

商品はショートムービーで紹介するのが主流。タオバオを起点にショートムービーで展開する興味ECの仕組み

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明日、vol. 103が発行になります。

 

今回は、興味ECについてご紹介します。

興味ECについては、「vol.078:ECがビジネスモデルの変革期に突入。TikTokライブコマースによる「興味EC」「アルゴリズムEC」とは」でご紹介しました。この「興味EC」という言葉は、2021年4月に中国版TikTok「抖音」(ドウイン)を運営するバイトダンスが、EC販売業者を集めたカンファランスで使った言葉です。少し日本語の座りが悪いのですが、原語は「興趣電商」です。中国では興味を感じるという時に「興趣を感じる」と言い方をします。そのため、「興味EC」と訳す他にないのですが、ニュアンスがうまく伝わる言い方でもないように思います。「興味を感じること」がきっかけになって商品が売れるECというような意味です。

 

人は、商品を購入する時の動機に大別して2種類あります。ひとつはニーズに基づいた購入です。例えばトイレットペーパーです。なければ困るので買いますが、商品に対する関心度は低めです。人によって柔らかい方がいいとか、花柄がついている方がいいとかはあるかもしれませんが、多くの人は標準的な品質であればどれでもかまわない。どうしても◯◯製紙のトイレットペーパーでなければイヤだとこだわっている人は多くはないと思います。

このようなニーズ購入は、購入の手間が省けるほど嬉しく、価格が安いほど嬉しいものです。そのため、容易に過度の価格競争になり、手間を省くためECで購入する人が増加をしていくことになります。最近では、切れる頃に自動的に配送する定期購入などのサブスク化も始まっています。

 

もうひとつがウォンツに基づいた購入です。例えばキャンプ用品などの趣味の道具です。キャンプ用品はなくても生活に困るようなことはありません。しかし、欲しいから買います。このような購入が興味に基づく購入です。

この興味に基づく購入品が増えていることをみなさんもお感じになっているのではないでしょうか。外食に行く時も「お腹が満たせればどこでもいい」ではなく、できれば話のタネになる飲食店に行ってみたい。SNSで話題の店に行ってみたい。消費生活が成熟をしてきて、商品という物質そのものではなく、体験に価値が置かれるようになると自然に興味に基づく購入が増えてきます。トイレットペーパーですら、面白いキャラクターが印刷されている商品であれば、興味を持って買う人もいるのではないでしょうか。

 

2020年、バイトダンスの「抖音」、ショートムービーの「快手」(クワイショウ)は、ライブコマースを全面的に取り入れ、大成功をしました。抖音は2020年の流通総額(GMV)が5000億元(約8.5兆円)、快手は3811.7億元(約6.5兆円)という驚異的な売上になっています。

このライブコマースの成功を説明するのに、バイトダンスは「興味EC」という概念を持ち出しました。ライブコマースでは、人の興味を刺激しやすいので商品がよく売れるのだという説明です。確かに、冷凍餃子のライブコマースなどで、美味しそうに食べている様子を見てしまうと、ついつい注文したくなってしまいます。

このようなご紹介をした上で、興味ECは今後、大きなECのトレンドになっていくかもしれないということをお伝えしたのが、「vol.078:ECがビジネスモデルの変革期に突入。TikTokライブコマースによる「興味EC」「アルゴリズムEC」とは」です。

 

この興味ECが「今後のトレンドになっていくかもしれない」ではなく、かなりその可能性が高まってきました。

というのは、興味ECは、ライブコマースだけでなく、ショートムービーでも人の興味を刺激することができ、現在中国でショートムービーで商品を販売する手法が急速に主流になりつつあるからです。抖音、快手ではもちろん、ソーシャルEC「小紅書」(シャオホンシュー、RED)や淘宝網タオバオ)ですら、ショートムービーが増えていっているのです。

アマゾンや楽天市場のECで、商品のページを見ると、多くの場合、写真とテキストで商品が紹介されています。これがショートムービーに置き換わりつつあります。ショートムービーの方が、興味を刺激して、売上が上がるということに気がつき始めたからです。

すべてがショートムービーに置き換わることはないにしても、かなりの割合で、商品詳細ページはショートムービーに置き換わっていきそうな勢いです。特にECの老舗であるタオバオがショートムービーに対応したことが大きく、一気にショートムービーに注目が集まっています。

そこで、今回は、なぜショートムービーで興味を刺激し、売上を上げることができるのか。そして、興味ECとは何なのかをご紹介します。

 

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