SNS「WeChat」でのメッセージ交換は、若者は普通にテキストを使うが、中高年は音声を録音して送信する人が多い。中国語の文字入力は意外に難しく、面倒な面があるからだ。しかし、これが若者と中高年の間でトラブルを起こすことがあると新華報業網が報じた。
メッセージ読み上げ機能が波紋
中国では、スマートフォン利用者のほぼ全員が使っているSNS「微信」(ウェイシン、WeChat)。日本のLINEとよく似ていて、友人知人の間でテキストメッセージをやり取りできるというものだ。
2022年4月に、中高年向けの新機能が追加された。送られてきたメッセージを音声読み上げしてくれる機能だ。この機能が議論を呼んでいる。特筆すべき機能とは思えないこの機能がなぜ波紋を呼んでいるのだろうか。
中高年の間で定着をしている音声メッセージ
WeChatでメッセージをやり取りするのには2つの方法がある。ひとつはテキストメッセージを送り合う方法で、ごく一般的なものだ。もうひとつが音声でやりとりする方法だ。音声ボタンを押して、メッセージを吹き込む。これを送信すると、相手側は再生することができる。音声といっても、電話のように同時に話ができるのではなく、留守番電話のメッセージを送り合うような感覚だ。
このような音声メッセージによるやり取りは主に中高年が使っている。大きな理由になっているのが、中高年は文字入力が苦手ということだ。中国語の文字入力は意外に難しいからだ。一般的には、発音をローマ字表記した拼音入力をするが、pinとpingを区別するなど、外国人にとっても中国人にとっても意外に難しい。中高年は、拼音の教育をしっかりと受けていない人もいる。さらには、中国語は方言が多く、地方の人にとっては実際の発音と拼音表記にずれがある。
手書き文字入力も可能だが、一文字ずつ手書きをしていくのはあまりにも手間がかかる。そこで使われるのが音声入力で、変換率も実用レベルになっているものの、中高年はだったら音声のまま送ればいいじゃないかと考える。こうして、中高年の間では、音声でメッセージを送り、音声でメッセージを聞くというスタイルが定着をしている。

若い世代は音声メッセージが苦手
ところが若い世代は、この音声メッセージが好きではない。ちょっとした内容でも20秒、30秒の長さになり、それを聞く時間、他のことができない。
仕事中や商談中、会議中にメッセージを受け取った場合は、テキストであれば、チラ見をして、緊急の要件でないかどうか判断できるが、音声メッセージでは聞かなければならない。上司が音声メッセージを多用する人で、商談中に緊急の音声メッセージを送られ、再生することができず、後でなぜすぐに対応しないのだと叱られるという理不尽なこともある。
あるいは地下鉄に乗っている時に、上司や取引先から音声メッセージを受け取り、再生をするが、走行音がうるさいために何と言っているのか聞き取れない。何度も再生し直して聞き取らなけれならないこともある。

テキストと音声で分断する若者と中高年
音声は、メッセージとしての効率も悪い。テキストであれば、100文字を読み理解するのに必要な時間は平均9秒ほどだが、音声の場合は22秒ほどかかる。
さらに、若い世代が音声メッセージを嫌う理由は、相手のことを思いやる気持ちが感じられないということかもしれない。音声メッセージは送る方は話をするだけで楽だが、聞く方は時間もかかり、音声メッセージを聞けない状況のことも多い。それを考えると、メッセージはテキストにしておくのが送る方も受ける方もやりやすい。自分のことしか考えず、相手の手間を考慮に入れない中高年世代への反発もあるようだ。

読み上げ機能搭載で心配をする若者たち
WeChatにテキスト読み上げの機能が搭載されたことで、中高年は音声メッセージが使いやすくなると喜んでいる。テキストでメッセージが送られてきても、それを音声で再生し、音声で返すといういつもの自分のやり方ができるようになるからだ。その一方で、若い世代は音声メッセージに悩まされることが増えるのではないかと心配をしている。
