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自動運転車は、特定の条件下で追突事故を起こす。復旦大学の教授の警告に、揺れるネット世論

復旦大学の揚珉教授が、ウェイボーで、自動運転車は特定の条件下で事故を起こすと警告をして波紋を呼んでいる。自家用車でも一定グレード以上では、L2自動運転(運転者補助)が当たり前になり、さらにL3、L4の自動運転の時代になろうとしている。揚珉教授の発言は、自動車関連のネット世論で大きな議論になっていると牛車網が報じた。

 

理想汽車の自動運転支援利用台数が6万台を突破

ことの起こりは、理想汽車の李想CEOが自社の2021年の業績を自画自賛するような内容のツイートを微博(ウェイボー)で発信したことだった。

その内容は、理想汽車が開発した自動運転システム「NOA」の使用が6万台を突破し、これは他の自動運転システムの使用台数の合計よりも大きいという内容のものだった。

ただし、NOAはL2自動運転(特定条件下での自動運転)であり、運転者の命令により特定の運転を行うというものだ。例えば、前の車に追従する、遅い車を追い越す、高架道路の分合流を行うなどで、運転者が何をしてほしいかをハンドルのスイッチを押すなどする必要がある。いわゆるAIアシスト運転だ。理想はこのNOAの機能を高めていき、L3、L4とグレードアップさせていこうとしている。

6万台というのは自動車全体の数からすれば小さいものの、いよいよ自動運転時代が始まったと実感させてくれる数字でもある。


www.youtube.com

▲理想汽車のアシスト自動運転を紹介するビデオ。非常にスムースに自動運転が行われている。

 

自動運転は特定の条件下で事故を起こすと主張する専門家

ところが、この発言に冷水を浴びせかけた人がいる。復旦大学の揚珉教授だ。コンピューター科学技術系の教授であり、システム安全実験室を主催している。理想CEOの発言に対して、自動運転は特定の条件を満足させる条件下では衝突事故を起こすと応え、ネットでは大きな論争になっている。

揚珉教授の研究室では、運転安全性試験プラットフォームを使い、L4自動運転の安全評価を行っている。すると、L4自動運転では、ある条件下で衝突事故を起こすことが確認されたという。1週間の試験で数百件の衝突ケースが観察されたという。

揚珉教授は安全性試験プラットフォームは、大量の試験が可能であるため、1週間で数百件の衝突事故というのは、現実に起きる可能性はきわめて稀なことだが、小雪程度であっても、一人の上に降れば積もるのだと警告している。

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復旦大学の揚珉教授のウェイボーでの発言。特定条件下で自動運転が事故を起こす事例が確認されており、安易にL3、L4の自動運転をすべきではないと警告している。 

https://weibo.com/2280128311/LatdOxVyk?pagetype=profilefeed

 

ある条件で割り込まれると認識ができない

揚珉教授は、ツイートに事故がプラットフォーム内で事故が起きたケースのムービーを添付している。事故ケースに関する分析や評価はこれからのこととなるため、揚珉教授は詳しくは説明をしていないが、高速道路の流れが悪く、低速走行になっている状態で合流をしようとした時に、前の車が割り込んでくると、自動運転車は認識ができずに衝突をしてしまっているように見える。

中国は右側通行なので、前の車は低速車線側から追い越しをかけるという違法な運転を行っている。しかも、割り込むように車線変更をしている。しかし、多くの人が現実によくあることだと認識していて、ショックを受けている。実際、割り込むように車線変更をする車は多く、それで接触事故が起きている。

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復旦大学の揚珉教授が公開したビデオ。合流車線から本線に入る途中で、前に割り込まれると認識ができずに衝突をしてしまう。

 

不可解なのは人間の運転。混在がリスクになる

ただし、揚珉教授が明らかにしたのはこの動画のみで、「特定の条件下」が具体的にどのようなものであるのかはコメントしていない。揚珉教授はL2自動運転から先のL3、L4に安易に進むべきではないと警告をしている。

2021年1月には、NIOのL2自動運転車が、路肩に停車をするために速度を落としていた前方車両を認識することができず、高速で追突するという事故が起きている。さらに7月、12月にも自動運転システムの判断ミスではないかと疑われる事故が発生をしている。

NIOはこのような事故を受けて、パンフレットなどの「自動運転」という文言を「補助運転」に修正をしている。

なぜ、このような事故が起きるのかについては原因はまだ解明されていない。しかし、大方の見方は、もし路上に自動運転車しか走っていないのであれば、事故はほぼゼロになるが、人間と自動運転が混在する状況では事故は避けられないというものだ。人間は、交通ルール通りには走らない。自動運転技術の最大の敵は、私たち人間かもしれない。

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▲NIOが2021年1月に起こした事故。前方車両が速度を落としたことを認識できずに、高速で追突をしてしまった。自動運転の判断ミスだと疑われている。