三一集団の北京工場に、ファーウェイの協力で、ARシステムが導入された。作業員は、ARグラスに表示される指示に音声で応答をしながら作業を進める。音声で応答することにより、指差し呼称と同じ効果があり、作業の安全性を高めることができると中国工程機械工業協会が報じた。
工作機器製造工場にARシステムを導入
三一集団の北京市にあるパイルドライバー製造工場にARが導入された。三一集団の北京工場は、北京市昌平区にあり、敷地面積は4万平米で、世界最大の杭打ち機(パイルドライバー)の製造工場だ。中国電信、華為(ファーウェイ)の協力で、5G、AIによる機能が使われたスマート工場で、先端テクノロジー×製造業の実験場ともなっている。
ARグラスで指示、音声で応答
その工場にARが導入された。使われたのは、倉庫から部品を選び、製造ラインまで搬送する2つの業務。作業員は、現実の風景が見え、情報がオーバーラップ表示されるARグラスをかけ、操作は音声で行う。必要な部品を選ぶ指示が出て、作業員が声で了解の旨を告げると、その部品が収められている場所と種類の情報がARグラスに表示される。指示に従って、部品を取り、部品を取ったことを声で告げると、次の指示が出る。搬送に関しても、同様にARグラスに表示される指示に従って作業を行い、音声で応答をしながら作業を進める。
音声での応答が作業の安全性を高める
このARシステムを開発したのは、三一重工知能研究総院から生まれた子会社「盛景智能科技」。
問題は、工場という騒音が大きな場所での音声認識率だった。大きな騒音の中でも音声識別をする機械学習を進め、現在、90デシベルの騒音下での音声命令認識率は92%程度となっている。
まだまだじゅうぶんな認識率とは言えないが、音声命令は必須だという。なぜなら、ARグラスと音声命令にすることにより、作業員は両手が空く。これは作業がしやすくなるということもあるが、作業員の安全に大きく寄与する。
また、音声命令は、作業現場の安全対策の基本である「指さし呼称」も兼ねることができる。ARは、作業効率も改善するが、作業の安全度に大きく寄与をしている。
次の開発目標は画像解析
また、ミスが減らせることも大きなメリットだ。現在、部品選択は100%、配送は60%ほどがARグラスを使って行われているが、配送ミスは以前から60%以上も減少をした。
三一集団は、さらに画像解析などのAIテクノロジーを導入していき、倉庫の作業のすべてがARグラスを使って行えるように開発を進めている。また、この技術は、三一集団の各部署に転用され、ソリューションの形にまとめられ外販も進められている。