中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

2020年、10大テクノロジー応用。非接触、無人化をAI、5Gで実現(下)

南方都市報商業データは、2020年の10大テクノロジーの応用をまとめた。2020年は新型コロナの感染拡大が大きなできごとであり、それに関連する無接触無人化に関係し、人工知能、5Gに関するテクノロジー応用が選ばれている。

 

6:無人配送(京東)

昨2020年2月5日、京東(ジンドン)は、新型コロナが感染拡大をする武漢市で、新型コロナ対応病院である武漢第九病院に対して、配送拠点から物資を無人カートを使った配送を始めた。

京東では、無人カードだけではなく、物流のプロセスすべてで無人化を進めている。2020年6月には、アジアで初となる無人配送センター「京東物流北斗新倉」を天津市で稼働させた。すべての荷物はコード読み取りされ、人工知能が仕分けをする。これにより、中国華北地区の配送時間は2時間から3時間程度短縮された。

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▲京東の無人配送カート。以前から一部で実戦投入されていてが、2020年に武漢市の病院への物資配送で使われて、全国的に有名になった。

 

7:生鮮食品トレーサビリティシステム(市場監督管理総局など)

2020年12月、市場監督管理総局は、輸入生鮮食品の低温物流のトレーサビリティシステムを稼働した。現在稼働しているのは9省のみだが、これで低温物流の90%はカバーできるという。輸入した段階で、コードが印刷されたシールが貼られ、以後、すべての流通でコード読み取りが行われ、どのような経路で消費者の元に届いたかをスマートフォンから確認できるようになった。

同時に、テンセントクラウド、アリクラウドも、生鮮食料品のトレーサビリティシステムを稼働させている。トレーサビリティシステムが次々と導入されるのには、新型コロナの感染拡大で、食品に対する安全性にも注目が集まっているからだ。

 

8:リモートワーク(アリババなど)

新型コロナの感染拡大で、リモートワークが一気に進んだ。チャット、ファイル共有、リモート会議などの機能があるアリババのリモートワークツール「釘釘」(ディンディン)は、1000万社以上で採用され、2億人のビジネスマンに利用されるようになった。

この他に、飛書(バイトダンス)、WeLink(ファーウェイ)、大象(美団)などのリモートワークツールも人気で、合計すると、2020年の春節後には、1800万社、4億人がリモートワークを行なった。

終息後は出勤に戻っている企業も多いが、リモートワークと出勤の併用をしているところが多く、中国は一気にリモートワーク社会に移行をした。今後も、デスクワークはリモートワーク化、ブルーカラーワークは無人化と遠隔監視が進んでいくことになる。

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▲アリババのリモートワークツール「釘釘」。音声、チャット、データ共有だけでなく、自宅ワークでも、スマホ顔認証による出退勤管理も可能。管理者は、さまざまな出退勤情報などを一覧して管理することができる。

 

9:自動運転ロボタクシー(百度など)

百度の自動運転プラットフォーム「アポロ」に基づいたロボタクシーが量産段階に入った。すでに、百度長沙市、滄州市、北京市で、全面開放の試験営業を始めている。市民であれば、百度地図アプリから誰でも無料でロボタクシーを利用できる。すでに累計21万人がロボタクシーを利用した。

これに刺激をされて、文遠知行(WeRide)、滴滴出行、高徳などもロボタクシーの試験営業を始めている。これらのロボタクシーは、安全監視員が同乗し、万が一の場合には人が運転に介入することになっているが、AutoXは、深圳市で完全無人のロボタクシーの試験走行を始めている。ディープラーニング専用チップを搭載したことで、自動運転の性能が飛躍的に高まったとしている。

百度は、今後3年で、乗客を乗せた試験営業を30都市に拡大する予定で、問題が発生しなければ、順次、正式営業に移行をしてく計画だ。

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長沙市などで、乗客を乗せた試験営業を始めている百度のロボタクシー。現在3都市で試験営業が行われているが、今年は営業する都市を拡大していくことになる。

 

10:バーチャルスタッフ(捜狗、新華社など)

捜狗(ソウゴウ)と新華社は、AIアナウンサー「新小微」(シンシャオウエイ)を開発した。CGのスタジオに登場するバーチャルアナウンサーで、ニュース原稿を入力すると、自然な合成音声で読み上げ、文脈を理解し、アナウンサーらしい表情も見せる。

また、百度と浦発銀行は共同で、AI銀行員「小浦」(シャオプー)を開発した。ロボット型の案内スタッフで、銀行を訪れた人と会話をし、用件を聞き出し、適切な案内をする。このようなロボット型の受付スタッフは、病院などの公的機関でも導入が始まっている。

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▲捜狗と新華社が共同開発したAIアナウンサー「新小微」。ニュース原稿を入力すると、文脈に合わせて表情をつくり、合成音声でニュースを読み上げてくれる。

 

https://www.bilibili.com/video/BV15Z4y147GZ

浦発銀行のAI銀行員「小浦」と来店客の会話。おしゃべりを楽しんでいるが、本来は来店理由を尋ねて、適切な窓口の案内をするのが仕事。

 

 

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