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好きな場所で乗降できて、裏道もOKのロボタクシー「AutoX」。杭州市で試験営業を開始

百度のロボタクシーはすでに北京市などで営業運行を始めているが、それに続くのがAutoXだ。AutoXでは、どこでも乗降できて、裏道にも入ることができ、タクシーと同様のドアツードアサービスを提供することを目指していると量子位が報じた。

 

AutoXが杭州市でロボタクシーの試験運行を開始

北京市長沙市などで営業運行に入った百度バイドゥ)のロボタクシー。地域、ルートは限定され、乗降は指定されたステーション(タクシー駅)に限られるが、無人で運転をするロボタクシーが営業運転に入っている。

一方、もうひとつロボタクシーに挑戦をしているのが「安途」(AutoX)だ。AutoXは深圳、上海、広州、北京、シリコンバレーで試験営業を始めているが、昨年2023年9月に杭州市でも100台分の営業免許を取得し、杭州市で試験運行を始めた。


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▲中新網による試乗取材。乗客が好きな場所で乗降ができる本格的なタクシーサービスを目指している。

 

どこでも乗降ができる無限停車が可能に

AutoXの無人ロボタクシーが百度よりも優れている点は2つある。

ひとつは道路を選ばないことだ。運行範囲は、杭州市の上城区、余杭区、浜江区などの中心地と整備をされた新開発地域に限られているものの、整備されたルートだけでなく、いわゆる裏道にも対応をしている。

また、もうひとつは百度とは異なり、どこでも乗降ができる仕組みになっている。無限停車と呼ばれるもので、これで一般のタクシーと同じように利用することができるようになる。

百度のロボタクシーは乗降ポイントが定められており、乗降ポイント間の移動しかできない。新たに開発されたビジネス地域などでは実用的だが、普通のタクシーのように家からドアツードアでというわけにはいかない。しかし、AutoXでは、家から目的地までタクシーに乗ることができる。

▲AutoXのロボタクシー。裏道にも対応、好きな場所で乗降できるようにし、タクシーと変わらないサービスを提供することを目指している。

 

完全無人エリアをどれだけ広げられるかの挑戦

ただし、無人ロボタクシーで無限停車が可能になるのは、試験運行を経た後のことになる。現在は、運転監視員が乗車をし、裏道や停車などでロボタクシーから介入を求められたら手動で運転、停車を行う。

現在AutoXの試験営業エリアはグローバル全体で2000平方キロになっているが、そのうち完全無人運転は350平方キロに限定されている。試験営業を経て、この無人運転エリアをいかに広げられるかがAutoXの挑戦となる。

▲現在は、安全監視員が運転席に乗務しているが、原則としてハンドルやペダルには触れない無人運転になっている。

 

杭州アジア大会ではシャトルサービスを提供

2023年9月に杭州市で開催された杭州アジア大会では、AutoXは蕭山空港から市内中心部までと、高鉄駅から市内中心部までの、シャトル型のロボタクシーサービスを提供した。

空港シャトルは、全長46kmで、高速道路走行、料金所通過、ラウンドアバウト通過、可変車線認識などを問題なく対応をした。

杭州アジア大会では、市の中心部と空港、高鉄駅をロボタクシーで結ぶシャトルサービスを提供した。

 

空港までのシャトルサービスも試験営業

今年2024年1月からは、市中心の市民センターから蕭山空港までの試験営業を再開した。市内は時速45km、高速は80kmという低速で走行をする。また、運転は完全無人運転だが、運転席には安全監視員が乗車をし、接客と万が一の時の緊急対応をする。

2023年は、百度やAutoXの無人ロボタクシーの話題が大きく報道され、SNSでも情報が広く拡散したが、2024年になって沈静化をしている。それは話題として価値がなくなったということではなく、さまざまな都市で試験営業、試験営業が行われるようになり、無人ロボタクシーに乗車した経験がある人も増え、そろそろ「日常」になろうとしているからだ。