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日系コンビニで変わっていく中国人の食習慣

南京市近郊に大型物流基地がオープンしたため、南京市がにわかにコンビニ出店の激戦区になっている。台風の目となっているのは、ローソンやセブンイレブンの日系コンビニだ。日系コンビニは、イートインコーナーを設け、中国人の食習慣をも変えていっていると龍虎網が報じた。

 

温かいものを大人数で食べる中国人

多くの中国人は食に貪欲で、かつ保守的だ。まず、冷えたものは基本的に口にしない。中国人にとって、冷えた料理は残り物であり、冷えた料理を出されるとバカにされたとすら感じる。サンドイッチやおにぎりがコンビニを通じて食べられ始めているが、これはあくまでも間食。こういったもので夕飯を済ますというのは、とてもみじめなことに感じる。

また、一人でレストランや食堂に行くということも基本的にない。ファストフードであっても、一人で食事をしている人は少ない。一人で食べるのはとても寂しいことで、家族や友人と楽しく食卓を囲むのが理想だ。忙しくて時間がないときは、会社のデスクでカップ麺を食べてしまうか、自宅で簡単な料理を作って食べてしまう。

 

個食習慣を広めている日系コンビニ

しかし、日系コンビニが進出をしてから、この食習慣が変わってきている。特に大きかったのがおでん(関東煮)だ。当初は、すべてのおでんダネが1つずつ串にさされ、買って、そのまま街を歩きながら食べるスナックとして受け入れられた。

次に、日系コンビニが持ち込んだのがイートインコーナーだ。コンビニの中にカウンター席などを用意し、購入した食品をその場で食べることができる。このイートインコーナーができたことで、複数のおでんダネを買って、食事をする人が現れ始めた。しかも、一人でコンビニに行き、食事をすませてしまう習慣が、若者を中心に広まっていっている。

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▲南京市に進出を始めたローソン。イートインコーナーで、中国人の食習慣を変えつつある。個食をする中国人が増え始めている。

 

コンビニ空白地帯だった南京市

中国チェーンストア協会によると、中国の都市部のコンビニ店舗数は人口3000人に1店が平均だという。江蘇省省都であり、人口800万人の南京市の場合、3000店舗のコンビニがあってもおかしくないが、現在はまだ1000店舗程度でしかない。南京市周辺には大規模な物流拠点がなく、配送が難しいことから、大手、特に日系コンビニが進出をしてなかったからだ。しかし、今年3月に、南京市と蘇州市の中間にある江陰市に大規模物流拠点がオープンすることから、ローソン、セブンイレブンなどが相次いで進出を表明して、南京市はにわかにコンビニ激戦区になってきた。

南京市を制したコンビニチェーンが、今後内陸部の2級都市、3級都市でも有利になることから、それぞれのチェーンがそれぞれの戦略で激しい競争が始まろうとしている。

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▲永輝生活のスーパー。輸入食品を大量に並べている。このスーパーの在庫を、同系列のコンビニ店舗に融通している。高級コンビニとして人気だったが、今後は戦略転換を迫られるかもしれない。

 

国内系コンビニもイートインコーナーで対抗

南京市は今まで蘇果チェーン(好的)が最も多く、これを永輝生活、蘇寧小店が追いかけていた。いずれも国内資本のコンビニチェーンだ。しかし、昨年8月末に、日系のローソンが南京市に進出をしてから、大人気となり、ほぼ毎日、1日の売り上げ記録を更新し続けている。さらに、今年前半にはセブンイレブンも進出することを表明していて、南京市のコンビニ地図が大きく塗り変わる可能性が出てきている。

蘇果が運営するコンビニ「好的」は、最もコンビニらしいコンビニだ。飲料、食料品を中心に日用品が販売されている。特徴としては、輸入食料、高級食材なども陳列されていることだ。南京市はカルフールなどの外資系スーパーも少なく、ミニスーパーとして好的が利用されている。

しかし、日系コンビニの進出が明らかになると、好的も対抗策としてイートインコーナーを設置し始めた。龍虎網は好的のイートインコーナーで、おでんと熱い飲み物を飲んでいた若者に取材をした。「レストランやカフェのような感じなので、よく夕食をここで食べます。席がもう少し多いといいんですけどね」。

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▲国内系コンビニの好的。ごく一般的なコンビニだが、永輝生活に対抗するため輸入菓子なども並べている。ローソンに対抗して、イートインコーナーも併設するようになった。

 

台風の目となっているローソンのイートインコーナー

南京市民にとって、ローソン丹鳳街店は画期的なコンビニだった。10席のイートインコーナーが用意されているだけでなく、南京市民が今まで食べたことのないスナックが売られている。特に、カスタードクリームまん、紅糖饅(甘みの強いパン菓子)、肉串などが人気で、サンドイッチ、サラダ、プリンなども並べられている。また、弁当類も豊富で、日本と同じように電子レンジで温めてくれる。このような食品を買って、イートインコーナーで食事をする人が増えている。龍虎網は食事をしていた中年女性に取材をした。「ローソンの食品は私の口に合うのです。昼は食堂にいかず、ここで食事をしてしまうことが多いですね」。

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▲朝食は通勤途中で、このような露店で食べるのが一般的。短時間で個食することが多いので、コンビニのイートインコーナーに適している。コンビニは、この朝食市場を取り込もうとしている。

 

朝食市場を奪い合うコンビニチェーン

現在、国内系の蘇果は、南京市に500店舗、蘇果の別ブランドである好的は300店舗を営業している。ローソンは現在南京市に10店舗のみだが、今年120店舗の回転計画を進めており、同時にフランチャイズの募集も始める。3年以内に300店舗に増やす予定だ。

蘇果、ローソンともにさらに売り上げを伸ばすために注目をしているのが朝食だ。中国人は朝食を家でとらず、通勤途中の食堂で、豆漿と油条(揚げパン)のようなものや麺を食べていくのが一般的だ。コンビニは、この朝食市場を取り込もうとしている。朝食は短時間で食べて会社にいく人が多いので、回転率がいい。ローソンの中国責任者の張晟董事は、生鮮食料品とイートインを売り上げの40%にすることが目標だと述べている。

中国人の間で、「食事はコンビニで」という新しい習慣が定着しつつある。

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