日系コンビニの中で低迷をしていたファミリーマートが新戦略を打ち出した。1日5食をキーワードに、既存顧客のリピート率をあげる戦略だ。また、会員制度によるサブスクかも実施し、コンビニの新しい運営手法として、成功するかどうかが注目されていると零售商業財経が報じた。
低迷していた中国ファミリーマートの巻き返し
中国には、日本のコンビニ「ローソン」「セブンイレブン」「ファミリーマート」が進出をしている。この中で目立った活躍をしているのがローソンで、若者世代とコミットすることで店舗数を伸ばしている。また、セブンイレブンは質の高い店舗をじっくりと拡大していく戦略でじわじわと店舗数を拡大している。
この中で精彩を欠いているのがファミリーマートだった。日本と現地提携先の頂新集団と利益配分をめぐって訴訟となり、その影響で中国での展開が停滞をしていた。店舗数も減少傾向にある。
しかし、上海市に第5世代の店舗「法華鎮路店」を出店し、巻き返しが始まった。
「1日5食」を顧客とのタッチポイントにする
新しいファミリーマートの戦略は、店舗を拡大して面でカバーするのではなく、既存店舗の深掘りをして深さに成長を求めるというものだ。これが、現在の中国の経済状況にマッチする戦略として注目されている。
そのキーワードは「1日5食」だ。朝7時からは朝食、昼11時からは昼食、午後2時からは午後茶、午後5時からは夕食、午後9時からは夜食と、近隣顧客に1日5食を提供するというものだ。中国ファミリーマートの童偉国副総裁によると、この1日5食をファミリーマートと顧客をつなぐタッチポイントにして、消費を拡大していく戦略だという。
このために以前から進めていた「熱気小灶」(アツアツの点心)、「ハニーベーカリー」「湃客コーヒー」「EMO深夜食堂」などを全面的にアップグレードした。
イートインコーナーを本格拡充
また、イートインコーナーを本格拡大し、以前の「お店の片隅で食べる」感覚をなくし、カフェに似た環境でゆっくりと食事が取れるようにした。さらに、レンタルのモバイルバッテリー、コピーサービスなどを充実させ、若者世代をターゲットにしていることを明確にした。
サブスク化も始める
もうひとつ大きな変化が、有料のプレミアム会員制度を始めたことだ。年間128元の会費で、すべての商品が88%(12%引き)で購入することができるようになる。年間1066元以上使うのであればお得になる。一月90元弱なので、週に数回ファミリーマートを利用する人には得になる。
1日5食で店舗に行く回数を増やし、会員制度で消費を広げてもらう。消費者の囲い込みをしようとしており、これはECで得意客を獲得して、LTV(生涯価値)を最大化する私域流量(プライベートトラフィック)の考え方と同じだ。オフライン小売では、サムズクラブ、フーマX、コストコなどの会員制ホールセールクラブが成功をしている。コンビニような小売でも、この戦略が効果があるのかどうかという点で、多くの関係者から注目をされている。