中国チェーンストア経営協会(CCFA)の「2022中国コンビニTOP100」によると、昨年と比べて、美宜佳とローソンの店舗数が増え、易捷とファミリーマートの店舗数が減少をした。これにより、中国の店舗数No.1のコンビニは易捷から美宜佳へと入れ替わったと界面新聞が報じた。
ガススタ系コンビニを抜いた美宜佳
中国のコンビニの店舗数トップが入れ替わった。昨年までは中国石化の「易捷」(イージエ、EasyJoy)がトップだった。ガソリンスタンドに併設される売店から始まって、ガソリンだけのビジネスに不安を感じた中国石化がコンビニ化を推し進めた。車で行けるコンビニとして、マイカー族には好まれている。崑崙好客も中国石油のガソリンスタンドコンビニになる。
その中で健闘をしていた「美宜佳」(メイイージャー)が店舗数を伸ばし、易捷を抜き、店舗数トップに躍り出た。
緩いフランチャイズ制度が成長の鍵
美宜佳は1990年、スーパーマーケットとしてスタートしたが、カルフールやウォルマートなどの外資系スーパーに押され、日本や香港のコンビニビジネスを研究してコンビニに業態転換をした。それ以来、順調に成長をしている。
美宜佳の成長の鍵は、緩いフランチャイズ制度と最先端サービスへの対応だ。美宜佳はその店舗の多くがフランチャイズであり、商品を本部から仕入れるのであれば、価格設定にも大幅な自由度が与えられている。しかも、独自仕入れをした商品を販売をしてもかまわない。そのため、地方では近所の農家から仕入れた農産物を販売しているケースもある。
フランチャイズ本部が店舗を厳しく管理をするのは、商品の品質を保つためだ。飲食チェーンなどでは、本部以外から食材を仕入れたりすれば品質が落ちてしまったり、場合によっては賞味期限切れ食材を使用するなどの事故が起こりかねない。しかし、コンビニの場合は保存性の高い商品を中心に販売をするだけなので、厳しく管理をしなくても品質は保つことができる。唯一の欠点は、店舗によって販売されている商品が異なるということだが、美宜佳は地方都市を中心とした地域密着系のコンビニであるため、多くの人が特定の店舗を使う。そのため、都市型コンビニと異なり、店舗により品揃えが異なることが欠点にならない。
このようなフランチャイズ店舗には、雑貨店、食料品店などからの転換参入組も多い。緩い店舗管理であれば、以前のビジネスを残すことも可能となり、加盟へのハードルが下がる。これにより、店舗数を急増させることができた。
最先端サービスを地方に提供
また、緩いだけでなく、最先端でもある。2007年には、EC「淘宝網」(タオバオ)に店舗を出店し、2010年には独自のEC店舗「美宜佳生活館」をスタートさせた。ECで注文ができ、近くの店舗で受け取れるという仕組みだ。当時は、オンライン決済手段も普及をしていないため、店舗受け取りで現金決済もできた。コンビニ商品だけでなく、家電製品や衣類なども扱い、地方の市民にとってはオンライン決済手段がなくてもECが利用できるとして好評になった。
さらに、2017年にはデリバリーにも対応をした。店舗にオンライン注文をすると、30分ほどで配達してくれるというものだ。
美宜佳は競争の厳しい大都市での競争を避け、地方都市展開をすることで店舗数を伸ばしてきたが、地方に最先端サービスを提供することで、地方を勝ち抜いてきた。これが店舗数No.1の成果につながった。
日系コンビニはローソンが成長中
一方、日系コンビニとしてはローソンが店舗数を伸ばしている。ローソンの戦略は独特で、地域ごとにパートナーを見つけ、提携をすることで地域コンビニチェーンをローソンに衣替えしていくというものだ。この、新店舗を出店していくのではなく、地域コンビニをローソンに衣替えする戦略で店舗数を拡大している。
ファミリーマートも独特の戦略をとっている。ファミリーマートは新しい地域に進出をする時、まずは直営店を開設する。そこで物流網などを整備し、同じ地域に加盟店募集を行い店舗を拡大していく。これは慎重な方法で、確実性は高いが、問題は店舗展開に時間がかかることだ。さらに、利益配分をめぐって中国側と日本のファミリーマートで軋轢があり、店舗の成長が止まっている。
コロナ禍の間、コンビニは近所で日用品が確保できる商店として重宝された。そのコロナが明け、各社がそれぞれの戦略で店舗展開を始め、ランキングにも動きが見られるようになっている。