「蜜雪氷城」は、2023年6月に日本に出店し、2028年までに1000店舗の計画を発表した。しかし、3年経った現在、4店舗展開に留まっている。日本市場に対する研究と対策が不足していたのではないかと蘭台が報じた。
1000店舗計画も実際は4店舗
中国の激安ドリンクスタンド「蜜雪氷城」(ミーシュエビンチャン)が、日本に上陸して3年。その成果は出ていないようだ。進出当時、2028年までに1000店舗という目標を表明したが、現在は4店舗にとどまっている。
それだけではない。中国茶ドリンクでは高級に分類される「奈雪之茶」(ナイシュエ)、「喜茶」(シーチャー)は、それぞれ2020年、2025年に日本に進出したが、いずれも撤退している。
なぜ、中国や東南アジアでは定着しているドリンクチェーンが日本では苦戦するのだろうか。

中国の食への不安が大きい
最大の理由は、中国食品に対する不信感だ。日本では中国国内での食品汚染のニュースも細かく報じられる。それが日本に輸出されている食品ではなくても、「中国の食品は怖い」というイメージが強化され続けている。そのため、中国ブランドであるというだけでかなりの人が避けてしまう。
もうひとつは、カフェやドリンクスタンドは、日本では飲料を販売しているのではなく、ソーシャル通貨を販売している。友人と一緒に飲みに行く、そこで飲んでいることがSNSに投稿できる、そういうことが重要になっているため、欧米のブランドには人が集まるが、中国やアジアのブランドにはソーシャル通貨としての価値がないと考え、無関心になってしまう。
最大の武器である「安さ」が無効化された
中国のブランドを日本に広めるには、このような不利な点を乗り越える必要がある。
蜜雪の場合、中国では想像を上回る安さで一気に拡大した。ソフトクリームは2元、レモネードは4元(約95円)という安さで、中学生や高校生でも気軽に利用ができる。もし、この価格をそのまま日本で実現できれば、自動販売機の飲料よりも安く、一定の顧客を獲得することができたかもしれない。
しかし、ソフトクリームは180円(約7.5元)、レモネードは280円(約12元)と4倍近い価格になってしまっている。一方で、マクドナルドはソフトクリームに相当する「ソフトツイスト」を140円から販売している。
店舗賃料、人件費、物流費用、関税などがあり、中国と同じ価格を実現するのは難しいにしても、国内ライバルにも価格で負けている。蜜雪の最大の切り札である安さが打ち消されてしまった。
カップサイズの不適合という盲点
このような事情は蜜雪にとって不利な条件となるが、それ以上に、日本市場の研究が足りなかったかもしれない。なぜなら、カップが大きすぎるのだ。420ml、505ml、660mlの3つのサイズを用意しているが、多くのドリンクではSサイズがなく、505mlが標準となる。
中国ではたくさん入っていて安いのは「お得」だと歓迎されるが、日本人は必ずしもそうではない。それどころか、飲み干すことが難しく手に余ってしまうのだ。
中国人も505mlを一気に飲み干すことはできない。そのため、手に持って歩きながら飲む。これがSNSでのソーシャル通貨にもなり、蜜雪にとっては広告になるという、いい循環が生まれている。
ところが、中国は街中の至るところにゴミ箱が用意され、飲み干したカップを捨てることができるが、日本は世界でも珍しい公共のゴミ箱が徹底的に排除されている国だ。ドリンクを手に持って歩くと、後でゴミとなったカップの始末に困ってしまうことになる。
このため、日本では、カップサイズを小さくして、簡易的でかまわないので座る場所を用意する必要がある。
蜜雪は、この文化の違いをまったく考慮せずに日本に上陸してしまった。

台湾ブランドは日本をよく研究している
一方、台湾ブランドの中国茶ドリンクスタンドは定着をしている。最も広がっているのは「貢茶」(ゴンチャ)で、220店舗を展開している。6割は座席のあるカフェ型で、4割は座席が少ない/ないスタンド店だが、駅ビルやモールなどの店舗が多く、座るスペースは豊富に用意されている。そこで飲んで、カップは店舗に返しに行くということが可能だ。Coco都可、鹿角巷、Koiなどは、スタンド店でも可能な立地を厳選し、少数店舗で小さく運営している。
さらに、貢茶は290mlのカップを用意し、日本人の習慣に適合しようとしている。
東南アジアに通用した中国式が日本では通用しない
東南アジアは、中国と文化的な共通点が多く、中国での成功体験を再現することで成功することが可能だが、日本は共通点もあるが異なる部分も大きい。中国式そのままでは成功することは難しい。
現状の蜜雪は、そのほとんどが日本在住の中国人に利用されている状況だ。しかし、その日本在住の中国人も制度的な理由から減り始めている。蜜雪は、本腰を入れて日本に適応するか、撤退するかの選択を迫られている。
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