中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国の地図アプリ「高徳地図」に台湾政府が警告。一方で、利用する台湾市民が急増中のワケ

中国のアリババ傘下の地図アプリ「高徳地図」が台湾で、にわかに人気となった。4月23日にはiOSとAndroidのアップストアでダウンロード数が1位になるほどだった。この人気に火をつけたのは台湾政府だったと中国経済網が報じた。

 

信号の待ち時間が表示される高徳地図

「高徳地図」(ガオダー、AMap)には先進的な機能が数々搭載されている。その中でも好評なのが、交通信号のカウントダウン機能だ。走っているルートの信号がいつ青に変わるのかカウントダウンをしてくれる。さらに緑の波機能もあり、指示される速度で走行すると、信号に引っかからないようになる。

▲高徳地図では、左上に推奨速度が表示され、それに従うと信号に引っかからずに走行することができる。

 

APIからデータを取得、移動データから推測

この交通信号の明滅サイクルを知る方法は2通りある。ひとつは、中国の都市部の交通信号はほぼネットワーク化されているため、APIから交通信号データを取得している。1線都市から2線都市までは、90%の交通信号がネットワーク化され、データが公開されている。

一方、地方都市の信号などでは、高徳地図利用者の移動データから信号の明滅サイクルを推定する。

大都市では交通状況に応じて明滅時間が弾力的に変化する信号があるため、直接データを取得し、地方都市では明滅時間が固定されている信号が多いことから、利用者の移動データが推定する。

このような方法で、ほぼ100%の交通信号の明滅サイクルを把握している。

▲台湾のテレビ局TVBSのニュース番組「少康戦情室」では、高徳地図のことを紹介し、Googleマップとの比較試験を行った。

 

中国以外でも信号の待ち時間が表示される

後者の推定する方法は、交通信号がネットワーク化されていない他国でも利用可能だ。高徳地図は中国版とグローバル版があり、この交通信号のカウントダウン機能は国内版のみだが、グローバル版にも順次搭載されていっている。ただし、他国の交通信号ネットワークにはアクセスできないため、移動データからの推定となるため、100%正確にはならない。

この機能が台湾地区でも開放された。

▲この番組でも、信号の待ち時間がわかる機能を取り上げている。

▲高徳地図(左)はGoogleマップ(右)よりも見やすく、使いやすい。

 

問題視をする台湾政府

この機能を、台湾政府のデジタル開発部門が問題視した。そして、調査を行い、国家安全局は「起動中に音声や映像データを収集し、中国内のサーバーに送信している」などの問題を指摘、さらに数位発展部は「信号のカウントダウン機能などを通じて、利用者の日常的な行動が長期にわたって監視されている」とし、政府機関での利用を禁止する措置を取った。また、台湾軍も使用を禁止した。

アプリが、収集したサーバーを運営国のサーバーに送信する、利用者の行動データを取得するというのはあたりまえのことであり、どのアプリでもやっていることだが、台湾政府にとっては、その送信先が中国であるということに悩ましさがある。そのため、公的機関では使用禁止にするものの、民間での利用は制限しないという措置にとどまった。

▲高徳地図は車線も認識される。中国の測位衛星システム「北斗」の信号を利用しているからだ。ここも台湾政府は問題視している。

 

台湾政府の対応が宣伝になってしまった

台湾市民はこの話を聞いて、「信号のカウントダウンをしてくれるそんな便利なアプリがあるのか」と、初めて高徳地図のことを知った人も多い。

台湾ではバイクが庶民の足となっており、青信号になるとバイクレースのように一斉に進み出す。高架道路から降りてくる様子は「バイクの滝」とも呼ばれている。

このようなバイク利用者にとって、信号カウントダウン機能は何よりもありがたい機能だ。

 

使いやすいことから高徳地図を使う人が増加中

台湾には地元企業が開発した「導航PAPAGO!」というナビアプリがあるが、バージョンアップがされず、他のナビアプリに比べて見づらいなどの不満が高まっていた。その結果、多くの人がAppleマップやGoogleマップをナビ代わりに使っている状態だった。

そこに、台湾政府が問題視したことで、高徳地図のことが知られ、多くの人が使うようになるという皮肉なことになっている。

▲台湾の名物とも言われるバイクの滝。バイクが庶民の主力の移動手段になっており、スマートフォンの地図アプリのナビゲーションを使っている人が多い。

 

バックナンバーポッドキャスト放送中!

apple.co

 

ビデオ版バックナンバーも放送中!

www.youtube.com