中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国のブランド品生産工場がトランプ関税に反撃。原価を暴露し、直接注文してくれれば安く買えるとTikTokでアピール

TikTokで米中の関税戦争が始まっている。著名ブランドの中国生産工場が納入価格を暴露し、直接注文してくれれば、関税がかかっても、米国価格の1/5程度で購入できることをアピールしているのだ。中国生産工場の生死をかけた戦いが始まっていると跨境愛T哥が報じた。

 

トランプ関税で、米国向け輸出企業は死亡確定

トランプ関税により、中国の経済は大きな打撃を受けることはないと中国政府は主張しているが、米国向け輸出に頼っている中国企業はそうはいかない。最高145%もの関税がかけられ、米国での販売価格は2.45倍になる。当然、販売数は大きく落ちこむことになり業績が悪化をする。

さらに、苦境に立たされているのが、ブランド品の生産工場だ。ブランド側は関税分の値上がりを少しでも吸収しようとして、生産工場に納入価格の値下げを迫っている。同時に、生産拠点を中国以外に移転をしようとしている。

中国の生産工場は、値下げをされて、仕事も減ることになり、先行きは真っ暗だ。

 

TikTokで工場の納入価格を暴露

そこで、このような生産工場が反撃に出ている。TikTokで生産コストの暴露を始めたのだ。

ある革製品の生産工場は、ラベルのついていないバッグを手にコストを説明する。「イタリアから輸入したカーフスキンは1mあたり80ユーロ、金具は深圳のサプライヤーから、縫製工賃は1つあたり2.5ユーロ…」。

手に持っているのは、誰の目にもグッチのバッグと同じものだとわかる。そして、この広東省東莞市の工場は、自社の企業名と連絡先まで公開し、「このグッチのバッグの原価はわずか4%にすぎない」と暴露している。

そして、バッグが欲しい人は直接私たちに注文をしてくださいと売り込みをしている。工場出荷額がほんとうに米国価格の4%にすぎないのだとしたら、輸入してトランプ関税がかかっても、米国価格の1/10程度で購入できることになる。

▲東莞のある工場は、38000ドル(約540万円)もする高級バッグの工場納入価格が、わずか1395ドル(約20万円)であることを暴露した。

 

TikTokで起きている米中トランプ関税戦争

このようなTikTokのショートムービーは続々と増えており、TikTok貿易戦争と呼ばれている。

もちろん、このような投稿主が、ラグジュアリーブランドの正規サプライヤーなのかどうかは不明なところがある。しかし、以前から正規サプライヤーとして名前があがっていたような大規模な生産企業もある。状況に便乗した業者がまがいモノを販売している例も含まれている可能性はあるが、かなりの部分が正規サプライヤーの反撃によるものだと思われる。

投稿主たちは、タオバオなどで注文をするか、あるいはWeChatやWhatsAppのメッセージで注文を入れてほしいとして、アカウントなどを公開している。個人利用の輸入であれば、関税も軽減されたり免税されたりする可能性もあるという。

▲中国のブランド品生産工場が、続々と工場納入価格や原価コストを明らかにし、米国販売価格の1/10以下であることを暴露している。連絡先を表示し、直接注文してくれれば同じ商品が、関税がかかっても、米国販売価格の1/5程度で購入できることを訴えている。

 

生き延びるための反撃

もちろん、各ブランドにしてみれば迷惑な話で、販売価格が納入価格の10倍にもなるのも、ブランド構築のためのさまざまな費用がかかるからだ。また、一定水準の価格にすることで、ブランドイメージが維持できるという面もある。高くても買ってくれる人がいるのであれば、その価格で販売をし、質の高いサービスを提供したいと考えるのがラグジュアリーブランドの考え方だ。

中国の生産工場は、このようなことをすれば、ブランドからの委託契約は打ち切られることになる。しかし、ブランドとしても、すぐに代理の生産工場を見つけることは簡単ではなく、ましてや中国以外の国に探すとなると職人を育てるところから始めなければならなくなる。

生産工場では、契約は打ち切られても、原材料はそろえることができ、生産をすることができる。それをブランド同型品として販売をすれば工場が生き延びることができる。もちろん、それは知的財産権の侵害であり、ブランドから訴訟を起こされることになるが、判決が確定するまでは生き延びることができる。

トランプ関税で、中国で生産をするラグジュアリーブランドも頭を抱えているが、中国の生産工場では死活問題になっている。ブランドの反感を買ってでも、生き延びる道を見つけなければならないのだ。

米国と中国は、TikTokという場所で、すでに戦争状態になっている。