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違法な接客ビジネスはビッグデータで摘発。決済データ解析で炙りだし

公安とスマホ決済各社が提携をして、決済パターンから違法なビジネスをあぶり出し、摘発をするということが進んでいる。特に性的サービスを提供する店舗は、決済パターンに大きな特徴があり、すぐに捜査対象になると弘揚講体育が報じた。

 

公安とスマホ決済各社の連携で違法接客捜査に貢献

公安(警察)とスマホ決済各社の連携が始まっている。違法行為をスマホ決済のビッグデータから炙り出そうというものだ。公安が直接、決済履歴データを閲覧することは許されていないが、公安の網警(ワンジン、サイバー警察)部門が、スマホ決済各社に対してデータの抽出を依頼することができるようになった。スマホ決済各社は、その指示に従って、データの抽出を行い、匿名化をした上で網警に提出をする。

公安ではデータの分析を行い、違法行為の可能性が高いと見ると、正式な捜査を始め、スマホ決済各社に個人情報の開示請求をする。これにより内定調査などと併せて、捜査を行い、逮捕を行う。

 

違法接客サービスは決済の傾向が大きく違う

このビッグデータ捜査で、最も摘発が捗っているのが、性的サービスを提供する違法事業だ。なぜならこのようなサービスでは、スマホ決済履歴にわかりやすい特徴があるからだ。

▲摘発される違法サービス。普通の商店とは決済パターンが大きく異なるため、すぐに捜査対象になってしまうようになった。

 

1:深夜に決済が活発になる

夜10時から朝4時までの深夜帯、普通の決済はきわめて少なくなる。しかし、このような違法サービスはこの時間帯が利用が最も活発になるため、深夜帯に活発な決済が行われる店舗、個人は関係者である可能性が高い。

公安では、深夜帯に集中して決済している人物、店舗を抽出し、内偵捜査などの情報と併せて、容疑者を絞り込んでいく。

 

2:特定の金額の決済が多い

なぜか、このようなサービスでは、398元と598元(約1.2万円)という取引が多い。昔からの習慣なのだと思われる。一般的な店舗、店主の決済履歴では、さまざまな金額の受け取りが行われるのが一般的だ。しかし、この2つの価格ばかりの決済が続く場合は、違法なサービスの可能性がある。

 

3:一定の決済パターンが見られる

398元や598元の料金は、そのサービスの老板(ラオバン、経営者)や女性管理者に支払われるのが一般的だ。老板は、翌朝などに、サービスに従事する女性に一定割合の報酬を送金する。これにより、サービスに従事している女性も特定できる。この女性は、深夜帯に小さな金額を特定の人物から数度にわたって送金を受けるという決済パターンを示す。いわゆるオプション料金やチップを顧客から受け取っているのだと思われる。

 

決済データの提供で大幅に進んだ摘発

このようなスマホ決済各社の協力により、違法な性的サービスの提供事業者の摘発がかつてないほどはかどっている。深夜帯に決済が盛んになる人物のリストを作成し、次にその人物が定期的に送金をしている人物をリストアップする。その人物が深夜帯に小さな金額の送金をたびたび受けていれば、まず間違いなく摘発対象だと考えることができる。ここまでの捜査は、パターン抽出なので個人情報を伏せた匿名情報で可能だ。

確度が高いとなると、個人情報の開示を求め、現地での内偵捜査を始める。現在、網警がどのようにしてデータ分析をしているかは公表されていないが、スマホ決済各社から提供されたデータを人力で分析しているとは考えづらく、何らかのパターンマッチングを自動化していると思われる。当然、機械学習によるパターン判別を行っているか、開発を進めている公安もあるはずだ。そうなると、定期的にスマホ決済の履歴データの提供を受け、パターンがマッチするとアラートが出て摘発という自動化も進むことになる。

▲中国人には全員に身分証が発行されている。この身分証のスマホ化が始まっている。スマホ決済など重要なサービスのほとんどは、身分証を使った本人確認をしないと利用できる機能が限定されるようになっている。

 

デジタル人民元で、脱税、犯罪もほぼ捕捉可能になる

政府が進めるデジタル通貨「デジタル人民元」も、試用地区が大都市を中心とした20都市を突破した。この試用都市では、普通の決済ツールとして利用することができる。NFCによる非接触決済が基本だが、暫定措置として、ウォレットがQRコードにも対応し、決済端末が未導入の店舗でも利用が可能になっているため、利用も広がっている。デジタル人民元が正式運用になれば、違法行為や脱税の摘発にも大きな貢献をすることになると見られている。