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変わる農業。今の農機具は、スマホ、無人田植機、ドローン。

春の農作業が始まっているが、その様子は伝統的な農業とは違うものになっている。すき、くわ、耕運機という農業から、スマートフォン無人田植機、ドローンが使われる農業が始まっていると新華社が報じた。

 

現代の農機具はスマホ、自動運転、ドローン

春が来て、農作業が始まった。江西省南昌県蒋巷鎮の大田現代農業基地でも数台の耕運機が農作業をしている。ありふれた風景だ。

しかし、耕運機にはセンサーとカメラが搭載されている。田んぼの横に立つ南昌県蒋巷瑞田農業専業合作社の技術総監は、スマートフォンを手にもち、アプリを操作している。「このアプリによって、耕運機がどの深さまで耕しているのか、耕した場所はどこなのか、重複して同じ場所を耕していないかなどがすぐにわかります。データに基づいて農作業が進められるのです」。

伝統的な農具と言えば、すき、くわ、耕運機。しかし、現代の農具は、スマホ無人田植機、ドローンになっている。

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▲大田現代農業基地での農作業の様子。従来の耕運機にセンサーが取り付けられ、耕した状態のデータがスマホで可視化される。効率よく作業ができ、なおかつ耕し方が足りない場所を生まずにすむ。

 

ドローンレンタルビジネスも

江西省上饒市余干県鳥泥鎮銅鼓包村で農機具の販売をする李蘭さんは、2年前に多くの農家がドローンで農薬散布をしていることを知った。しかし、多くの農家がドローンを所有しているわけではなく、李蘭さんのところで農薬を購入した後、農薬散布用のドローンを所有している農家を探して、ドローンを借りなければならなかった。

そこで、李蘭さんは農薬散布用のドローンを7万元(約105万円)で購入し、農家に貸し出すビジネスを始めた。農薬が売れ、貸出し料が取れ、農家はドローンを探す手間が省ける。李蘭さんの商売も上向きになった。李蘭さんは言う。「今は、農薬や農具を販売するだけでは商売は成り立ちません。サービスを提供することが重要になっています」。

江西省中軽知能設備は、江西省鷹潭市政府に100台の農薬散布用ドローンを納入した。同社の桂永斌会長は言う。「弊社は2016年から農薬散布用ドローンの生産を始めています。最初の1年は300台ほどしか売れませんでしたが、この2年は市場が活発になり、今年は1000台以上が販売できる見込みです」。

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▲ドローンによる農薬散布はもはや当たり前のことになってきた。ドローンのレンタルビジネスも始まっている。

 

長靴の農民から革靴の農民へ

江西省井岡山糧油集団の馮小慶副総経理は、昨年の農機具展示会で、無人田植機を見て、すぐに導入をした。田んぼの横に立ち、リモコンで田植えをする場所などを設定すると、無尽田植機がその通りに動いて、苗を植えてくれる。

馮小慶副総経理は言う。「この無人田植機はナビゲーション技術が使われていて、田んぼの形状から田植えをするルートを設定すると、すべての田植え作業を無人で行うことができます。1時間で4ムー(0.27ヘクタール)の田植えが可能です」。

この無人田植機は、手作業では厳しい仕事になる田植え作業を自動化することができ、人件費コストも下げられることから、馮小慶副総経理は追加で数台を購入することを考えている。

春の農作業の風景は大きく変わっている。長靴ではなく、革靴を履いて農作業をすることが可能になる日も遠くない。

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▲農作業の多くのプロセスがデータ化され、可視化される。この後、作付けには自動運転の無人田植機が使われる。