中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平

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明日、vol. 022が発行になります。

 

中国のスマホメーカー「OPPO」(オッポ)は、日本法人があり、さまざまなルートでスマートフォンを発売しています。しかし、中国のメーカーであることや、耳慣れないブランドであることから、なんとなく手を出しづらい人も多いのではないでしょうか。一昔前の「中国製品は安かろう、悪かろう」のイメージのまま、「価格は手頃だけど、性能や品質が心配」と考えている人もいらっしゃると思います。
しかし、その感覚は少し遅れているかもしれません。Canalysの調査による2019年の世界でのスマートフォン出荷台数を見ると、1位はサムスン、2位がファーウェイ、3位がアップル。ここまでは多くの人の想像通りです。しかし、第4位は小米(シャオミ)、第5位はOPPOとなります。OPPOはもはや世界市場で認知されているスマホブランドになっているのです。

 

と言っても「世界市場といっても、大半は中国向けの販売なのではないか」とおっしゃる方もいるかと思います。OPPOの世界市場のでの出荷台数は1億2020万台。中国での出荷台数は6570万台です。つまり、45%は海外市場で売れているのです。すでに欧米、日本、東南アジア、インドなどで販売されています。
中国市場では、ファーウェイの1位は揺るがないものの、第2位以降はOPPOvivo(ビーボ)、小米、アップルと続きます。日本で人気のアップルは、中国市場ではもはや第5位、市場シェアは7.5%にすぎません(ただし、この統計は2019年の出荷台数であり、中国ではiPhoneの旧機種、中古機種が人気です。なので、保有率の統計をとると、iPhoneが30%から40%程度になり、人気ブランドであることは変わりありません。iPhoneは旧機種でもじゅうぶん使える性能であるために現行機種の売れ行きが落ちるという皮肉なことになっています)。

 

OPPOvivoは日本では格安スマホに分類されることが多いことから、「安かろう、悪かろう」と見られることも多いかと思います。しかし、実際は違います。中国では「トガったテクノロジーを投入してくる」ブランドとして認知されています。確かに、アップルやファーウェイのように、成熟した製造技術、使いやすさを考えたデザインという点ではまだまだ追いつけていない部分もあるので、初心者にお勧めしづらい点があるのは事実です。でも、ある程度のリテラシーがある上級者であれば、OPPO、vvio、シャオミといったブランドのスマホは、トライしてみる価値があります。

例えば、OPPOのFind 7では、実質5000万画素で撮影できるカメラが搭載されています。カメラ自身は1700万画素なのですが、シャッターを押すと自動的に10枚の写真が撮影され、これを人工知能で合成して5000万画素の写真を生成します。
さらにOPPOでは、「5分の充電で2時間通話ができる」超急速充電技術を開発しています。
vivoも画面内指紋認証を搭載、小米は世界に先駆けてベゼルレス(フチなし)を実現するなど、中国のスマホメーカーは攻めに攻めてきました。「世界初」と呼ばれるスマホテクノロジーは大体OPPOvivo、小米という中国の中堅メーカーが初め、それをファーウェイやアップルがより洗練された形で追従するという構造になっています。
日本では、いまだに「iPhoneに○○という新テクノロジーが搭載」と大きな話題になりますが、同様のものは数年前にこのような中国メーカーがすでに搭載していることも多くなってきました。


逆に言えば、このような中国メーカーは、ブランド力が強くないので、常にトガったテクノロジーを搭載していかないと、生き残っていけません。事実、この2年ほどは、どのメーカーも5G対応以外のトガったテクノロジーに欠けるところがありました。すると2019年の中国市場シェアは、OPPOvivo、小米、アップルとも20%前後落とし、ファーウェの一人勝ち状態になっています。文字通り、厳しいサバイバル戦を戦っています。

 

中国のスマホメーカーは、この他にもたくさんあります。あまりに数が多すぎて混乱されている方も多いでしょう。そこで、ここで整理をしておきます。分類の方法はいろいろあると思いますが、ここでは4つの系統に分類してみます。
1)ファーウェイ系:ファーウェイとそのサブブランドである栄耀(honor、オーナー)があります。
2)歩歩高系:OPPOvivoに加え、一加(OnePlus)があります。「歩歩高」については、後ほど解説します。
3)小米系:小米の他に紅米(Redmi)のサブブランドがあります。
4)外資系:中国市場での外資系ブランドはアップルのみになりました。サムスンはほとんど売れていません。

 

ここで登場した「歩歩高」(ブーブーガオ)という社名と、その創業者である段永平(ドアン・ヨンピン)の名前をご存知の方は少ないと思います。しかし、段永平はアリババのジャック・マーとほぼ同世代の起業家で、しかも、非常にユニークな成長手法をとってきた人です。多くの中国人経営者が、自分の利益を重要視し独占しようとするのに対し、段永平は利益の多くを人に分かち与えてしまいます。やる気のある人、成果を出す人には可能な限りの利益と環境を与えることに腐心をし、多くの成功者を育ててきた中国テック業界のメンター的存在です。


OPPOvivoもこのような段永平の支援の元に生まれてきたメーカーです。では、なぜ、そのような素晴らしい人物が今ひとつ有名ではないのでしょうか。それは段永平は40歳の時に早々と経営者を引退して、現在はゴルフと投資三昧の日々を送っているからです。段永平にとって、事業で成功することは目的ではなく、あくまでも楽しい日々を送るための手段にすぎないのです。
今回は、この段永平という人物と、その後に続くいわゆる歩歩高系の企業をご紹介します。その来歴を知れば、「OPPOが安かろう悪かろうの格安中国スマホ」というイメージが違っていることがわかってくるはずです。


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