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電磁カタパルトを採用した中国最新鋭空母「福建」。電磁力で軍用機を射出する

中央電子台で昨2025年12月24日に放送された「焦点訪談」シリーズの「空母・福建に潜入」で、最新の電磁カタパルトが紹介され、中国の防衛力を大いに高める最新技術だと話題になっていると兵器肖寧が報じた。

 

電磁カタパルトを備える中国空母「福建」

中国は3隻の空母を保有している。16号艦の「遼寧」は、ウクライナから未完成艦を購入し完成させたもの。17号艦の「山東」は、遼寧の設計を基にした初の国産空母。そして、18号艦の「福建」が設計段階から中国オリジナルの最新鋭空母になる。

中央電子台で、昨2025年12月24日に放送された「焦点訪談」の中で、この福建の詳しい紹介がされた。その中で、多くの人が驚いたのが電磁カタパルトだった。

▲中央電子台の番組「空母・福建に潜入」では、電磁カタパルトに関する詳しい紹介がされた。

▲電磁カタパルトは、このフックを電磁力で動かし、軍用機を射出する。

 

空母の先はジャンプ台のように反っている

空母は船の上から軍用機が飛び立ち、任務を終えたら着陸をするというものだが、滑走路が短いために、離着陸には補助機構が必要になる。

最も単純なのは遼寧や山東のように、滑走路の先頭をスキーのジャンプ台のようにそらすというものだ。これで射出方向が上方に向かうため、軍用機が飛び立つことができる。

しかし、欠点もある。それは情報収集を任務とする早期警戒機のような重い軍用機は自走する能力が高くないため、この方式では離陸することが難しくなる。

▲従来の空母は先端がスキージャンプ台のように反っている。これにより、軍用機を離陸させるというものだった。

 

カタパルトは蒸気式から電磁式へ

そこで、カタパルトを使うことが考えられる。高速移動するフックを甲板上に設置し、これで軍用機をパチンコや弓矢のように射出をするというものだ。

このカタパルトの動力は、従来は蒸気圧だった。それが現在は、電磁カタパルトが採用されるようになっている。米国の空母「ジェラルド・R・フォード」が採用し、続けて中国の空母「福建」が採用した。

▲従来の蒸気式カタパルトの内部構造。大掛かりであり、数々の欠点を抱えていた。

▲電磁カタパルトの内部構造。エネルギー効率がいいため、連続射出でも空母の航速を落とす必要がない。

 

細かく制御できる電磁カタパルト

電磁カタパルトの最大のメリットは、カタパルトの移動速度を精密に制御できることだ。これにより、加速度の変動を最小限に抑えることができ、パイロットの肉体への負担を減らすことができる。

また、射出プロセスをコンピューター制御できるため、射出する軍用機のタイプ、積載重量、離陸条件などに合わせて細かく設定することが可能になる。

従来の蒸気式カタパルトは、蒸気の力を放出するだけなので、パイロットに高い対応能力が要求されたが、電磁カタパルトでは安定して射出することができるようになる。

▲電磁カタパルトの仕組み。フックで軍用機を弓矢のように射出する。

 

軽い機体、重い機体も射出可能に

また、蒸気カタパルトは力任せの射出機構であるため、射出重量が20トンから35トンに制限されている。あまり軽い軍用機を射出すると、力が大きすぎて機体を損傷してしまう可能性がある。一方、重い軍用機では推力不足のために射出することができない。電磁カタパルトはこのような課題も解決してくれる。

 

蒸気式の欠点を解消する電磁式

蒸気カタパルトはエネルギーを大量消費することも問題になる。蒸気カタパルトのエネルギー変換効率は6%と低く、空母の出力の2割程度を消費する。このため、軍用機を連続して射出する場合は、空母の航速を下げなければならない。敵機にこの瞬間を狙われたら、空母単体では防御することができず、空母の大きな弱点を生んでしまうことになる。

さらに、蒸気式では連続射出をすると、蒸気圧を高めるプロセスが間に合わなくなるため、射出を中断しなければならない。

電磁カタパルトは、このような蒸気カタパルトの問題をほぼすべて解決してくれる。エネルギー効率は60%以上であり、45秒で必要な電力を充填することができ、連続射出を行っても30ノット以上の安定した航速を保つことができる。

さらに、蒸気カタパルトに比べ、機構が単純となるため、故障率は圧倒的に小さくなる。

 

電磁式カタパルトはアインシュタインでないと動かせない

米国トランプ大統領は、ジェラルド・R・フォードに搭載された電磁カタパルトを何度も非難してきた。開発の遅れ、予算の増加などを経て、導入後も故障を繰り返してきたからだ。「デジタルはダメだ。蒸気なら100年使われてきた実績があるし、壊れてもどこが悪いかすぐわかる。デジタルは壊れたらどうしようもない。アインシュタインでないと動かせない」と非難をした。そして、蒸気カタパルトに戻す大統領令に署名をすると公言した。

結局、軍関係者の反対や、もし蒸気カタパルトに戻すのであれば、数兆円規模の追加コストがかかり、開発も数年単位で伸びることからあきらめたが、もし、蒸気カタパルトに戻すことが実行されたとしたら、軍備力の点で中国に大きな水を開けられることになる危険性があった。

中国は4隻目の空母の建造を進めている。報道では原子力推進を採用するのではないかと見られている。当然、電磁カタパルトが採用される。

 

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