ラブブの世界的にヒットにより、ポップマートの業績が絶好調だ。2024年の売上高は前年の2倍以上になっている。その一方で、大株主だった蜂巧資本が株を売却してポップマートとの関係を清算したことが話題になっている。ここにポップマートのビジネスの難しさがあると大象新聞が報じた。
ラブブの世界的ヒットでポップマートの業績も絶好調
「泡泡瑪特」(Popmart)が、キャラクター「Labubu」(ラブブ)の世界的なヒットにより、2024年の業績が大幅に成長をした。売上高は130.4億元となり、前年比106.9%増、純利益は34億元で185.9%増というものだった。
株価も順調に上がり続け、前年から比べると165%以上増、つまり2.5倍以上になっている。


投資家がエグジットする理由
ところがその一方で、初期から投資をしている大株主が株を売却してイグジットしたことが話題になっている。
創業時から投資をしている蜂巧資本(Borchid Capital)は、保有しているポップマート株1191万株をすべて売却して、22.64億香港ドル(約420億円)を得て、ポップマートとの関係を清算した。Borchid Capitalは、ポップマートが未上場の2020年に1株17-20香港ドル相当で出資をし、最終的に187-193香港ドルで売却をしたことになる。わずか5年で9倍以上に資金を膨らませたことになる。
この事実が伝わると、あがり続けていたポップマート株も頭打ちとなり、わずかに下落をする局面も現れた。多くの人が、今後のポップマートの成長に疑問を持ち始めたということになる。

成長の不安と闘ってきたポップマート
ポップマートは、創業前からこのような「将来の成長」「安定成長」問題に悩まされ続けている。
ポップマートは2018年にキャラクター「Molly」が人気となり、一気に知られるようになった。しかし、投資資金が集まらず苦労をしている。投資家は3つの点を問題にした。
ひとつは、当時はオンライン販売に勢いがあり、ポップマートのように店舗を展開してオフライン販売を主体にするという手法だと、スケールが難しいというもの。しかし、ポップマートは、自分の目でフィギュアを見てもらい、魅力を感じてもらうことが何よりも重要だと考えていたため、店舗販売を中心にすることはやめられなかった。
もうひとつは、キャラクター人気による水もの商売だということだ。2018年にはMolly、2024年にはLabubuという大ヒットキャラクターが誕生したため、業績はうなぎのぼりだが、結局は人気キャラクターが登場するかどうかにかかっている。これはねらってヒットさせることはきわめて難しい。実際、MollyとLabubuの間もさまざまなキャラクターを開発し、それなりの人気は得たものの、過熱するほどの人気になるものは少なく、業績は低迷した。

ブラインドボックスという手法に批判の目
そして、盲盒(マンフー、ブラインドボックス)という販売手法だ。特定のキャラクターのさまざまなデザインのものが同じ箱に入っていて、開けてみるまでどれが出てくるかわからない。購入する時に、ワクワク感、ドキドキ感を感じてもらうためだが、レアなポーズのものも用意されているため、それが欲しくて多重買いを誘発する仕組みになっている。また、レアキャラに関しては、フリマサービスで常識外の高値で取引されることがあり、これも社会問題として批判の目が向けられている。
ポップマートとしては、不確実性による期待感を盛り上げ、それをキャラクターに対する愛情に転換をしていくことを考えているが、世間から見れば、悪徳商法に見えなくもない。特にキャラクターのターゲット年齢が下がって、中学生などが買うようになって、批判の声が強まっている。

ポップマートはこれからも厳しい道を進む
創業者の王寧CEOは、それでも自分の信念を曲げなかった。店舗販売、ブラインドボックス、大人玩具にこだわり、ひたすらキャラクター開発能力を高めていった。それがLabubuのヒットに結びついたが、株主から見ると、次の人気キャラクターがいつ登場するかわからない、今が売り時になってしまう。
ポップマートは非常に難しいビジネスを手掛け、ここまで成長してきた。投資家からは「安定成長への戦略」を求められているが、ポップマートのビジネスに安定はないかもしれない。キャラクター開発能力をさらに高め、ヒットを出し続ける以外に道はないと見られている。
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