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働き始めたロボット犬。介護施設や下町で仕事を見つけたロボット犬たち

ロボットが日常生活の中に入り始めている。できることはまだ限界があるものの、町内で饅頭を配ったり、介護施設でお薬を届ける仕事を担うようになっていると北京新聞広播が報じた。

 

ロボット犬の価格は20万円。個人でも買える

ロボットの量産が始まり、街中でロボットを見かけることも珍しくなくなってきた。しかし、その多くがデモンストレーションや人を集めるためのもので、ロボットが実用的に使われているという状況はまだ少ない。

程さん(仮名)は、離れて暮らす母のためにロボット犬を贈ろうと考えた。以前、転んで骨折して以来、歩くのがつらく、買い物に行くにも不自由をしているからだ。そこで、ロボット犬がお使いをしてくれれば助かるし、寂しさも紛らわせるのではないかと考えたのだ。

調べてみると、宇樹科技(Unitree、https://www.unitree.com/)のロボット犬「Go2」は9997元(約20万円)からになっている。決して小さな額ではないが、個人で払えない額ではない。

 

市場へのお使いはまだ難しいロボット犬

しかし、Unitreeに問い合わせをしてみて、程さんは失望した。スタッフは、ロボット犬が野菜を買いに行くことはまだ難しいというのだ。ある程度、自動で障害物を認識して避けて歩くことはできるが、あくまでも目視できる範囲での歩行であり、市場まで買い物に行かせるためには、スマートフォンで操作する人がつきそうことが必要になるという。

年老いた母にそのような操作ができるとは思えないし、操作するスタッフを雇うのであれば、その人に買い物にいってもらう方が合理的だ。

程さんは落胆をしたが、この考えを捨てていない。いずれ、自分で遠方まで一人で歩いていけるロボット犬も登場してくるだろうと考えている。

▲饅頭を配るロボット犬。移動ルートはあらかじめ設定され、自動で巡回をするようになっている。

 

ロボット犬が各家庭に饅頭を配る

杭州市上城区小営巷社区(町内会)では、「笨笨」(ベンベン)という愛称をつけられたロボット犬が、饅頭を配る仕事を担当している。4人の全人代代表(議員)がお金を出し合って、Go2を1台、社区に寄付をしてくれたのだ。

この社区では60歳以上の高齢者が総人口の1/4を占める。社区では毎日ボランティアが饅頭をつくり、高齢者家庭に配っている。この配布をする仕事を笨笨に任せようということになった。

あらかじめ巡回するルートを設定し、アクションカメラを取りつけた。操作する人はアクションカメラで監視ができ、万が一の場合はリモートで操作することができる。さらに、配布するボランティアも同行をして、饅頭を配っている。高齢者は驚き、ボランティアとの話も弾み、交流が深まっている。

▲町内で饅頭を届けるロボット犬。人がリモート操作をすることもできる。

 

介護施設でお薬を届けるロボット犬

杭州市西湖区古蕩街道の金秋介護施設でも、ロボット犬を導入し、「小西」(シャオシー)という愛称をつけ、薬を配っている。介護施設の中は、バリアフリー構造になっており、段差などもないように設計されているので、ロボット犬が移動をするのに適している。

時間になると、部屋やリビング、庭など、それぞれの場所にいる入居者を見つけて、操作スタッフがリモートで声をかけ、背中に乗せた薬を受け取ってもらう。小西も人気者となり、入居者の中には小西と一緒に散歩を楽しむ人も出てきている。

ロボット犬が、日常の生活の中に入ってこようとしている。

介護施設でお薬の時間に薬を届ける仕事をするロボット犬。人がリモート操作をしているが、お年寄りたちからは好評だ。