湖南省株州国際サーキットで、人間vsAIの自動車レースが開催された。結果は人間2分16秒、AI2分33秒と17秒差で人間の勝利に終わった。しかし、AIによる自動運転はレースという特殊な状況でも人間と戦えるほどに進化をしていると紅網時刻が報じた。
人間vs自動運転のレースZenith 1
2024年10月20日、湖南省株州国際サーキットで、ユニークなレース「Zenith 1」(ゼニス1)が開催された。このレースに出場したのは、2人と1台。
一人は世界ツーリングカー選手権(WTCC)世界チャンピオンのロバート・ハフ。もう一人は、公式認定された初の中国人女性ドライバー、麻艦心の2人。そして、もう1台が、高盛撃動体育文化発展が開発したレース用自動運転システム「天猿」だ。つまり、人間対AIのレースが行われたのだ。チェスのディープブルー、囲碁のAlphaGoに続く、人間と機械の三度目の頂上対決になる。
天猿はこのコースを3分14秒で走ったことがあり、さらに改良が進んでいることから、人間に勝てるのではないかと期待された。


今回は人間の勝利
レースは10周の予定だったが、天猿は残念なことに6周目にトラブルが発生し、リタイヤとなった。結果は、天猿が2分33秒で走行したが、麻艦心はそれを上回る2分16秒で走行をしたため、人間の勝利となった。マシントラブルのため、残念なことにロバート・ハフとの対決は実現しなかった。
麻艦心が驚いたのは、この天猿の開発プロジェクトは2024年8月から始まっているということだ。つまり、わずか3ヶ月しか経っていない。麻艦心は紅網時刻の取材に応えた。「大きな衝撃を受けました。天猿はわずか数ヶ月でこのレベルに到達をしましたが、私はここまでくるのに5年以上かかっている」。

AIがハンドルやペダルを操作する
この天猿は、他の自動運転システムとは大きく異なっている。一般的な自動運転システムは、バイワイヤ方式で、AIが生成した信号をエンジンやステアリングシステムなどに伝え、車を制御する。そのため、自動運転のみであるなら、ハンドルやペダルは不要となる。
しかし、天猿は運転席にアクチュエーターを取り付け、ハンドルやペダルを実際に動かして操作をする。これはレースという環境で、特殊なテクニックが要求されるからだ。例えば、レーサーは、アクセルとブレーキを同時に踏むなどということをするが、バイワイヤ方式でこのようなテクニックを再現することはかえって難しくなる。また、レースによって車種やレギュレーションが異なるため、どのような車にでも取り付けられるようにする必要もある。
レースでは、AIを使っているとは言え、アナログな自動運転システムが使われている。今後、このZenithレースは定期的に開催をされ、参加する人間のレーサー、自動運転システムも拡大していく予定だ。AIが人間をいつ上回るのかが注目されている。


