大ヒットゲームとなった「原神」のMAUが2022年9月に初めての減少に転じた。ライバルゲームも登場し、さすがに寿命がきたのではないかとも言われている。しかし、miHoYoはすでに新作の公開準備を進めているとDataEye遊戯観察が報じた。
原神、2年目で初めてのMAU減少
米哈游(miHoYo)の大ヒットゲーム「原神」がさすがに息切れをしてきた。昨2022年9月、初めて月間アクティブユーザー数(MAU)が減少をした。2022年9月のMAUは6301万人。これは8月から28.7万の減少となった。
といっても、流出率はMAUのわずか0.45%でしかなく、それだけで原神の人気がピークアウトをしたとは言えないものの、2020年9月に全世界同時リリースされてちょうど2周年にあたる2022年9月に初めてのMAU減少を示すというのは象徴的なできごとでもある。
その後、追加マップなどの効果もあり、MAUは増加に転じたが、2022年12月には再び10.0万人の減少を記録している。いよいよ頭打ち感が出てきたが、それよりも2年の間、高いレベルで成長をし続けてきたことの方が驚異とも言える。
海外で収益をあげられる中国ゲーム「原神」
2022年の世界でのモバイルゲームの収入ランキングは、騰訊(テンセント)の「王者栄耀」(Honor of Kings)が2.22億ドル(約291億円)となりトップとなった。その次が、韓国のPUBGをテンセントがモバイルゲーム化した「PUBG Moibe」、3位が「原神」となった。
原神は王者栄耀の70%程度の収入だが、大きな違いは王者栄耀は中国国内からの収入がほとんどで海外収入の割合は5%程度でしかなく、原神の場合は57%が海外からの収入になる。「世界に広がった中国ゲーム」という点では、中国ではこれほど成功したゲームはなかったし、今後も原神の記録を塗り替えることは容易ではない。
原神の2つの金属疲労
しかし、さすがの原神もそろそろ金属疲労が起きているかもしれない。2つのことが、ユーザー体験を悪化させるようになっている。
ひとつはゲームそのものがどんどん重くなってきていることだ。ゲーム内のアクションの操作などは軽快なままで、miHoYoの技術力の高さを感じさせるが、iOS版ではゲームサイズが3.8ギガに達している。初めてプレイする人はこの大きさのアプリをダウンロードしなければならない。さらに、起動しようとすると、追加ダウンロードが始まり、ゲームを始めるまでに10分以上はかかってしまう。
ユーザーの感情はダウンロードボタンを押してダウンロードを始めた時に最高潮に達している。そのまますぐゲームの世界に入るというのが理想的だが、原神では冷静になる時間をわざわざつくってしまっている。この間に離脱をしてしまう人が一定数いると思われる。
もうひとつは、さすがに追加マップ、追加シナリオが飽きられ始めていることだ。原神は原則40日に1回、大型のアップデートが行われ、新しいマップとシナリオが追加をされる。このタイミングが、ユーザーのタイミングと次第に合わなくなってきている。
長く遊んでいるユーザーにとっては、原神のスキルレベルもあがり、新しいマップが追加されても2週間ほどで遊びつくしてしまう。あとの3週間ほどは、次の追加マップを待っているしかない。
一方、最近始めたばかりのユーザーにとっては、既存のマップをある程度クリアしないと、新しいマップを遊ぶことはできないため、マップの追加が行われてもただ指を咥えているしかない。
ライバルや新作も登場。次の時代が始まる
さらに、気になるのが「幻塔」(Tower of Fantsy)の存在だ。北京市の完美世界傘下のHotta Studioが開発をしたゲームで、2021年12月に中国でサービスが始まり、2022年10月からSteam版での配信が始まっている。原神に非常に類似をしたオープンワールドアクションRPGで、ちょうど原神の2周年の時期にリリースが始まっている。ネットでは「原神のパクリ」との話も出ているが、真偽のほどはともかく、原神のライバルになることは間違いない。
一方、miHoYoは、新作「絶区零」(Zenless Zone Zero)のユーザーテストを初めている。配信日は未定のものの事前登録も始まっている。「原神の2年間」が終わり、モバイルゲームは次の時代へと移ろうとしている。