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オナーは、なぜ1年足らずでロボットマラソンで優勝できたのか。スマホ技術を転用したロボット「閃電」

今年2026年4月19日に開催されたロボットハーフマラソン大会では、スマホメーカーのオナーが開発した閃電が1位から6位までを独占するという快挙を成し遂げた。しかも、開発期間は1年にも満たない。徹底してスマホ技術を転用したからだと全球企業動態が報じた。

 

わずか1年足らずでマラソン大会で優勝

今年2026年4月19日に、北京市亦庄開発区で開催された第2回のロボットハーフマラソン大会では、驚くべきことが3つ起きた。

ひとつは、昨年の第1回大会では完走することが目標だったが、今年はタイムを争うことが目標となった。優勝タイムは「閃電」(Lightning)の50分26秒で、人類の57分20秒を大きく上回るものとなった。

2つ目は、閃電は優勝しただけでなく、1位から6位までを独占したということだ。

3つ目は、この閃電を開発したのはスマートフォンメーカーの栄耀(ロンヤオ、オナー)であり、しかも、オナーがロボット開発部門を設立したのは2025年6月。わずか1年足らずでこれだけの成果をあげたことになる。

オナーはなぜ短時間で高性能のロボットを開発することができたのか。

▲優勝したオナーの閃電。人間の世界記録を上回るタイムを出した。

 

スマホ技術を転用したオナー

オナーは、元は華為(ファーウェイ)のサブブランドだった。それが米国政府のチップ封鎖の影響を避けるために、ファーウェイから分離独立した企業だ。スマホファンにとっては、ロボットフォンなど、エッジの効いた技術を投入してくることで知られている。

なぜ、オナーがわずか1年でロボットを開発できたのか。それはスマホ技術を転用し、スマホサプライヤーの協力を仰いだからだ。ロボット産業でのリーダー企業「宇樹科技」(Unitree)は自社開発にこだわり高性能ロボットを実現したが、オナーは対照的にサプライヤーとのチーム戦で短時間でロボットを開発した。

▲オナーが発売を予定しているロボットフォン。オナーはエッジの効いた技術を投入することで知られている。

 

ゲーミングスマホの放熱技術が使われている

どのようなスマホ技術が転用されたのか。

ひとつは放熱技術だ。UnitreeのH1もロボットマラソン大会に出場したが、走行中に突然制御を失いリタイアしている。社内のリハーサルでは50分台の記録を出していたので優勝候補だった。

原因は明らかにされていないが、放熱に問題があったのではないかと見られている。ロボットの関節にはモーターが埋め込まれたアクチュエーターという部品がある。走行中、ここには大きな負荷がかかり、しかもモーターは熱を帯びる。温度が120度以上になると永久磁石の磁力が低下し、モーターのトルク(回転力)が落ちてしまうのだ。

オナーはゲーミングスマホで培った水冷技術を採用した。オナーが2025年に発売されたゲーミングスマホ「HONOR WIN」では、液冷とファンによる放熱システムが搭載されている。

純水を真空状態の微細管に封じ込める。0.07気圧程度の亜真空状態では、水は40度ほどで沸騰するようになる。この水がアクチュエーターやチップの熱を吸い取り、気化する。水蒸気となった水は、その膨張により音速に近い速度で微細管の中を走り、放熱ゾーンに達し、熱を外に逃すというものだ。

これが、閃電にも搭載された。

▲UnitreeのH1は期待されたがリタイアとなった。関節に発生する熱が原因だと見られる。関節部分に冷却スプレーを噴射するスタッフ。

 

関節には折りたたみスマホの技術が

関節部分には、折りたたみスマホのヒンジ技術が応用された。折りたたみスマホは1日に50回から100回開け閉めされることが想定され、2年で7万回の開け閉めをしても耐えうる設計がされている。これは、家庭用のドアの蝶番の10年で10万回よりもはるかに厳しい基準だ。

オナーは、ここに新開発の「魯班盾構鋼」(ルーバン・シールド鋼)を採用した。トンネル掘削のシールドマシンの刃に使われている鋼材と同類で、耐久性が高い。

バッテリーには、オナーのスマホに使われている青海湖電池が採用された。スマホバッテリーなので円筒形ではなく方形の形になっている。板ガム形状のバッテリーは縦方向からかかる力には非常に強くなる。これをロボットの構造体にも利用することで、ロボットの筐体そのものを軽くすることができた。

 

クラウド演算には衛星通信技術が

ロボットは複雑な演算を行わなければならないが、ロボットの中で演算をさせるのはあまり筋がよくない。なぜなら、ロボットには常に振動があり、このような環境では電子機器は容易に接点不良などの問題を起こすからだ。

そこで、演算はクラウドで行うようにするが、問題は通信機器だ。5G通信は普及しているものの、到達距離が短く、コース全域で通信が保証されるわけではない。そこで、オナーはスマホ用に開発した鴻雁衛星通信チップを搭載した。5G通信が途切れた場合は、低軌道衛星経由で通信を行い、クラウドとの通信を保つためだ。

 

サプライヤーとの共同開発で達成した快挙

このような技術は、スマホサプライヤーとの共同開発で、部品製造もサプライヤーに依頼をしている。オナーが1年足らずで優勝できる水準のロボット開発に成功できたのは、すでに持っている既存のスマホ技術を徹底応用し、その製造をサプライヤーに依頼をしたからだ。

つまり、閃電は走るスマホでもあるのだ。

 

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