アフリカに単身で渡る中国人が増えている。すでにケニアでは3万人の中国人が暮らしているという。その多くは、これから成長するアフリカで起業するチャンスを模索していると呉暁波頻道が報じた。
次の成長地域はアフリカ
アフリカが次の東南アジアになろうとしている。以前からアフリカとの関係が深い中国からは、すでに多くの中国企業の社員が派遣されているが、近年目立つのが単身アフリカに渡り、起業のチャンスを伺う中国人だ。すでにケニアには3万人の中国人が暮らしている。
今年2025年8月までの中国との貿易額は29.57兆元(約620兆円)となり、前年同期比で3.5%の増加となった。アフリカ全体と中国との貿易額はまだ大きくはないとはいうものの25.9%もの増加になっている。米国との貿易が厳しくなり、多くの中国企業が米国から欧州、東南アジアにシフトをしているが、その流れでアフリカに注目する企業が増えている。
アフリカは6%成長が期待されている
アフリカは力強く成長している。アフリカ開発銀行は、東アフリカのGDP成長率を2025年は5.3%、2026年は6.1%と予測している。その中で、エチオピアとルワンダは7%に達し、ケニア、南スーダン、ウガンダ、タンザニアは5%に達し、この6カ国が成長のエンジンとなっている。
成長はするものの農業が主体
エチオピアの経済は農業に依存している。GDPの60%ほどが農業由来だ。特にコーヒーは外貨を稼ぐ商品作物になっている。一方、工業はほとんど未発達であるため、生活消費財から耐久財は輸入に頼らざるを得ず、非常に高い。同じものが、中国での国内価格の3倍から5倍になるのが一般的で、その一方で、平均賃金は月6000円程度であるため、多くの市民が必要なものを買うことができない。ここに大きなビジネスチャンスがあると多くの中国人が考えている。

電気代が非常に安くすでにEVシフトが始まっている
また、水力発電と風力発電があり、電気代は非常に安い。そのため、エチオピア政府は、多くの人が車をまだ持っていないのにEVシフトを進めている。2023年には燃料車の輸入を禁止する法律を施行した。環境のためというよりも、石油が完全輸入であるため、石油を買うための外貨が用意できないからだ。コーヒーを売って稼いだ外貨のほとんどが石油を買うために出ていくことになっている。
自国で生産できる電気エネルギーを使った自動車を普及させようとしている。現在、エチオピアで走っている車はほとんどが中古の日本車だが、中国企業は小型EVの参入余地があるのではないかと見ている。


ナイロビではすでに中国系の不動産仲介が盛んに
ケニアも状況はよく似ている。スーパーのような生鮮食料品店は少なく、多くが個人商店で販売されている。しかし、多くの生鮮食料品が一袋やキログラム単位ではなく、1個ずつ販売されている。冷蔵庫もなく、手元の現金も不足をしているため、多くの人がその日食べる分しか買うことができないのだ。
ところが、その価格は高く、キログラム換算をしてみると、多くの生鮮品が中国の国内価格よりも高くなる。ここにもビジネスチャンスがある。
また、ケニアは歴史的な経緯から、英語が第二公用語となっているため、英語を話せる人が多い。このため、多くの欧米企業がアフリカの拠点としてケニアのナイロビを選んでおり、現地雇用も進み、ナイロビの平均賃金は急速に上昇しつつある。
そのため、すでに中国人の多くが、ナイロビで不動産仲介業を営むようになっている。
ナイロビでは購入よりも賃貸をする人が多く、3ベッドルームがあるような豪華なマンションでも月の賃貸料は6000元(約12.7万円)で借りることができる。中国人不動産仲介業者は、ナイロビのマンションを購入し、駐在員などの中国人に貸し出している。
ケニア全体ではすでに3万人の中国人が暮らし、それに伴って中華料理店などもでき始めている。

アフリカで起業する中国人たち
中国人起業家も増えている。元ファーウェイの楊濤は、ナイロビでECプラットフォーム「Kilimall」を立ち上げた。現在1日に2万件以上の注文があり、損益分岐点を超えることができているという。
元マッキンゼーのある女性は、土地を借り、野菜を栽培して販売するプラットフォームを起業した。元新華社のナイロビ駐在員であった徐暉は、ケニアに腰を落ち着け、電池やトイレットペーパーなどを生産する軽工業工場を開き、さらには不動産業も手掛け、成長の最中にある。
アフリカはまだまだ未成熟で、農業からようやく軽工業が始まった段階だ。それだけにチャンスは大量に転がっており、中国の過去の成功事例を教科書に成功への道を開くことができる。今後も、多くの中国人がアフリカに渡ることになりそうだ。

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