中国でも新人社員がパソコンが使えないということが話題になっている。圧縮ファイルの意味がわからない。書類でレイアウトをする意味がわからない。しかし、なぜ職場ではスマホやタブレットではなくパソコンなのか。間違っているのは自分たちの方なのかと悩む中高年も出てきていると知乎が報じた。
パソコンが使えない新人社員たち
00后=2000年代生まれ、つまり20代が職場に入ってくるようになって、世界中で同じ現象が起きているが、中国でも「新人社員がパソコンを使えない」ということが大きな話題になっている。
Q&A掲示板「知乎」に立った「00后の多くがパソコンの基本が欠如していることをどう考えますか?」というスレッドは700万人が読むほどの人気となった。

圧縮ファイル、ヘッダー、フッター。初めて聞きました
新人社員がまず戸惑うのが圧縮ファイルだ。開いても、何か処理が行われているようだが画面は何も変わらない。Word書類やExcel書類のように中身が表示されない。助けを求められた先輩社員が解凍フォルダを見てみると、無数の解凍されたフォルダができている。
Wordで書類をつくるというのもハードルが高いようだ。ヘッダーとフッターなどという言葉は初めて耳にする。さらに、余白を取ったり、文字の大きさを変えるということの意味がわからない。
画面のスナップショットはスマホで撮影
また、プリンターの傍で首を捻っている新人社員がいる。どうしたのか尋ねてみると、Excelの表を横向きに印刷したいのだが、紙をどうやったら横向きにセットできるのかと尋ねられる。
さらには、パソコンの画面上のウィンドウを、一生懸命指でなぞって動かそうとする。
パソコンの画面がおかしくなったというが、説明がまったく要領を得ないため、スクリーンショットを送ってというと、試行錯誤したのだろう、パソコンの画面をスマートフォンで撮影した写真が送られてくる。
ゲームのインストールすら人に頼む若者たち
このような困難は職場だけではない。社会人になってパソコンを持つようになると、00后が自宅でやりたくなるのはゲームだ。ゲームを楽しむには、ゲームプラットフォーム「Steam」を使うのが常道だが、Steamの使い方が理解できない。そのため、タオバオでは、Steamをリモートでインストールし、さらには使い方まで教えるビジネスが人気となっている。もちろん有料だが、自分で試行錯誤するよりもお金を払って教えてもらった方がコスパとタイパがいいと考える人が一定数いるようだ。

大学の時は誰かに聞けば解決できた
このような問題は、俗に「サイバー文盲」と呼ばれるようになり、笑いごとでは済まなくなり始めている。各企業では、パソコンの使い方の基礎講座を動画にし、新人社員に見させるようにしている。しかし、多くの新人社員がその動画をスマホで視聴しているのだ。
中学や高校の情報科の授業も方針を変えつつある。多くの学校で、利便性と直感的な操作からタブレットを授業で使うことが増えているが、あえてパソコンを用意して、パソコンの使い方の授業をする学校も現れ始めている。
大学でも選択でパソコンの基礎の講義を行っているが、人気はあまりない。大学ではレポートや卒論を書くのにパソコンは必須だが、多くの学生がスマホでレポートを書き、最後に電子メールでパソコンに送ってから提出をしている。使い方がわからないことがあっても、同級生の誰かが知っており、使い方を説明するのが面倒なので、操作までやってくれる。そのため、自分で覚えようとしない。

間違っているのはパソコンで仕事をする中高年の方なのか
つまり、パソコンをまったく使ったことがないわけではないのだが、20世紀の遺物と見ている人が多く、真剣に学ぼうとしない。実際、学生にとってはスマホの方がはるかに便利だからだ。
しかし、職場ではパソコンがメインのデバイスで、そのことに00后たちは面食らっている。ところが、別の見方をする人も増えている。それは「なんで仕事ではパソコンを使うのか」ということだ。確かに画面が広く作業はしやすいが、それならタブレットでもいいのではないか。細かい設定ができるというが、往々にして多くの仕事はデフォルトの設定でことが済んでしまう。まるで、オートマ車や自動運転車がすでにあるのに、わざわざクラッチつきのマニュアル車に乗っているようなものなのだ。
「間違っているのは、ひょっとして私たち中年の方なのではないか」。AIが広く使われるようになり、職場でもスマホで仕事ができるようになる日は近い。パソコンができない若者をバカにする中年は、そのうち、無用の知識を持っている人になってしまうのではないか。そのような議論が行われている。
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