漢字しか登場しないアクションRPG「文字遊戯」が中国、台湾などでヒットゲームになっている。漢字の知識を使ったパズル要素がヒットの要因だ。このゲームを開発したのは台湾の「チーム9」。今後も文字遊戯の新作を発表していくと3DM遊戯網が報じた。
漢字しか登場しないアクションRPG「文字遊戯」
台湾発のゲーム「文字遊戯」(ワードゲーム)が漢字文化圏でじわじわと人気になっている。
このゲームにグラフィックは一切使われていない。使われているのは、漢字キャラクターのみで、コンピューターが生まれた黎明期を彷彿とさせる画面だ。しかし、これでアクションRPGのようなゲームなのだ。「我」という文字が自分のキャラクターで、これを矢印キーで動かして冒険をする。
▲文字遊戯のゲーム実況動画。これを見れば、どんなゲームかがわかる。簡単ではないかもしれないが、日本人でもプレイできそうだ。
漢字ならではアクションパズル要素
人気の理由は漢字を使ったパズル要素だ。例えば、ダンジョンに入ると真っ暗で何も見えない。ただ「灯りは点灯していない」という文字が表示されているだけ。そこでプレイヤーは「我」を移動させて、「不」の文字にぶつける。これで「不」の文字が消え、「灯りは点灯した」の意味になる。すると、灯りが点灯してダンジョンの様子が見えるようになる。また、次の画面に進むには「門」という文字を発見して、ワープをする必要がある。
面白いのは、マップをつくっている漢字と、ナレーションや説明として表示される文字に区別がなく、ナレーションの漢字も道具として利用ができる点だ。
漢字の知識がないと進められないRPG
河が目の前に横たわっている。河という文字が並んで河が表現されている。主人公の「我」はなにか道具がないと河を渡ることができない。しかし、周りを見渡しても「鳥」しかいない。そこで、「我」を「鳥」にぶつけてみると、合体をして「鵝」(ガチョウ)に変身する。これで飛んで、河を渡るというものだ。
漢字圏のみながらSteamでも好調なセールス
この「文字遊戯」を開発したのは台湾の「チーム9」。現在のところ、文字遊戯を2作発表しているだけだが、2021年の台北ゲームショーのベストイノベーション賞の受賞を皮切りに、数々の賞を受賞している。
漢字圏である中国、台湾が主な市場で、海外にはほとんど売れないという不利な状況ながら、Steamでのセールスも好調だという。
ゲームの質はグラフィック表現ではない
この文字遊戯は、コンピューターゲームの盲点になっていたかもしれない。グラフィック表現能力が高くないコンピューターの黎明期に生まれてもおかしくないゲームだった。実際、同様のアイディアのゲームは当時存在していたというが、文字遊戯ほどの謎解き、パズル要素はなかったともいう。
このレトロさも人気の要因のひとつになっている。黎明期にあってもおかしくないゲームが今でも多くの人に遊ばれている。グラフィック表現は精密になり、高精細、VRと進化をしていっている。ということは、今のゲームはいつか、グラフィック表現が古くなり遊ばれなくなる可能性がある。しかし、文字遊戯は、そもそもが古いグラフィック表現なのに楽しまれているのだから、年月が立っても遊ばれる息の長いゲームになる可能性がある。
これは単なる「面白いアイディアのゲーム」ではなく、ゲームのひとつのジャンルが生まれようとしているのかもしれない。実際、文字遊戯のフォロワーゲームが多数生まれている。