世界中に、中国人が運営する日本料理店が増えている。しかも、劣化パクリなどではなく、むしろ現地の人はむしろ中国人が作る和食を好むようになっている。現地の食材を利用し、自由な発想の和食を提供してくれるからだと正解局が報じた。
世界日本料理店の多くが中国人経営
世界各地に広がる日本料理店。提供されるのは和食だが、調理師は中国人で、オーナーも中国人、そんな日本料理店が増えている。
フランスでは中国人がやっている日本料理店が増えているため、「Chiponais」(シポネ)=Chinois+Japonaisという言葉で呼ばれている。
シポネは欧州だけではない。ワシントンポストが、ワシントン周辺の33軒の日本料理店を調査したところ、オーナーは中国系米国人が12軒、韓国系米国人が12軒で、日系米国人または日本人が所有しているのは6軒にすぎなかった。
イタリアで初めてミシュランの星を獲得した日本料理店「IYO Taste Experience」(https://www.iyo-restaurant.com)をオープンしたのは、中国系イタリア人のクローディオ・リュー氏だ。


日本の和食技術認定制度も普及していない
日本の農林水産省はこの現状を問題視し「海外における日本料理の調理技能認定制度」を2016年からスタートさせている。日本人に限らず、一定の技能を持つ人を「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3段階の資格認定をするというものだ。
2025年現在、合計3433名が資格を取得している。しかし、世界に日本料理店で働く調理師は数十万人いると言われており、資格を取得したのはごく一部にすぎない。
最大の理由は、この資格を取得したからといって、資格の知名度がないためにお客がきてくれるとは限らない。多くの来店客がこの資格を気にしていないため、取得する意味がないということだ。個人で取得をしても、それで職探しや待遇が有利になるわけでもない。


外国人の方が自由な発想の和食を創作する
もうひとつは、外国人調理師の方が自由な発想で日本料理をベースにした創作料理をつくり、ジャパニーズフュージョンとして受け入れられている。海外の和食ブームというのは、伝統的な和食よりも、こちらのフュージョンに人気が集まっている。
日本人調理師は素材にこだわるため、食材の多くを日本から輸入する。日本直輸入である方が美味しく、高級であると信じている。しかし、中華料理はもともとその場にある食材をいかに美味しく仕上げるかという技術であるため、海外に行っても地元の食材を工夫して使う。
これにより、地元の人の口に合う料理がつくれ、なおかつコストが抑えられるのだ。すでに、フォアグラ握り寿司や和風小籠包は、欧州の日本料理店での人気メニューとなっている。さらには、お客さんが喜べばなんでもつくるため、麻婆豆腐や宮保鶏丁がメニューにある日本料理屋も増えている。


料理文化は多様化してこそ進化する
これを「日本料理に対する冒涜だ」「日本料理というブランドにただ乗りしている」と批判してみても意味がない。私たち日本人だって、中華料理やイタリア料理を、本場とは似ても似つかないほど改造して、日本人の調理師がつくってお客に提供している。むしろ、その改造ぶりを日本独自の工夫として讃えるほどだ。
多くの日系日本料理店は、伝統的な和食をつくる技術では圧倒的に優れたものがあるが、お客が喜ぶような工夫をする創作という点では、中国系日本料理店に負けている。お客は、日本料理を食べにくるのではなく、料理を食べにくるのだから、中国系日本料理店が選ばれるようになっている。
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