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リピート率40%超!西安発のカフェチェーンが人気の理由は、コミック風デザインと多彩なメニュー

西安発のカフェチェーン「M+CAFE」が北京、上海への出店を始め、リピート率40%超ということが話題になっている。コミック風のインテリアだけでなく、アレンジコーヒー、スイーツのメニューを豊富に提供していることが、高いリピート率につながっていると媒体が報じた。

 

リピート率40%超のコミック風カフェ「M+CAFE」

若い世代から「コミック風カフェ」として人気になっているカフェチェーンがある。西安ですでに10年営業し、人気を高め、北京SKP-S、上海淮海755などのショッピングモールに他都市展開を始めた「M+CAFE」だ。

若者世代からは、美味しいだけでなく楽しいカフェとして人気となり、業界関係者からは「リピート率40%超え」という点が注目されている。

▲M+CAFEの典型的な小型店舗。コーポレートカラーである黄色を強調している。

▲M+CAFEは「美味しくて、楽しい」がコンセプトで、若い世代を中心に歓迎され、40%超という高いリピート率を誇っている。

 

映える店内。美味しくて楽しいカフェ

西安発のカフェ「M+CAFE」は、現在他都市に7店舗を展開している。ショッピングモール中心の展開で、しかも北京SKP-Sなど高級寄りのモールを中心にしている。評判は上々で、多くのグルメ口コミサービスで4.5点前後を獲得し、カフェの人気ランキングでも一気に上位に入ってきている。

その人気の理由のひとつは、黄色のブランドカラーを使っているものの、店舗ごとにデザインを変え、若い世代から「映える店」と認知されたからだ。大胆なコミック風デザインを大幅に取り入れ、「美味しく、楽しい」カフェとして人気になっている。M+CAFEのスローガンは「コーヒーを美味しくする、美味しいを面白いに変える」というものだ。

多くの飲料は30元から40元とカフェとしてはやや高めの価格帯。それでも平均で1日200杯、キャンペーンなどを実施すると500杯以上が売れる。何よりも業界関係者が驚いているのが「リピート率40%超え」という人気ぶりだ。

▲北京SKP-S内の店舗。曲線を利用したインテリアが評判になっている。

 

デザイナーとコラボしたインテリアを設置

M+CAFEは、彩度の高い黄色をブランドカラーとして採用している。これは最も目につきやすい色で、店舗を消費者の視野に入れてもらうためのものだ。また、黄色は人の心を楽しくさせ、記憶にも残りやすいと言われている。

また、店舗のデザインコンセプトは店舗ごとに変えている。例えば、北京SKP-Sの店舗は宇宙ステーションをイメージして、曲線を使ったベンチとテーブルで構成している。

さらに、若者に人気のあるデザイナー「意思」(noFun)とコラボをして、「黄RICH」というIPをつくり、店内にインテリアとして作品を展示している。これが「コミック風カフェ」と呼ばれる由縁になっている。

▲デザイナーのnoFunとコラボをした「黄RICH」シリーズのオブジェが店内に飾られ、関連グッズなどが人気になっている。

 

今までになかったアレンジコーヒーを提供

発祥地が西安であるということも、M+CAFEの個性にしている。西安の地元企業「氷峰」「黄桂稠酒」と提携してオリジナルのコーヒー飲料を提供し、これが大きな特色になっている。氷峰のオレンジソーダアメリカンコーヒーを合わせた飲料、黄桂稠酒の甘酒と合わせた飲料などを出している。特に黄桂稠酒の甘酒を使ったコーヒーは、北京、上海では多くの人が知らない味であったため、非常に評判がいい。

また、季節限定商品として、柿のスイーツと合わせた「柿柿如意」、松露を使ったカフェラテ、バラとチーズを使ったカフェラテなど、さまざまなユニークな飲料を提供している。このようなユニークなメニューを楽しむために、多くの来店客がまたこようと考え、リピート率の向上に貢献している。

▲コーヒーそのものよりも、コーヒーベースのドリンクが人気になっている。オレンジソーダや甘酒とコーヒーを合わせるなど、多様なメニューを提供している。

 

バラエティを豊かにすることがリピート率向上に貢献

M+CAFEは、コーヒーの味を追求するスペシャリティーコーヒーというよりも、コーヒー飲料を楽しむカフェだ。そのため、バラエティーコーヒーを多数提供しているし、非コーヒー飲料も数多く提供している。

また、スイーツも数多く提供し、こちらもユニークなルックスをしているものが多く、「次はあれを食べよう、これを飲んでみよう」という気持ちになることが、リピート率の向上に貢献している。

さらに、会員になると時期によって半額になったり、スイーツは1つ買うと1つ無料にするなどさまざまな割引キャンペーンを行っている。現在、会員数は5万人を超えている。

▲スイーツも映えるものが多く、多種類提供している。



モールの開店1時間前から開店する理由

M+CAFEの隠れた人気の秘密が接客だ。例えば、西安SKPに入っている店舗は、モールの開店時間よりも1時間早く開店する。もちろん、通常のお客さんは入ってこれない。しかし、モールで働く従業員もM+CAFEのお客さんになる。西安SKPの店舗従業員は、出勤前や開店前にM+CAFEのコーヒーをテイクアウトして飲むのが習慣になっている。

また、注文を受けてからも、来店客をカウンターの前で待たせるようなことをしない。注文プレートを渡し、飲食品は席まで届ける。また、水は各自とってもらうが、適宜、テーブルを周り、水や氷を追加提供する。レトロな喫茶店方式だが、中国のカフェでは珍しい方式で、丁寧な接客をしてくれと評判になっている。

このような店舗設計、メニュー設計、接客品質で、リピート客を生み、振興のカフェチェーンとして注目をされている。

店舗数は7店舗とまだまだ小さいが、一気に拡大をすることも不可能ではない。また、中国の大都市では、M+CAFEのようなユニークなコンセプトの小規模カフェチェーンが大量に登場していて、もはや老舗とも言えるスターバックスや新興の大手「瑞幸珈琲」(ルイシン、ラッキンコーヒー)も無視できない流れになってきている。