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ベトナムNo.1カフェチェーン「チェングエン」が上海上陸。ベトナムコーヒーは中国でも受け入れらるのか

ベトナムNo.1カフェチェーン「チェングエン」が、カフェ激戦地、上海に上陸をした。今後5年で1000店舗の展開を目指すという。カフェが過当競争になっている上海では、コンデンスミルクを使うベトナムコーヒーは新鮮味があり、カフェ競争をさらに過熱させる可能性もあると創業邦が報じた。

 

上海にベトナムコーヒー大手カフェが上陸

さまざまなカフェがしのぎを削り、世界で最もカフェの多い街になった上海。その上海に2022年9月に新しい顔のカフェが登場し、人気を博している。目抜き通りの南京西路の興業太古滙商圏の中に登場したチェングエンコーヒーだ。ベトナムの大手カフェ&小売チェーンで、近年人気になっているベトナムコーヒーを提供している。すでに日本を含む世界83カ国に進出をし、中国にはECを使って、2021年からベトナムコーヒーの販売をしている。この販売が好調で、1年間で8億杯分のコーヒーが売れた。生産額で1.284億ドルとなり、中国は世界で8番目のベトナムコーヒー輸入国となった。

この人気を見て、カフェの進出が決まり、上海店を旗艦店として、今後5年で1000店舗を展開する計画だ。

▲上海に開店したベトナムNo.1のカフェチェーン「チェングエンコーヒー」。ベトナムコーヒーで、カフェ激戦地、上海に上陸をした。

 

コーヒーの酸味と苦味が苦手な中国人

ベトナムコーヒーの特徴は非常に甘いということだ。砂糖ややミルクではなく、コンデンスミルクを使うために、コーヒーというよりはデザートに近い感覚になる。中国ではコーヒーの旨味は好まれているが、酸味と苦味を苦手としている人は意外に多い。そのため、酸味と苦味をコンデンスミルクが打ち消してくれるベトナムコーヒーが人気になってきている。

ベトナムコーヒーはコンデンスミルクを使った甘いコーヒーで、デザート感覚で飲む。

 

ベトナムで最も人気のあるチェングエン

1996年にベトナムで創業されたチェングエンは、ベトナムでは最も有名なコーヒーブランドになっている。ポジションは中から低で、質の高いコーヒーを低価格で提供する。

チェングエンは、ベトナム中部のバンメトート市で創業された。大都市ホーチミンからは車で7時間かかるが、周辺ではコーヒー栽培が盛んでコーヒーの街と呼ばれる。

もともとベトナムではアラビカ種のコーヒー豆の栽培が試みられたが、気候などが合わずうまくいかなかった。そして、バンメトートでロブスタ種の栽培に成功、ベトナムでのコーヒー生産が始まった。ただし、ロブスタ種は苦味が強いという特徴があるため、砂糖やミルクを入れて甘くして飲む飲み方が広がったが、当時のベトナムでは砂糖や新鮮なミルクは手に入りづらかった。そこで、代用品としてコンデンスミルクが使われるようになり、ベトナムコーヒーという独自性が生まれた。

▲店内も、今までにない新鮮なデザインになっている。

 

3万店舗を展開するチェングエン

チェングエンは、1998年にホーチミン市にカフェを開くと、瞬く間に拡大をしていった。1年後には1万店舗を突破し、現在は3万店舗に達している。2001年には、すでに日本とシンガポールに販売拠点を持つようになった。

さらに、2つのサブブランドも生まれた。

ひとつは2003年に登場したG7で、インスタントコーヒーのブランドだ。これも中国で人気になっている。自分で入れて飲むのに、安くて味が濃いという理由だ。カフェイン含有量が多いために、飲むとリフレッシュする感覚がある。

もうひとつは2018年に登場したチェングエンレジェンドで、高品質のコーヒーを豆、粉、ドリップバッグ、カプセルなどで提供をする。

ベトナムコーヒーは用具も独特であるため、新鮮味がある。

▲チェングエンは、インスタントコーヒーのG7、高品質コーヒーのチェングエンレジェンドの3つのブランドで中国でビジネスを展開する。

 

ベトナムコーヒーは上海で地位を確保できるか

上海旗艦店は、総面積500平米で150席が用意されている。円形のバーカウンターもあり、ベトナムコーヒーを淹れる過程を楽しむことができる。20種類以上のコーヒー飲料が提供され、単価は25元から58元までと、近くにあるスターバックスよりもやや低めの価格になっている。さらに、ベトナム特有のスイーツなどのサイドメニューも用意されている。

中国は世界中の飲料が集まるようになっている。台湾のタピオカミルクティー、フルーツ中国茶ティー、香港のロイヤルミルクティー中国茶&コーヒーミックス飲料などが中国に進出に、熾烈な競争の中で普及をしていっている。

そこに新たにベトナムコーヒーが加わった。それも、ベトナムNo.1のブランドが進出をして、1000店舗を目指す。中国のカフェ競争がさらに過熱をすることになる。

ベトナムコーヒーだけでなく、簡単なベトナム点心も提供をされる。