アップルを始めとして、世界のテック企業のデータセンターが貴州省に建設されている。貴州省は水資源が豊富で、水力発電による電気代が安いからだ。さらに山地が多いため、地域風を利用して排熱をすることもできる。貴州省はデータセンターの都になろうとしていると光通訊網が報じた。
山だらけの貴州省に集まるテック企業
貴州省は、中国の西南地区に位置をするが、その8割が石灰岩質の山地、高原で、鉱物採掘と観光程度しか産業がなく、甘粛省、黒竜江省とともに、中国でも貧しい地域に含まれる。
しかし、2010年代後半から、ファーウェイ、中国電信、人民銀行、テンセント、アリババ、、滴滴、京東、フォクスコンなどだけでなく、アップル、マイクロソフト、クアルコム、ヒョンデ自動車などが続々貴州省の省都貴陽市を中心に拠点を置き始めている。
アップルも貴州省にデータセンターを建設
これらの企業は、貴州省にデータセンターを建設している。特に話題になったのが、2018年のアップルのデータセンターだ。中国政府は、EUのGDPR(一般データ保護規則)と同じように、中国の利用者から収集したデータを中国国外へ持ち出すことを禁止するガイドラインを定めた。中国向けにiCloudサービスを提供するアップルは、中国国内にデータセンターを設置する必要が生じた。これにより、アップルが設置場所と選んだのが貴州省だった。
地域風を利用して、データセンターの排熱をする
データセンターで最大の問題になるのは廃熱だ。24時間サーバーを運営するため大量の熱が出るが、放置をするとサーバーが暴走をしてしまうため、エアコンで冷やす必要がある。この電力代が大きなコストとなっている。
そこで、多くのデータセンターは緯度の高い寒い地域に建設をする。外気が天然のエアコンとなり、外気を取り入れることで温度を下げることができるからだ。
しかし、貴州省は緯度は低く、亜熱帯に入る。それでもデータセンターに適しているのは、高原で高度があるということと、山地であるため一定の地域風が吹いているということだ。光度が高いため亜熱帯でも気温は低い。また、風流を利用して、排熱をすることができる。
洞穴式データセンターを建築したフォクスコン
2013年という早い時期に貴州省に進出したフォクスコンは、洞穴式データセンターを建設した。石灰質の山地であるため、鍾乳洞のような空間が多く存在している。これを利用して、山をくり抜くようにデータセンターを建設した。センター内は温度が安定して、6000台のサーバーが24時間稼働しているが、エアコンは設置されていない。山腹の入り口から風を取り込み、山頂から自然排出することで、センター内の温度を保つことができるのだ。
水力発電資源があるために電気代も安い
また、貴州省は山地であるため、水力発電がしやすい。これにより、中国でも電気代が最も安価な地域になっている。データセンターの運営にはうってつけの地域なのだ。
産業に乏しかった貴州省は、データセンター、ビッグデータを基幹産業とすべく、さまざまなテック企業と合作プロジェクト、誘致を進めている。省都の貴陽市が「データの都」と呼ばれる日も遠くない。