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アップル依存症に苦しむフォクスコン。脱アップルが進むアップル協力企業

アップル製品の部品製造、組み立ての多くは中国のさまざまな企業が請け負っている。アップルの仕事により多くの企業が成長をしたが、アップル依存率が高すぎることに対する警戒感も生まれ、各社はアップル依存率を下げる努力をするようになっている。その中で、フォクスコンはアップル依存率が高く、アップル依存症に苦しみ始めていると精英視野が報じた。

 

部品供給を二重化させ品質を維持するアップル

iPhoneなどのアップル製品は、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ、フォクスコン)が製造しているというのはあまりにも有名だが、フォクスコンがすべての製造を請け負っているわけではない。部品供給から組み立てまで、アップルは可能な限り、すべてのサプライチェーンを二重化している。つまり、同じ部品を複数の企業に製造させ、品質や価格などで競争をさせているのだ。これにより、アップル製品は高い品質を維持している。

▲フォクスコンは、アップル製品の組み立てで大きく成長したが、あまりにもアップル依存が進み、苦しい立場に追い込まれている。

 

製造装置を供給することで品質を維持

同じ部品に対して複数の企業を採用し、競わせる。それで部品の品質にばらつきはでないのだろうか。それを起こさない仕組みをアップルは採用している。

アップルでは毎年100億ドル以上を製造に投資をしているが、その75%は製造装置の購入費だ。アップルが共同開発し、最新の製造装置を特注でつくらせている。この製造装置をサプライチェーン各社に提供をする。ただし、その製造装置とソフトウェアはアップルの所有物なので、アップル製品を製造する以外の目的で使うことは許されない。複数の企業を競わせる場合でも、同じ製造装置が供給されるため、製品のばらつきは基本的に起こらない。

しかも、複数社に競わせ、問題のある企業が発生した場合は、製造装置を引き上げてしまう。委託先企業は、アップルの莫大な発注が一瞬にして消えることになるため、それを避けるためにアップルの仕事に力を入れざるを得ない。

 

アップルの罠にはまったOFILM

あまりに賢いアップルのやり方だが、それによる悲劇も起きている。2017年、アップルは深圳の欧菲光(オーフェイグアン、OFILM、http://www.ofilm.com)にカメラユニットの製造を委託した。OFILMはアップルのサプライチェーンに入ることで、一気に成長をした。しかし、あまりにアップルの受注製造に力を入れすぎ、アップル依存症が起きてしまった。そうなるとますますアップルからの仕事を失うわけにはいかなくなり、企業のリソースをアップルの仕事に集中させ、アップルからの価格交渉にも応じざるを得なくなっていく。これにより、2021年OFILMは営業利益が90%も減少し、27億元の赤字となった。株式は80%以上も下落することになった。

OFILMは、アップル以外の顧客を見つけることも難しくなり、非常に苦しい状態になっている。

▲OFILMは、あまりにもアップルに依存をしたため、アップルとの価格交渉力が弱まり、業績を大きく落とすアップルの罠にはまった。

 

アップル以外の請負を模索するアップル協力企業

このようなアップル依存症から脱するため、アップルのサプライチェーンに参加している企業は、脱アップル化を常に模索し、リスクを分散させなければならない。アップルの仕事を断るのではなく、いつアップルの仕事がなくなっても困らないように、別の仕事の道を用意しておくのだ。

幸い、アップルの仕事請け負っているというのは、製造業では品質の高い製品がつくれる能力があることの証明になっている。このアップルによるハロー効果が消えないうちに、いかに独自の収入の道を確保しておくかが各社のテーマになっている。

2021年、立訊精密は自動車産業への進出を始め、電子部品を長城汽車BMWメルセデスベンツなどに供給している。同じ年、歌爾(ガーアー、GoerTek)はAR/VR産業への進出を始め、音響、光学部品を提供している。

2015年、藍思科技(ランスー Lens Technology)はアップル製品の製造を始めるとともに、中国のスマートフォンメーカーなどにディスプレイの供給を始めている。さらに2021年には太陽光発電製品に活路を見出し、企業を成長させる事業に成長している。

 

アップル依存症が深刻なフォクスコン

つまり、アップルの協力企業は、アップルというブランドを利用しながら、独自の収入の道を模索し、それが成果を上げているところが現れ始めている。しかし、問題はフォクスコンだ。フォクスコンはアップルの要請によりインドや東南アジアに工場を建設して運用しようとしているが、いずれも安定した生産を行うのに苦労をしている。中国と同じレベルの熟練工を現地で育てるのは簡単ではないからだ。

フォクスコンはアップルの仕事にリソースを集中させ、他社のような独自の道をほとんど模索をしていない。また、中国製造業の中で、フォクスコンの製造技術レベルが頭抜けて高かった時代はもはや終わっている。他社もフォクスコンのレベルに追いついている。

もし、リスク分散ができていないところに、アップルからの受注が大幅に減らされることがあったら、フォクスコンは一瞬で窮地に立たされる。アップル依存症が深く進行してしまっている。

▲フォクスコンは、インドや東南アジアに工場を新設し、人件費を圧縮しようとしているが、運営には苦しんでいる。中国のような熟練工を育てるのに苦労をしている。