上海傲意信息科技が開発したスマート義手「OHand」の利用が広がっている。腕につけたセンサーから筋肉を動かす神経信号を読み取り、使用者の意思通りに動くため、リハビリをすることで、本当の手と変わらない動きができるからだと上観新聞が報じた。
左腕を失った呉さんの社会復帰
中国ではどこにでもある風景。フードデリバリー「ウーラマ」の配達員が、お店から食品を受け取り、配達に行く風景だ。彼は呉正安さん。2019年に、仕事中に粉砕機によって左腕の前腕を失った。
呉正安さんは言う。「私は父親であり、夫です。これは免れることができません。それを自分に言い聞かせながら、数ヶ月のリハビリが終わると仕事を探しましたが、どこも私の左腕がないのを見て、やんわりと断るのです」。
呉正安さんは最後には、絶望に襲われた。それを繋ぎ止めたのは、あるスマート義手だった。
皮膚の筋肉電流で動かすスマート義手
上海傲意信息科技(アオイー、OYMotion)が開発したスマート義手「OHand」は、販売数で中国でのトップとなった。皮膚の電流を感知し、装着者の動かしたい意志を読み取り、その通りに動く。
呉正安さんもこのOHandを使うようになって状況が変わった。「このOHandをつけるようになって半年ですが、フードデリバリーの仕事に就くことができました。仕事で毎日長時間に渡ってこのOHandを使うので、すでに自分の体のように感じるようになりました。多くの人が私の左手に向ける視線に気がついています。でも、それは蔑視などではなく、好奇心や技術に対する驚きからのものなのです」。
http://www.oymotion.com/product17/83
神経信号をAIで処理し、意思通りに動く義手
OHandの仕組みは、傲意科技によると、「感、知、動」の3つだという。
感は、皮膚を流れる電流を感知する。皮膚には神経信号に対応した電流が流れており、これをセンサーで感知をして、神経信号を取得する。
知は、この神経信号から、装着者の意図を読み取ることだ。取得した神経信号を解析し、装着者が失われた手の筋肉をどのように動かしたいのかをAIで復元をする。これには多数の協力者から採集したデータを使って、学習を進めたAIモデルが使われている。
動は、AIが復元をした装着者の意図通りに義手を動かすことだ。義手は280以上ものパーツからなる精密機械で、人の手と変わらない細かい操作ができるようになっている。
http://www.oymotion.com/product16/1